ズルい
使用お題ひとつ
君と久々のデートは植物園。
薄曇りでまだ過ごしやすいかと思っていた。
テーブル型や動物にカットされた大きめの鉢に植えられた木々。色を揃えて作られた花の絵画。
小さな名も知らない花。
手を繋ぎたいのだけど、君に拒絶されたらと思うとこわくて手が伸ばせない。
君の格好はいつも通りラフ。くせっ毛を無造作に束ねてタンクトップに薄いパーカー。スキニータイプのジーンズはラインがわかりやすいんだよね。
ベイビータイプの日焼け止めローションの匂い。
曇っていても紫外線はあるから、塗りなおしを勧める。
告白は君から。
僕は君を知りたかった。
だから付き合いはじめた。
会えるのは週に一度か二度。それでもその時間が大事だった。
間違いなく君が好きだ。
だから、君が『他に好きな人ができたら言ってね』と口にするのが嫌だった。
「僕が嫌い?」
君は首を横に振る。「違うの」と。
僕は君を手放す気はないのに君はいつも離れたがる。僕はイヤな存在になっているんだろうか?
「僕は好きだよ。永遠不変の愛じゃないけどね」
びくんと君の肩が揺れる。
表情は傷ついた色。
永遠の愛を語って欲しかった?
「どうして、わかってくれない?」
視線が僕から逃げる。
「わかってるよ」
君はわかっていない。
ポツリと額に水滴を感じる。君も感じたようで一緒に鉛色の空を見上げた。
生温い風はじっとりと絡みつく。
顔を見合わせて僕らは走り出した。
辿りつくのは少し広めで屋根のある休憩所。
壁はないがざあっと降りだした雨の直撃だけは避けられる。
喫茶店や売店、温室、屋内観覧の施設が近ければよかったのに。
薄いパーカーが濡れて張りついている姿に目のやり場が困る。
君はそこには無頓着。
君の額にはりついた髪をそっと払う。
汗だろうか、雨だろうか?
どちらでもよかった。
君の眼差しは不安そう。
きっと僕も不安そう。
そのヒヤリとした額に口付ける。
「好きだよ。変わらない感情なんか約束できない。出会った時から心は変わり続けているから」
「……そぅ」
君は傷ついた色を強める。
ああ。
君はズルい。
「どうして分かってくれないの。僕はどんどん君を好きになるのに」
変わらない愛なんて無理だよ。
僕はどんどん君をとらえておきたくなっていくのに。
「……痛いよ」
囁く君の声が嗜虐心を揺らす。
「嫌われても、逃がさないから」
場所:動植物園、
状況・条件:悪天候、
必須の台詞:『どうして分かってくれないの?』
http://shindanmaker.com/571142




