告白を
使用お題ひとつ
「トレバー。ケガは?」
「ヘーキさ。アイツもはしゃいだだけだって」
トレバーは短い茶髪を掻き上げる。
うまくかわせなかったと悔いた口調のトレバーはいつも通り気にも留めずサバサバしてる。
こっちの心配はお構いなしだ。
好きだし、お前いるからここに就職を選んだとか笑われても困る。
サッサと爬虫類専門のショップに弟子入りバイトに行ったアイツに冷やかされてる。
トレバーはそんな気持ちで見てきやしないから。
「ミコト?」
ひょいっと覗き込まれた。いきなり至近距離の青い瞳は動悸が激しくなる。
「きーてるか?」
頷こうとして、持ってる札の番号が表示されているのが見えた。
「おとなしくしてろよ。薬、受け取ってくるから!」
「はいはーい。病院なんだから大きな声出すなよ」
周りに頭を下げながら薬を貰ったり、支払いを済ませる。
トレバーはにこにことおとなしく待っている。
トレバーはひとつ下。
日本人ではないけれど、叔父さんが養子にした。
歳に近いイトコたちとはよく遊んだ。
仲は良かった。でも、いつからか異性と意識した。
ただ無邪気に遊んでた頃から心が逸れていくのにトレバーに距離を置かれたくなくて、性差なんか見えないふりをした。
同じ屋根の下暮らしているけど、一番安全なのはその家の中。
滅多なことでは二人っきりなんてない。
「ミコト、帰れる?」
待つのに飽きてたのか、表情明るく見上げてくる。きっと、意識なんかしていない。
「ああ。終わったし、帰ろう」
帰る道すがら今日の出来事を話し合う。
するべきこと改善点はいくつもある。
夢を語る。現実を織り交ぜて実現に一歩進めていくための仕事。
ノウハウを得る。それが今の課題。
「頑張ろうな」
トレバーが笑う。
ああ。
「トレバー」
「んー?」
「好きだ」
「ああ。好きだよ。ミコト」
屈託のない笑顔が今、嫌だった。
いつもならこれで満足できるのに。
「ミコト?」
水を使う仕事だからトレバーの指先は硬くて優しい触感じゃない。
「これからも一緒に頑張ろうな」
日和った。
今、自分が日和ったのがわかる。
すっごい自己嫌悪。
ダメになったらトレバーは家を出て、職場も変えそうでコワイんだ。
「ずっと?」
「ああ、ずっと」
え?
視線がいつもと違って外されてて、すっごく心臓がうるさい。
「これからも一緒に時間を分け合いたい。苦しい時も楽しい時もトレバーといたいんだ。特別なヒト、だから」
「ミコト」
「コワイんだったらゆっくりでいいんだ。もし、そう見れないんなら、忘れてもいい。ただのイトコでイイから」
「ミコト。落ち着いて?」
ああ。青の瞳がトレバーの目がキレイだ。
「忘れない。ミコトがゆっくりでイイんだって言ってくれるなら。ミコトのそばはあたたかいんだ」
「トリビア?」
抱きしめてもいい?
ハグはトレバーも好きだよね?
「好きだ。だから、俺の一生のパートナーになってくれますか? 一緒に夢を見てくれますか?」
今さ。すっごい必死。
誰かに茶化されたら死ねる。
断られても死ねる。
でも、平気なフリをしなきゃいけない。
「ああ。喜んで。……ゆっくりで、イイんだよな?」
頷く。
「きっと、ミコトなら大丈夫だと思う。ダメだったら、」
「ずっと、パートナーだろ?」
怯えているのがわかる。
逃げないで。俺から逃げないで。
「ミコト」
「ずっと、見てきた。トレバーを、……トリビア、君を信じる。きっと大丈夫」
一緒なら大丈夫。
抱きしめて勢いでキスして顔を上げると手を振ってきた友人がいた。
絶叫を抑えるのが大変だったんだ。
それで今はトリビアがヤツをハグしてる。カップル成立おめでとうとハグしてきたことへのお返しだ。
だから、イラついちゃダメに決まってる。
「ミコト、パパに電話してイイ?」
え?
「ミコトとお付き合いしますって」
嬉しそうにトリビアが笑っていた。
同僚の男性とショートヘアの女性のカップルで、病院のシーンを入れたハピエン小説を書いて下さい。
#ハピエン書いて
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