私の小さなご主人様
使用お題ひとつ
彗星のように現れた少女は王子様の心をつかんで幸せに。
そんなお伽噺が書かれてる本をそっと閉じる。
「これ、どんな不審人物ですの?」
さらりとした銀髪を揺らし七歳になる私の小さなご主人様はおかんむり。
記憶が薄れる前に、こちらの言語で書き出したお伽噺。
「ただの寝物語ですよ」
十年前、この世界に迷い込まされた私を保護してくれたのはこの小さなご主人様の両親だ。
迷い込むきっかけの術を使ったのもそのお二人だったが事故だったという話ではあるし、ご主人様に罪はないでしょう。
「うつくしくやさしいだけの娘を王子の相手とするなど国をみだすだけではありませんの」
革装丁の本を爪でコツコツ叩きながら不満を述べる小さなご主人様。
「うつくしくやさしく見えることはたしかに効果的ですけれど、それだけではいけませんわ。ちょうさが足りてないと思いませんの?」
お伽噺です。お話です。作り話です。小さなご主人様は何度説明しても毎回おかんむりになります。
私ももはや緩く笑ってかわすのみで作り話ですよ。記憶にある曖昧な。と注釈をつけることを止めてしまいました。
小さなご主人様は本を抱き込んで花のように笑います。
「ここではそんなこともありませんでしょう?」
縋るような瞳につやりと光るカケラ。
「いかないで」
どれほど頷きたいことでしょう。
キメラの一部として私に与えられた寿命は十年。
最後の主従関係からくる望み。
叶えられぬ絶望と共に意識は遠のくだろう。
泣かないで。
泣かないで。
私の小さなご主人様。
「花」「彗星」「最後の主従関係」を使って創作するんだ!ジャンルは「悲恋」だよ!頑張ってね!
#sandaibanashi
https://shindanmaker.com/58531
あれ?
恋愛要素忘れてた!!




