夢落ち
使用お題ふたつ
R15?
沈める。
沈める。
人のいないショッピングセンター。
ライティングの終わった噴水に君を沈めた。
ゆらりひろがる長い髪。
じっと俺を見てる瞳は満足げに笑っていて。
その瞳に魅入られた。
だから、君の眼球を入れた小瓶をなくした俺は慌てていたんだよ。
でもさ、それは夢だったんだ。
だって君はここで微笑んでる。
ちゃんと準備してある。
「ああ。今度は夢落ちじゃないよな?」
だって、君のために準備したんだ。
君にふさわしい永遠の棺を。
君が美しいままにいられる棺を。
「愛してる」
君を湯船できれいにする。
君は美しく微笑んでいる。
君は人気者だった。
明るく朗らかに笑う君の周りにはいつだってたくさんの人がいた。
それなのに君はさえない俺に声をかけてきた。
「あなたは特別」
そんなふうに囁かれて悪い気分はなかった。
耳元で囁かれる言葉。
どんなわがままも自分にだけだなんて嘘だと思いつつもうれしかったんだ。
ほんとは、少しずつほんの少しずつエスカレートしていくわがままに逃げられなくなっていっていた。
「ホントは誰にも愛されないの」
君はそう言って笑う。
外見が良いからアクセサリーとして気に入ってもらえるだけ。
貶さないから、表面上の付き合いはうまくかわせるからつきあいやすいだけなの。
貴方だって惰性でしかたないから付き合ってくれてるんでしょう? と。
違うと言えば嬉しいと君はやわらかく微笑んだ。
信じていない儚い笑顔。
俺になにが言えただろう。
俺を特別だと言う、俺だけだと言う彼女の言葉を嘘と決めつけていた俺に。
好きだ。愛してる。
そう伝える言葉のなんと軽いことか。
君は微笑んで嬉しいと答える。
「なら、私をきれいなままとどめてくれる?」
君はふわふわ笑っていた。
「私は卑怯で汚いの。だから貴方に汚れろとわがままを言うわ。もちろん、断っていいのよ? ただの冗談みたいなものだもの」
君はそう言って笑う。
その瞳はキラキラと笑っていない。
ああ、ショッピングモールの夢を見たのは閉館間近のショッピングモールでその会話をしたからか。
「あなたはとくべつ」
ああ。
沈む。
沈む。
君の言葉は麻薬だったのかもしれない。
君は俺を最後まで見つめていた。
「痛くしないでね」
「あなただけがとくべつなの」
俺に君はすべてを見せてくれた。
すべてを。
すべてを。
どこまでも君は美しい。
滲むことなど許されない。
涙をこぼすなど君に対する冒とくだ。
ああ。
ああ。
君のわがままならなんだってかなえてみせる。
―― あなたが
―― 私以外に意識を傾けるなんて許さない
あなたは私のモノ。
舞台:晩のショッピングセンター
事件:ものを失くす
テーマ:私を愛すること以外あなたには何も許したくない
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涙をこぼして「今度は夢落ちじゃないよな?」と言う風呂の話を6RTされたらかいてください。
#selifodaii
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