日傘が欲しい
使用お題ひとつ
お日様はギラギラ。風はダラダラ。地面はジリジリ。汗はボタボタ。
あんまりの暑さにでろりと僅かな影から抜け出れない。あの暑さの中に出て行くなんて考えただけでぞっとする。
ぞっとするついでに涼しくなればいいのにってバカらしいことを考えながら日差しに一歩足を差し出す。
一気に汗すら蒸発していきそうな熱に呼吸が止まりそうだ。
ああ。蒸発する。
家から五十メートルもないコンビニからの帰還ルートがこんなに難解なデッドエリアだなんて知らなかった。気づきたくなかった。
涼める陰をください。
袋の中のコンビニ受け取り荷物が重い。自宅配送にしなかった自分に後悔だ。
目の粗いカーディガン。
格子模様に日焼けしそう。
食い込ませた爪を外そうとしたら暴れたおした猫。
暴れて暴れて滲んだ赤を満足そうに舐めていた。
諦めの吐息をこぼして日差しにもう一歩。
ああ。
灰になる。
いや、いっそ灰になりたい。
ジリジリとける熱の中自宅の影に飛び込んでいく。
エアコンの室外機の熱風。
部屋の中でくつろぐ暴君。
視線ちらりと流し見て興味なさげに大あくび。
私は買ってきた猫砂とオヤツの袋を置いて転がる。
「ああ。死ねる」
お題は〔食い込ませた爪〕です。
〔句読点以外の記号禁止〕かつ〔キーワード「猫」必須〕で書いてみましょう。
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