呪いの笛
使用お題みっつ
子供にもらった三つの石ころ。
それをぎゅっと握りしめる。
それはまるでうつろな眼球を握りしめてる気分。
迷いを抱きながら迷いを切り捨てて生きていく。生きていくなら迷うなんて贅沢は許されない。
気楽に「生きにくい世界に、サヨウナラ」と笑ったあいつは僕の苦しみなど気にしなかった。
あいつに贈られた呪われた笛は息を吹き込めば曲に見合うだけの命を欲した。
それが最初のヒトゴロシ。あいつは、知っていたんだ。
ボクは、僕は、ぼくは。戻ることは許されない。
事実に気がつかないフリなんかはできなかった。
あいつの死を偶然と言い張るには命を奪った魂の色が笛を彩っていると感じてダメだった。
呪われた命を吸う笛は僕の命だけは吸いはしない。
人の命を奪い曲を奏でるという当たり前の日々を繰り返していく。
「いーい音色だな」
人の存在に僕はびくりと曲を震わせる。
周囲には眠るように命を吸われた人々。
僕の危機感に呼応するように笛は命をすする対象を声の男へと定める。
危険だと脳を激しくかき混ぜてくる頭痛と恐怖感。恐ろしさを感じるまともさなど等に摩耗したはずなのに。
足が自然とその存在から遠ざかろうとする。
「死の笛吹き」
男は長い棒を緩く振るう。
ぐらりと視界が揺らいだ。
鉄錆の匂いが広がっていく。斬られた?
抜け落ちていく血潮それを補うように笛が命を流し込んでくる。
わかってる。
わかってるんだ、普通じゃないのは僕なんだと。
もう、とっくに人を捨てていた自分を自覚する。
敵の振り下ろす棒を避けることはできない。
「おめでとう、ありがとう。これで僕は自由になれる」
砕けていく呪いの笛。
ポケットに入れた三つの石ころが視界の端できらめきを放つ。
戻れない、僕はどこにいくんだろう。
お題は
【77/偶然と言い張る】
【67/おめでとう、ありがとう】
【74/当たり前の日々を】です。
#100分の3題
https://shindanmaker.com/521925
子供に
「生きにくい世界に、サヨウナラ」/「ボクは、僕は、ぼくは」/「わかっているんだ、普通じゃないのは僕なんだと」の三つの宝石を貰いました。
子供は「とにあさん、持って帰ってくれてありがとう。次はもっと綺麗なものを流せるようになるね!」と言ってあなたを見送ってくれました。
#涙の宝石
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職業は、『暗殺屋です。容姿は金髪茶眼で、性格は紳士的。使用武器は笛』です。
https://shindanmaker.com/162626




