恋するたまご
使用お題ふたつ
息がつまる思いを抱えて走る。あのリングにボールをくぐらせれば得られる達成感を目指して。
「そんなに好きなのか」
「うん! 大好き!」
クラスメイトの駒井が俺の机に肘をついてしみじみと聞いてくる。
おれとしては当然の答えを返す。
「ハンバーグよりも? 目玉焼きののった奴な?」
子供舌って言われてもハンバーグやカレー唐揚げは大好きだ。
それでも、
「食べるならやめろって言われたら、バスケをとるから我慢するよ」
遠ざかるハンバーグのイメージにじわりと目元が熱くなる。
身体を動かすことが好きだった。
ボールが思うように動かせる快感は半端なくてあいてる時間は全部バスケのための時間についやした。
「だって、バスケが好きなんだ」
この気持ちに後悔の色はない。
断言する幼馴染み春樹の迷いない発言は羨ましいやら疎ましいやらわからない中学三年の春。
あたしも春樹も受験生だ。
春樹のバスケが下手の横好きならきっと一緒に受験勉強にキーキー言ってたと思う。
ボールにもてあそばれていた春樹の恋はいつしかボールに応えてもらていてあたしを悪態をつくツマラナイ女に変える。
嫌われるとわかっていながらつい春樹をつつく。
迷わず好きだと笑う春樹はバスケと相思相愛。
きっとあたしは春樹が好きだ。
こたえをもらえない愛なんていらない愛。
きっと大人たちがなまぬるく青い春、青春という言葉で片付けてしまうささやかな成長階段。
未成熟な青。
青い実は甘くはない。
手の届かない空の青なら清々しいのに。
あたしは春樹のどこが好き?
ひとつのことに夢中に追い求めるその姿から目が離せないんじゃないのか?
挫折を乗り越えていけるとばかばかしいほど妄信する子供な部分に、純粋な部分に惹かれるんだ。
何かを迷わず好きと言える春樹だから好きで、ダメな原因を追究してしまうあたしだから春樹が挫折することを望んでる。
だから一番、渋い表情になることを言葉にしよう。
「名越、もうじきテストだな」
お題は〔いらない愛〕です。
〔会話文のみ禁止〕かつ〔「青」の描写必須〕で書いてみましょう。
https://shindanmaker.com/467090
悪趣味な受験生とバスケに恋をした少年との365分の1日の物語書いてー。
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