シュガー
使用お題ひとつ
時間が作れて貴方と植物園デート。
会いたいと言ってくれてるのは惰性だろうかと疑うのは私が心が狭いから。嬉しいくせに信じきれない。
だって、告白して驚いたのは受け入れてくれたこと。
私は断わられる前提で告白したの。時々見かけて憧れていたから。
高校に入って父から貰った携帯。家族以外のアドレスは貴方だけ。
メールをしたら迷惑と思われる気がしてきたメールにそっと返信する。内容は簡潔に短く短く。
可愛く飾ることも出来なくてきっとつまらない子と思われていると思う。
だからいつかきっと貴方は他の誰かを好きになる。
私に留まっている理由なんてないから。
それでも、変わらないで今まで通りが続いて欲しい。
今、付き合ってくれているのが奇跡な気もしてるから。
景色が目に入ってこない。貴方だけ感じてたい。今だけだもの。
「僕が、嫌い?」
「違うの」と答えるけど貴方の眼差しは不信そう。
ねぇ。
好きなの。
ずっと、好きなの。
「僕は好きだよ。永遠不変の愛じゃないけどね」
ドキンとしたのにがくんとくる。
ずっとは続かないのは分かっている。
「どうして分かってくれない?」
「わかってるよ」
いつかきっと離れていくって知っていた。
大丈夫。
わかっていたサヨナラだから。
それなのに、目頭が熱い。
ポツリと指先に触れる感触。
鈍色の空から水滴が落ちてくる。
貴方に手をとられて駆け出す。
その握られた手が熱いの。
濡れたパーカーが冷たい。貴方の眼差しも冷たい。
人の心は変わるの。
わかってるよ。
貴方はきっと私に呆れてる。
きっと私より素敵に寄り添う人に貴方なら出会えるの。
「どうして分かってくれないの。僕はどんどん君を好きになるのに」
心臓が止まりそう。
掴まれている手首がやけに痛む。
わかるはずなんかない。
だって、私を好きになってくれる理由がわからない。
今すぐ世界が終わればいい。
変わらないで。
変化なんか欲しくない。
今の、この『好き』でいて。
変わってしまうことはこわいの。
今が、最高なら落ちていくだけだから。
この好きを大事に抱えていくの。
きっと呆れられて嫌われていつしか距離ができるの。
どうして分かってくれないの?
その日がくるのがわからないのが一番こわい。
幸せは甘い砂糖。
苦いコーヒーに溶けて消えてしまうの。
場所:動植物園、状況・条件:悪天候、必須の台詞:『どうして分かってくれないの?』
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