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自縄遊戯  作者: とにあ
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ひとつの経過。ネネ

使用お題ふたつ

 ネネが小学校に上がる前の春にタイガはネネの住んでる町に越してきた。

 時々お兄ちゃんと遊んでいるのは知っていたけど学校も違うからあんまり知らないお兄ちゃん。

 迷子になって泣きそうになってる日におうちの近くまで送ってくれた。

 学校に行くのに電車で通ってるって聞いてカッコいいって思った。

 ひとつ上なだけなのにずっと年上のお兄ちゃんたちみたいだから。

 たま~に会ってお互いの将来の夢を語ったり(ネネは獣医さんになりたい)、不安なことや不満を(妹ばっかり大事にされてる気がする)おしゃべりしあった。

 本当にたまにしか会わない親戚のお兄さんみたいな感じ。

 だから、気がついたら好きなのが当たり前で、それでも告白するには遠かった。

 小学校の時より中学になってから、中学の頃より高校に上がってからの方がお互い会う時間は減っていったから。

 タイガが高校を卒業して専門学校に入ったころは私が受験生。


「ネネはタイガが好き。タイガはネネを好き?」

 ハロウィン前に思い切って告白。

 ぽかんとしたタイガの表情になんか泣きそうになった。

 だってタイガがネネを好きに違いないって思っても、ちゃんと約束やお互いの気持ちなんか確認してなかったから。

「……っんなの、いきなり……っん。ああ。ネネのこと好きだ」

 視線を逸らしたり泳がせたりってすっごく困らせて断られるんじゃって思った。

 でも、ちゃんとネネを見て、タイガはそう応えてくれた。

 嬉しくてうれしくて、ネネはタイガを困らせちゃったんだ。

「ちゃんと、えっと、恋人として付き合おう?」

 嬉しかった。

「くっ付くなよ。照れるだろ!」

 嬉しくて抱きついたネネにタイガは照れていた。

「だって、これからはずっと一緒だね!」

 そっぽを見たタイガの耳がほんのりと赤かった。

 お付き合いは受験優先、息抜きデートや図書館デート。

 それでも一緒にいられることが嬉しかった。

 買った焼き芋を二人で半分こしたのに喜べば「へぇ、意外と単純なんだ」と囁かれてドキドキした。

 キスされそうで恥ずかしかったネネは、それよりももっと恥ずかしいセリフを言っちゃった。

「ダメ、人が見てる……」なんてどこまで自意識過剰?

 恥ずかしくなってタイガをぱしぱししちゃった。それでもタイガが笑うからむぅむぅしちゃってしばらくぱしぱししちゃったんだけど。

 進学がうまくいって新しい生活にもなれた春。

 はじめてのキスに勢いに乗って二人で寄り添う時間。

 ずいぶんと距離は縮まりバカなやり取りもしてる。

 ほら、あの、「もう、お前しか見えないっ!」とか、「やだ。こんなの初めて!」とか冷静になると恥ずかしいあれよ。

 うん。

 後悔はないわ。

 ネネにとって初めての時間だったし、ネネしか見えないって言ってもらえて幸せだったから。

 月のモノが遅れてドキドキした時もタイガはちゃんと二人の未来に情熱的で安心できた。

「産まれてくる子供の為にバイト先探さないとな」って。

「会える時間は減るかもしれないけれど、二人、いや三人の時間が安心できるように収入を頑張るぜ。……就活に入ったら支援してもらわなきゃかもだけど、俺、頑張るから」

 爽やかに笑うタイガは迷わずバイトのシフトを増やしてた。

 送れてた月のモノがきた私は、「ネネの正体は一年前あなたに助けられた狸です」なんてわけのわからないごまかしをした後、正直に月のモノが来たことと早とちりだったことを謝った。

「狸でもネネがネネならいいって。残念だけど、正直ちゃんと準備できる時間ができてほっとした」

 タイガの眼差しにドキドキしちゃう。

 やだ。タイガがかっこよすぎる。

「タイガ大好き!」



前半。

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