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声
お題ひとつ
出番がきたかとドキドキする。
うっすらとシルエットだけが描くこの世界に産まれて出番もないまま終わるなんて嫌だった。
産まれてきたからには自分の存在を示したい。そんな本能に突き動かされることはきっとおかしなことじゃない。
「やぁん。こっわーい」
甘い女の声にイラッとした。
「大丈夫。大丈夫だって」
男の声が女を慰める。
イラッとする。
シルエットがゆっくりと変わっていく。
うまく声は届くかしら?
『ウザい』
男の視線が揺れる。
私を見る?
私の姿はあなたの瞳に映り込む?
「ねぇ。こわいわ」
「ああ」
笑い声が聞こえた。
女の息を呑むような短い悲鳴。
男の指が女の首に絡んでる。
なにをしているんだろう。
「神託だよ。君を静かにさせなくちゃ」
神託?
「ねぇ。ぼくの女神」
男の目に私が映っている。
お題は〔悲鳴がきこえた〕です。
〔三人称視点禁止〕かつ〔風景描写必須〕で書いてみましょう。
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