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並んで歩く
使用お題はひとつ
「寒いね」
君はそう言ってぎゅっと僕の腕に擦り寄ってくる。
こうすれば寒さなんかどこかにいってしまうと思うくらいに。その耳元に囁こう。
「好きだよ。この寒さが君と近くにいれる口実になるんなら嬉しいと思うよ」
ぱっと君は僕の腕を放してそっぽを向いてしまう。
「寒いんじゃないの? 離れたら冷えちゃうよ?」
「さ、寒いから、それを回避しようとしてるだけなんだからね!」
むきになる君がかわいい。
君がむきになって顔を真っ赤にして否定する。そんな君が見たくて笑いかける。
「うん。知ってる。寒いからね」
「そうよ! 寒いからだわ!」
吹く風は確かに冷たいけれど、そこまで寒くはなくて、手袋もまだなその手をそっと握る。
「冷えてるもんな」
そう、全部寒いせい。
だから、君の頬が赤いのも気のせいってことにしてあげる。
お題は『頬が赤いのも気のせいってことにしてあげる』です。
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