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自縄遊戯  作者: とにあ
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硝子越しに

使用お題ひとつ

 カサカサと枯れ葉が地面を転がり這っていく。

 くるりとレースのスカートが弧を描き、楽しげな曲すら聞こえてきそうだ。

 吐き出す白い息。

 冷えて赤く痒みの強い指先。

 鮮やかに笑う少女はレースのスカートをくるりと翻して踊っている。

 僕の手は君に届かない。

 白い息が君の姿を霞ませる。

 君はくるりと回るオルゴールのお姫様。

 僕はしがない清掃員。

 クラクションが僕をせきたてる。

「……また、来るから待っていて」

 どうか、誰にも買われないで。

 小突かれても何を言われても僕は生きていける。

 君がショーウィンドウから姿を消した。今、そこにいるのはすまし顔のウサギ。

 僕の希望は見えなくなった。素敵な誰かに買われていった。

 僕はゴミの中で息を吐く。

 ザラザラ上から降ってくる。

 僕の身体は動かない。

 君が天使のように降り落ちてきても伸ばす手は届かない。

 ヒビ割れた顔。欠けたガラス玉。折れた腕。

 どんなに変わっても変わらない君はいつだって届かない。

 それでも雪ふるおわりに君と眠れる僕は何て幸せ。

 僕はしがない清掃員。


 今日は素敵なクリスマス。


とにあへのお題は〔硝子越しに〕です。

〔会話文のみ禁止〕かつ〔季節描写必須〕で書いてみましょう。

https://shindanmaker.com/467090


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