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埃雪の少女

昔昔、ある所に130年間動いていたブリキのお爺さんと150年動いているサイボーグのお婆さんが暮らしていました。

ブリキのお爺さんはネジを廻して貰えず、埃を被るまで家に留まり。

サイボーグのお婆さんはプログラミングされたとうりに朝の6時に川付近の全自動のコインリーへ洗濯をしに出かけました。

そこでお婆さんがドラム型洗浄機の蓋を開けると、なんと中に男の子が居ました。

お婆さんはプログラミングされたとうりに捨て子を交番へ届けて、また洗濯をしに出かけました。

洗濯カゴの中には何も入っていないのに。

おしまい


・・・・・・


「ははっ…ひでぇジョークだ」


タイトルは「壊れたサイボーグ」。どこかのサイボーグ制作会社のネガキャン作品か?

これの作者は他にもいろいろ書いているが、どれも偏った嗜好のものばかりだった。

これ以上の閲覧は時間の無駄か。


「はーあ。そろそろ買い物に行くか…」


そう言って手に持っているタブレットの電源を落す。

最近になって「誰でも技術者!」というサイトを閲覧するようになった。その名のとうり、「誰でも自由に作ったものを発表できる非営利サイト」というものだ。


「…んでも、ランキングっていうのも当てにならないもんだな」


時代というものは常に流れるもので。

どうやら自分好みの作品の時代は終わっているらしい。

最近は過去の童話をオマージュした小説やらマンガやらアニメやらゲームやら…細かいところまで言えばきりが無いが、まぁそれがブームになっていた。


「はぁ」


ため息をつきながら靴を履き、機械文明とはかけ離れた重たい扉を自分の手で開ける。

ぎい。と、数百年来の金庫が開かれたような音がする。


「空から女の子が落ちてきたりしねーかなぁ―――」




時はMC2000年。

人類が自らの手によって作り出した機械による世界。

初めは生活の補助として機械が製造され、いつしか要望や用途が変化して行き、人工知能まで作り上げたところで人々は機械に頼りきりになっていた。

そうして最上級の甘ったれた生活を望んだ人類は、その運命すら機械に委ねた―――




現在午後4時。朝飯も昼飯も食っていない。

なぜなら面倒だからだ。だが相反して暇でもある。ここで一句。

「退屈だ ああ退屈だ 退屈だ。」

五七五…この手の物は使い古され過ぎて、くしゃみで分子レベルになりそうだ。

まだ原子では無いところにこの句の有用性を問う。

…つまらない上無粋か。


灰色の空。灰色の建物。灰色の道路。

ビルの陰にはミイラと見分けがつかない人間で溢れかえっている。

ここは「ダメンズゴル」と言う。

上に住まう上層階級の残飯を食った豚の糞くらいのものしか与えられない。

社会から、およそ世界から見捨てられた街。


その街中を灰色のパーカーを着た灰色の髪をした赤い目の少年が歩いていた。

いや。おおよそただの少年と言う表現は正しくなかった。

背筋を曲げてだらしなく歩くその姿は「街にほどほど馴染んだまだ歩ける少年」だった。

いずれは辺りにだらしなく寝転がる半ミイラ男たちのようになるのだ。


「けっ。勝手に風化してろ」


自分はそうじゃねーぞと彼らの存在を意識の内で突き放す。


「もう俺には家と体以外何もねーんだ」


ガツンと足元で何かを蹴った。

顔を上げて前を見ると、灰色の空…もとい”天井”まで伸びる黒い塔が目の前にあった。

そう。何時の間にやら、ぼやいている内に少年は目的地まで辿り着いていたのだった。


「出て来い」


少年が声を発すとそれに対応するかのように塔に備え付けられた小型のモニターが起動した。


『ご用件:|』


光るモニターには使用者の指示を待つ言葉が浮かんでいた。

その下には文字を打ち込むたくさんの鍵盤があった。

だが、


「飯」


『ご用件:今晩の夕食を午後8時に提供|』


少年は鍵盤に触れること無くモニターへ指示を送った。

直後に準備中と記されたランプが点滅する。


「違う。今だよポンコツ」


『ご用件:ポンコツを今から提供|』


