『プロポーズされました。断りました』ナツキ
嫌いなわけじゃない。
好きだ。
目で追い、彼の活躍の話を聞けば喜ぶ。
そのぐらいには好きだ。
それでも、答えは容易くない。
なによりも私は年上で。
可愛い女にはなれないだろう。
望まれた。
それは嬉しいのかもしれないが、共に歩めるかどうかは別なのだから。
「バカじゃないの?」
なぜ、こいつと飲んでるのかため息がこぼれる。
「お前に言われたくない」
可愛い女にはお互いなれないと知っている。だからって馴れ合いたい相手でもない。
「好きだって思えるんならいいと思うけど? いっちゃえばいいのに」
簡単に言ってくれる。
「先のことも考えろ」
私はあいつに他の女の影があるのも知っている。
家がすすめる見合い相手に幼馴染み。その将来性に目をつけた女性。タマキはあいつには女っ気がないと言っても一概には言えない。
高収入に将来受け取る遺産。充分に金めあてを引き寄せれる。人間的にも悪い人間ではなくて。
つまり、きっと、私はふさわしい女になれない。
呆れられ、幻滅される。
そんな未来はいらない。
「先? まずは今じゃないの? どっかの宗教みたいに別れることが許されてないわけじゃないんだからさ」
笑い声に紛れて缶ビールがちゃぷんと音をたてる。
「あんたはどうなの」
「やだなぁ、アタシはシャーリンと蜜月に決まってるでしょー」
視線を向ければ気まずげに視線を逸らす。
「しかたないでしょ。うちの両親変わった人たちだから。同じになるかもしれないと思うと怖いのよ」
「仲、悪かったっけ?」
「イイわよ。母はとーさんに熱愛だもの。母がいない時はとーさんがかわいがってくれたわ。でも、いつだって二番手。アタシはついでだったか……あん?」
缶ビールを置いて、端末を引っ張り出す様子を見てる。
「マユ?」
怪訝そうにナナヤが音を聞く。
つい、聞き耳をたてる。
「マユのおにーたんがどーしたって?」
気になる。
それなのに聞こえない。
「ん〜……わかった。行くから、どーせたいしたことないでしょ」
そう言って端末操作。
「ナツキ、悪いんだけど、マンション入らせてくれる?マユパニクってたしさ」
アルコールが回る。
なにがあったのかわからない。でも、急いだ。
タカノブになにがあった?
スゴく心配したその焦りというのは見当違いだった場合、たやすく怒りに変わる。
「信じられない」
「え?ぇえ!?」
わからない顔をしているタカノブに腹がたつ。
「マユもコレをどーしてイイかわからなくて。でも、マコやイッセイくんを呼ぶのは違うって思うから」
「ダッシュしたのはナツキだから、気にしないでイイって」
そんなことを言いながら、ナナヤはマユちゃんを引いてどこかに行く。
誰かが怪我をしたとかじゃないからそんなものだろう。
気を使われた感じが余計苛立つ。
「その、タマちゃんがいなくて」
焦げた鍋がタマキの愛用品なのはわかる。嘆くだろう。
「何かあったかと思ったんだ」
声が震えてる気がして嫌だ。
「鍋を焦がしてしまって……」
ああ。見ればわかる。
キッチンの惨状はタマキが見ればショックを受けるだろうが知ったことじゃない。
「バカだろう」
「すいませんね」
ムッとした声。
ああ。もう。
「バカなのは私だ。そうだな。合わなければいつでもやめれるんだったな」
「先輩?」
「私は年上だし、キャリアを諦めるつもりもない」
「はい」
当たり前だという顔がどれほど気を楽にしてくれるか。
よし。
「まずは、恋人関係からはじめるか」
「え?」
「それとも、もう、必要ないか?」
プロポーズはまだ、受けられない。
「つきあってくれるんですか?」
「ああ。お互いに知りあってもみようじゃないか」
「プロポーズ前提で?」
「まずはつきあってみてからだ。まだ考えられない」
希望を見つけたような笑顔に顔が熱くなる。
「それより、食事はしたのか?」
「先輩、抱きしめてもいいですか?」
「職場じゃないのだから名前で呼んでかまわないぞ」
「ナツキさん、好きです」
ああ。顔が熱い。
「ああ。タカノブがスキだ」
後輩男子と女性魔術師のカップルで、寝室のシーンを入れたハピエン小説を書いて下さい。
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