デートに
使用お題ひとつ
「変な夢を見た」
「ほう」
目が覚めたから横にいる恋人にいつもみたいに説明する。
感覚を共有してほしいってわがまま。機嫌が悪ければ「うざい」って拒否られるけど、今日は大丈夫みたい。ちょっと怖かったし、聞いてくれるのは嬉しい。
「そう、足元から崩れ落ちるようだったんだ」
「大丈夫。これからだ」
「え?」
これから?
「フリーフォールの上昇最中に寝るとはいい度胸だなと思っていたところだ」
「え?」
あれ?
くるんと周囲を見回せば世界がどんどん広がっていくところだった。
「でなければ恐怖で気を失ったのかと。のりたいと言ったのはお前だよな?」
「こ、恐くなんかないよ」
デート中だった!
「それは良かった。じゃあ。俺は目を閉じてるからそっちを見ないし、現実を遮断する。自力で耐えてくれ。できれば騒がずに」
「いや、こーいうのは絶叫してこ、そぉおおおおおおおおおぉっ」
「次はあっちにのりに行こう!」
「フリーフォールはもう乗らないぞ」
「あっちのコースター足踏ん張れないタイプなんだって!」
「懲りないなぁ。ランチ食えるのか?」
「ふっふ-ん、食べられるも~ん」
「まぁ、楽しそうだからいいけどな」
「ねぇ」
「ん?」
「アイス食べたい」
「ランチ前に?」
「ランチ前に」
「しかたないな。りょーかい」
「じゃあ、待ってる」
自販機でドリンクを買ってベンチを陣取って、ソフトクリームを二つ持って人をよけてるあなたを見るのが好き。
苦手な絶叫系にも黙々とつきあってくれるあなたが好き。
「ほら、チョコミックス」
「そっちのは?」
「オレンジミックス。味見する?」
「うん」
「お。約束覚えてるな?」
「ん~?」
「絶叫系はもうなし」
「うん。落ち着いたらランチして散策コースいこ」
あなたのほっとした表情も好き。
「いいのか?」
「うん。また次のデートでね!」
「しょうが、ないな」
「変な夢を見た」「足元から崩れ落ちるようだ」「恐くなんかないよ」という3つの台詞を盛り込んで、デートするお話を創りましょう。
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