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自縄遊戯  作者: とにあ
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ヒマワリのきいろ

使用お題ひとつ

 1:「負けない」「守りたいこの笑顔」


 負けない。負けるわけにはいかないんだ。


 あの日の僕は必死にあがいていた。

 敗北は守りたいものの消失を意味していた。

 必死にあがいてあがいて、何を守りたいのかすらあやふやになってしまった。

 ただ、負けないことだけが残っていた。


「もう、いいんだよ」


 聞こえた声。

 視界にうつるきみの顔はにじんでひび割れてる。


「ありがとう」


 きみの声。

 弧を描いた口元。

 花のような微笑み。

 無邪気に弾ける笑い声。

 僕は守りたい笑顔を、守りたいこの笑顔を守れたのだろうか?


 僕は、機能を停止した。




 2:「いただきます」「映画」


 スクリーン上の俳優が「いただきます」と朝食をもてあそび始める。

 どちらかと言えば食事より会話優先で。

 スクリーンの俳優の真似をする私の食事はもちろん進みやしない。

「映画を参考にせず、ちゃんと食べないと」

 注意されて私はふくれる。

「映画みたいにカッコいい食べ方マスターしたいのよ」

 呆れた眼差しにイラっとして気がついた。

 これってさっきのシーンみたいじゃない?

 ジャガイモポタージュのカップを口元にあてて私は満足の笑みを浮かべる。



 3:「何故気付かない」「黄」


 茹であがったトウモロコシの黄色。

 太陽を見て花弁を広げるヒマワリ。

 キラキラとしたきみの髪。


 黄色。


 僕は黄色が好きだ。

 きみがすきな色。

 きみが笑顔になる色。

 世界から黄色が減ってきた。

 何故気付かないのか誰も何も言わない。

 黄色が減ってきた。

 きみが物思いにふける。


 きみの笑顔も


 ……減ってきた。





 4:「病気」「ハグ」


 あなたがジッと私を見てる。

 妙に不安そうに感じて違和感。

 いつからかしら?

 ぎゅうっとあなたを抱きしめる。

「ハグは好きよね」

 あなたはバグと聞き違えてオロオロと慌てる。

「病気?」

 慌てるあなた。

「うん。あなたが病気。先生のところに行こう」

 私は元気。病気じゃないの。

 でも先生は遠くの町に連れて行かれてしまった。

 どうしたら一番いいかしら?




 5:「本気になる」「後悔」


 後悔したくないから、本気になる。

 助けたいから頑張れる。

 そのためだったら頑張れる。

 だって一緒にいたいから。

 でも。

 頑張る姿は時に痛くて、頑張らなくていいよと告げたくなる。

 頑張るから頑張らなくていいよ。

 きっとお互いに告げる言葉。


 きいろい花に満たされて。


 おやすみなさい。






 誰かが






 扉を開ける





 その時まで。




 後悔しない。



 ずっと、一緒。




 いつかヒマワリと一緒に太陽を見よう。




お題は

1:「負けない」「守りたいこの笑顔」

2:「いただきます」「映画」

3:「何故気付かない」「黄」

4:「病気」「ハグ」

5:「本気になる」「後悔」

shindanmaker.com/641712

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