さよなら
使用お題ひとつ
並んで歩くために私はいつも小走り。
「あー。いっつもおまえって話聞いてないよなぁ」
そんな言葉に胸が痛い。
「ごめん」
一生懸命笑顔作る。
「しょーがねぇなぁ。ちゃんと聞けよ?」
ツンと額をつつかれる。
おかしいな。
嬉しい時間だったはずなのに。
あたたかい気持ちが湧くはずなのに。
冷たいんだよ。
「……でさー、ってまた聞いてねぇだろ」
「……っごめ」
「しょーがねぇなぁ、足みじけーもんな」
ああ。
笑えない冗談だ。口が滑った悪い冗談であってほしい。
少し黙ってみても気づかず足を進めはじめたその後ろ姿。
ねぇ。
待つ気はないんだ。
ねぇ。
速度を合わせる気はないんだ。
そっか。
そうなんだ。
じゃあ、
「ごめん。もう無理だよ」
あなたは足を止めて振り返った。
「は?」
不思議そうに見開かれた目に、表情に笑いが込み上げる。
良かった。
最後は笑顔で別れられる。
「私はついていけない。小突かれて、バカにされて、ついてなんていけないの」
呼吸を整える。
心臓がばくばくドクドク止まりそうな暴走の程を示している。
頭が真っ白になりそうだ。
「なに、いきなり言ってんだよ。んなの笑えない冗談だぜ?」
「ごめんね。ダメになるまで言い出せなかった私が悪いの」
そう。冗談なんかじゃないの。
「さよなら」
お題は〔笑えない冗談〕です。
〔二次元ネタ台詞の引用禁止〕かつ〔「帰り道」の描写必須〕で書いてみましょう。
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