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霧の闇は湖を滑る
使用お題ひとつ
世界は静寂に包まれて物音ひとつこぼれない。
すべてをくるむ乳白色の霧は闇と何ひとつ変わらない。
命が光ならば、世界に光は見えず霧という闇だけがわだかまっているのだろう。
霧という闇から逃れるように命がきらめく。
湖の底に沈む水晶都市。
ヒトの住まない鉱石の残骸に滑り生きる生きるモノ。
ぎょろり瞳を見開いて湖面をおおう霧の動きを見る。
霧の闇を晴らすこと。
それが生きもののたったひとつの存在意義。
他の理由など忘れてしまった。
それを望んだ誰かはもういない。
それでもただ霧は湖を滑っていく。
あなたへ贈るタイトルは…
「霧の闇は湖を滑る」
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