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さよならは三日月の欠片

使用お題ひとつ

　付かず離れず幼馴染み。

　不即不離。付かず離れず距離感は変わらない。

　上っ面な関係はいらないのに上っ面な関係しか築けない。

　ネネは近所に住む女の子。

　ふわふわといつだって自由。

　俺と仲良くすることにした理由だって下のおじさんのとこにいるタイガにぃと少しでも近くに居たいから。

　俺はタイガにぃの情報源。

　知ってるんだ。

　二人が両想いだってさ。

　それなのに、二人とも肝心なとこで天然無自覚。

　中途半端に精密なイベント企画はいつも詰めが甘い。

　だってさ。

　見込みがないって知ってても、好きだと思うのはポイって捨てられない。

　黙っておとなしくしていれば清楚系美人。

　大丈夫。

　タイガにぃも、俺も、天然無自覚振り回す迷惑台風なネネが好きだから。

　いつだってタイガにぃの情報を渡すって約束を口実に連絡を取り合う。

　好きな相手のために綺麗になっていく。

　だから、俺も決めなくちゃ。

「旅に出る」

「行ってらっしゃい。お土産期待してるね」

　あっさりした言葉に本当にどうしようもないと知る。わかっていたけどしかたない。

　女々しく失恋旅行と参りましょうか。

　振り仰ぐ空に三日月。

　最初からバカだって、わかっていたはずだったろう？

お題は『不即不離・上っ面な関係はいらない・約束を口実に・中途半端に精密・さよならは三日月の欠片』です

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