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自縄遊戯  作者: とにあ
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トライアングル 2

続編。

 僕はコマ。成長期真っ只中。

 趣味は読書と散歩。

 好きな女の子はひとつ年上のサリ。

 目下の敵はサリを構いたがるリツ。


 サリは可愛い。

 背中の中ほどまでの黒髪はゆるく波打っていて。すぐに癖が変につくことをサリは気にしてる。そこもまた可愛いと思うのに。

 サリは落ち着いた色を好む。よく着てるのはミルクチョコレート色のワンピース。ふんわりしてて甘いセピア。濃い茶色のリボンが胸元で揺れる。涼しくなってきたら紺色のコートがそれを隠してしまう。

 濃いチョコレートカラーの靴は光沢と丸いつま先が可愛い。

 サリの全部が素敵で可愛いんだ。

 それでも、かわいいって思ってるだけで、サリにそれを伝えるってできないんだ。

 だから、見守ってるだけ。

 そう、ずっと。

 公園で本を読んでたら声をかけてくれたり、他愛無いことを喋ったり。

 サリは他の友達がいなさそうに見える僕に優しい。

 ……友達が少ないのは確かだけどさ。

 同じぐらいのやつらは走る速さやボールの扱い、どれだけ機器を操れるかとか、どこの釣り場が穴場だとかの話に入れない僕はハブられる。

 いや、ハブられなくても話題が合わないんだけどさ。

 サリは気にしない。

 ただ、時おり年齢以上にお姉さんぶるところが難点だけど。

 きっと、身長を抜ければ、変わるんじゃないかと思う。

 サリに気後れせずにしゃべりかけるにはきっときっと、サリより身長が伸びてからだ。

 そしたら、サリに『好き』って伝えるんだ。


 ……リツに邪魔されなければうまくいくと思うんだ。

 リツは最低。

 僕のことをゴミ屑のように扱ってくる。

 ムカつくし、サリが困惑するんだ。


 理由は『男は嫌いだから』


 ムカつくんだ。

 ひょろんと高い身長も容易く僕を抑え込める力も。軽やかに踏むステップもくるっと持ってるものをまわすうざったいクセも。ニヤニヤ『何でも知っています』と言ってるような表情も。サイテイな下品さも。

 時々、心細そうな表情も。

 だぼついたロングニット。ストールが気がつけばマフラーに変わった。

 一番ムカつくのはサリを大事にからかうところ。


 もっと僕は大人になりたい。

 サリを守りたい。サリに笑顔でいて欲しい。

 だから、僕はリツに負けたくないんだ。


 キッと睨めば鼻で笑うリツ。

 ケンカをはじめるとサリは一歩下がって見守ってくる。

 楽しそうな表情につい自分を振り返れば、ものすごくもどかしい。


 なんで僕はこんなに子供なんだろう?


 サリ。

 背伸びをどこまでしたら君を守れる大人になれる?



清く正しく生きようとしている文学少年と男をゴミ扱いする女性崇拝者が、泣かない少女を観察する物語書いてー。 http://t.co/33xpY0zF3g

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