「だめだこりゃ…」


ついに唯一の生命線が絶たれた。

最後の一言に反応して『ご用件:r@mえgあkjjjj』と表示される。

完全に言語表示が壊れてしまった。

音声再生機能はとっくに動かなくなり、今日ついに言語プログラムも故障した。

ああ、こんなことなら素直に8時の夕食を待てばよかった。


この天井まで伸びる黒い塔は、上層の人間(機械)の監視カメラ兼ダストシューターだ。

現在、上の人間はこの装置に一切関わらなくなってしまった。

頑張ればここを伝って天井を抜けることが出来るが、そんな体力がここにいる人間どもに出来るわけがない。


がっくりうなだれ、食料確保を断念した少年は来た道を再び通ることとなった。


「いやだぁ…ミイラなんて嫌だぁ~…」


半ミイラ男たちは怪訝そうな表情で少年を睨むが、それが限界。怒鳴る体力も無い。

反発心を持っても睨むことすら出来ない者もいる。


「ん?」


とぼとぼと家路に就く途中。それは起こった。


「雪?」


ほろほろと、灰色の雪のようなものが降ってくる。

実際はただの埃のようだが、見上げて気付いたもう一つの発見。


「…え?」


ゆっくりと、しかし確実にこちらに近づいてくる。

灰色の雪に紛れて人型の「何か」も降ってきた。

落下速度は極めて鈍く、昔読んだ「空から降ってくる少女」を連想させた。

…のだが、だんだん近づいてそれが一人の「少女」だという事が分かった。

まさか本当に少女が降って来るとは思わなかった。


少女は徐々に地面に近づき…


「むぎゅっ」


背中から地面にべちゃりと着地した。


「いてて…ここは何処?」


起き上がって周囲を見渡す少女。

見ると着ているものは若干埃を被ってはいるが冬物のようで、装飾のモコモコがいたるところに付いている。

髪の色も淡く白く、幼い外見に良く似合う。


「はっ!」


そこですぐ傍にいた少年に気付く。


「み、見ていたんですか?」


「お、おう」


久々の他人との会話にぎこちなさがにじみ出る。


「たっ助けてくださいよ!」


「えっ?いや、なんていうか、見ていたかったというか…」


戸惑いながら曖昧な返事をする。


「女の子が落ちてきたんだから掴むなり抱きかかえるなりするでしょ!?」


「そう言われたらするだろうけど、それは現実を想定してないから言えるんだ」


ずっぱり少女の意見を切り捨てる。


「酷いです…」


「……名前とかあるの」


なんとなく聞いてみる。


「ミンク…と言います。何と言うか、追われてます」


名前だけを聞くつもりだったが完全に自己紹介になっていた。


「あ、あなたここの住人ですか?」


「そう」


認めたくないのでさも他人事の様に返事する。


「何て言う名前なんですか」


灰葉明蘭はいばあらん


「うっわぁ…」


名乗っただけでそんな反応されたらこちとら傷つくわぁ。

お互いがお互いにしかめっ面合戦を展開する。





この後、天井から降ってきた少女「ミンク」によって俺は強制的に上層へ行くことになる。

そもそもこの出会いこそが、「ハザード」という単語を鍵とした謎の組織と対抗する俺の物語の始まりだった。


MCとは 『マシンコズミック』と読む。

こちとらが出せるだけ出せる中二を開放してみた作品。

あらすじに書かれた内容は決心してからおよそ20分程度で完成させたラフストーリー。

現在執筆中の本命小説のついでか次回作として一話を配置。


なんだろうね。

第三者視点の書き方のクセが残ってるね。

次回からは本気で恥を捨てるつもりで、主観的にストーリーを進めていくよ。


この作品の本格的な開始は本命が済んだら。それまではまぁ息抜きか落書き程度に書こうかな。

あくまであらすじ分しか話が練られていないので続きが気になるなぁと言う方は物語冒頭の皮肉を見てお察しください。

そういうもんです。

私事を話せば、読んで書いて色々参考にしていれば、ほどほど技能は伸びるだろうという意気込みです。とにかく書けばよいのです。

ではでは、不定期更新の始まり始まり~。

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