空の光は湖に眠る
使用お題ふたつ
我々の国は月にあった。
母星での闘争の末、母星を見守る月へと移住したと言われている。
人口は114514人。
今日現在職務に就いているものは一人としていない。
今日という特別な日を静かに部屋で過ごすのだ。
今日以降も仕事につくことはない。すでに寝台で眠る者も少なくないだろう。
私はソファに身を沈めてアルコールの入ったグラスを揺らす。
明日。
そう二十四時間後に酸素の供給システムが停止するのだ。
自動修理自動再起動には一年がかかる。
後回ししてきたツケなのだろう。
間にあわせ間にあわせの酸素供給。
本格的な環境改良へのエネルギー配分を渋り、未来の財産を食い潰してきた数世代。
数人の子供達と教育ロボット。
運が良ければ彼らは目覚めて生きていくだろう。
最期の時を人はそれぞれに過ごす。
酸素供給のない一年。
母星との交流は断絶して数十年。
システムダウンしていく都市。
最期の街の最期の日。
それぞれに電子の繋がりを絶ち、自らと語る時間。
外からは崩壊の音が聞こえる。
死にたくないとあがく声。より早く美しくない死を呼び寄せて。
彼らは希望と入れ替わることを望むだろうか?
それとも、死を思考ないうちに招きたいのか。私にはわからない。
どちらにしろ、それはきっと真実の滅亡に繋がりゆくだろう。
凍てつく湖の底。
眠れる希望たち。
破壊の刃が君らに届かぬことを望む。
我々の子供たちがいつか、空を見上げて笑う日々。それを望まずにはいられない。
酸素供給システムの再起動に一年。
生存可能エリアを安定させる循環機能復旧に半年。環境改良システム発動準備にもう一年。システム発動後百年でこの月の十分の一を生活適応区へと変えるという。
百年計画が無事終われば、子供たちには生きる道ができる。
希望という重荷を未来にかける。
見上げる空はただただ暗い。
子供たちに未来をと思いはするが、確率は低い。
そう。
我々は滅亡するのだ。
それでも、未来を夢見ることをやめられない。
私はまだ生きている。
あなたへ贈るタイトルは…
「空の光は湖に眠る」
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共和国
人口:114514人
地域:月
特徴
・ネットができない
・ニートしかいないw
・明日滅亡する
という超一般的な(嘘)場所です
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