路地裏の狩り
使用お題ふたつ
挙動不審な男だった。
ネオン輝く街の路地。
喧騒の中の静寂。
転がるゴミを踏む音が溶けて消える。
飴色の髪も暗色の服も使い込んだ靴もゴミ溜めの路地裏に溶けていた。
チリチリと音が鳴る。それは握り込まれた男の手から。
「っくっそ」
ゴミに当たるように踏み出して足を取られかけてはあくたいを吐く。
「なんでうまくいかねぇ」
怪我をした男を誰も見はしない。
それでも男が通ったことは息を止めて見つからないように見ている人影。
男は握るものを落とさないよう握り直して歩みをすすめる。
そのうしろを追う影はふたつ。
ケモノを連れた女の影。
男の目に白光がうつりこむ。
「朝が来たのか?」
「いいえ。来ないわ」
男の目に牙がうつる。開けた口は音を発することもできない。
男が朝日と錯覚した光はその牙を持つ口の奥からもれていた。
女が転がるゴミを蹴れば、チリチリと小さな音。
拾い上げられたのはおもちゃみたいなネックレス。
本物の朝日が路地裏に侵入してくる。
「さよなら、さよなら、またいつか。出会うなら地獄の底で待っていて」
女は薄く目を細め、古い歌を歌いながら獣を抱き撫でる。
投げ捨てられたネックレスがただ静かにきらめく。
ちりんとネックレスが鳴く。
「また、いつかなんて嘘つきだわ」
とにあへのお題は〔さよなら、さよなら、またいつか〕です。
〔二人称(君、あなた等)の使用禁止〕かつ〔「朝」の描写必須〕で書いてみましょう。
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基本:悪の幹部
髪色:飴色
瞳色:栗色
性格:怒りやすい
特徴:ネックレス
いつか倒したい敵がいます
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