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第3話

このような駄文を評価して頂きありがとうございます。

プロローグを書くのが難しく、なにやら自分でもわけが分からなくなってきました。

はやく自由な旅に移りたいのですが、私が不甲斐無いばかりにもう少しさきになりそうです。

翌日、裏庭で自主トレができなくなってしまったため、場所を中庭に移した。

この城は、余分な庭園がたくさんあって非常に助かる。おかげで、まだまだ魔法の特訓を続けられそうだ。


俺は早速、一昨日、昨日の検証の続きをすすめた。

得手不得手な系統によって、必要魔力は変化するのかどうか。昨日は散々なことがあったので、あまりよく覚えてはいない。


今日は、氷系統の攻撃魔法を行使してみる。

初級魔法の必要魔力は、大体おなじていどのようだった。

つまるところ、「火球ファイヤーボール」も「水弾ウォーターボール」も「氷槍アイシクルランス」も、魔力の消費は一緒ということになる。

これで、それぞれの系統によって行使できる魔法の回数に変化が生じるなら、検証結果は「変わる」ということになる。


「冷厳なる風に逆らえしその刃…、虚空よりいでその身を紅に染めよ。

氷槍アイシクルランス』!」


氷の刃が形成されていき、それが指定した方向へと飛んでいく。

いつ見ても、中二感満載である。

詠唱だって負けてはいない。こんなの元の世界で友人にでも見られてみろ。マジで恥ずい。

この世界の奴らはよくこんなセリフが言えるな。

少なからず尊敬するよ。



その日、放つことができた魔法の数は6発だった。

一番行使できた数が多かったのは水系統の魔法だった。

核心に近づいてきてはいるが、判断材料がまだ少ない。同じようなサイクルで、また回数を確かめていこう。


それから三日間、1日毎に火、水、氷、と違う系統の魔法を行使する。

結果はこのようになった。

・火系統  初級魔法5発でガス欠

・水系統  初級魔法7発でガス欠

・氷系統  初級魔法6発でガス欠


前回と同じだ。これなら十分な判断材料になるだろう。

どうやら俺は、水系統、氷系統、火系統の順に得意らしい。


これはなかなかの収穫だ。

自分の長所、短所がわかるというのは、これからの特訓における課題となってくる。

その上、本にも載っていなかったことを自分で見つけられたというのは、結構うれしい。


だが、まだ仮定の段階なので、この結果をあまり過信しないようにしよう。





「ヴァルゴッ!一体どういうことだ?!

あの勇者、まったく成長していないとたった今報告があった。

かれこれ一年近くも経つというのに。これでは時間の無駄だったではないか!!」

「申し訳ありません、王様。当初の計画通り、訓練を続けさせましたがどうやら期待はずれのようでした。この度は私が要らぬ進言をいたしましたゆえ、このようなことに…」

「そのような言葉を聞きたいわけではないっ!余が聞きたいのはこれからどうするかじゃ!」

「失礼いたしました。王様。

ここはやはり誰にも気づかれないよう殺すべきかと…」

「や、やはりそうなるのか。

そ、それでは今回のためにつぎ込んだ余の、余の金はどうなる?」

「…それはお諦めください。王様。

成功に失敗はつき物…。王様の御叡智をもってすれば、そのことはお分かり頂けるでしょう」

「そ、それはそうだが…。

ならば、ならば余の計画はどうなるのだ!

勇者の力を使い、大陸を我が物にするっ!この計画に支障は出ないであろうな?!」

「大丈夫です、王様。勇者はまた呼べばよいだけでございます。

今回の実験で、勇者召喚の儀式のことは大体わかりました。資金も飛躍的に少なくなるでしょう。

ですが、次回の儀式まではしばらく時間がかかります。ならばその間にやっておかなければならないことがあります。あの少年には気の毒ですが、ここは死んでもらいましょう。

近々、国をあげての祭りがあったはずです。そのときに殺すのでございます。

残念ながら、彼を元の世界へ戻すとなればまた王の財産が失われます。それに、今のこの世界の魔法では、彼を元の世界に戻すことは出来ません。だから殺すのでございます。さすれば、王の尊い財も失われません。

それに、殺すほうが後始末も楽になります。

みな祭りに夢中になっていることでしょう。勇者は目立つ存在ですが、それが盲点となります。

適当に、勇者は人知れず旅に出たといえばよいでしょう。大方国民や貴族たちも納得するはずです」

「…そうか!余の金はなくならぬか。それはよかった。金は余の物じゃ。誰にも渡さぬ。

…お主の言葉を聞いて一安心であるな。しかし、時間はどうにかならぬのか?」

「申し訳ありません、王様。それはどうにもなりません。

あの勇者があそこまで使い物にならないとは、露ほども考えておりませんでしたので…」

「何?!それでは、此度のことは全部あの勇者のせいではないか!」

「はい、王様…。その通りでございます」

「ぬうううぅう!

おのれ、あの糞勇者!!この大事なときに邪魔をしおって!」




完全な逆恨みなのだが、ユーキはその身に危険が迫っていることを知るはずもない…。





俺がこの世界に来てそろそろ一年になる。

毎日毎日訓練に自主トレ。ほんとにマジで死ぬかと思った。


この国の言葉にも慣れ、新たにいくつか他の言語も習得済だ。

こればっかりは城に感謝だ。

書庫にいろいろな本があったため勉強は比較的楽だったほうだ。

受験勉強に比べれば科目が1つしかないし、何より、どの言語も文法が日本語とほとんど同じだったことも幸いだった。


剣術も大分様になってきたのではないだろうか。

いつものようにフルボッコだが、そのおかげか俺の剣技は守備特化になってきた。


だって、ボッコボコは痛いし攻撃すれば相手もやり返してくるし…。

俺はあまり攻撃的な性格ではない。

正直、個人的には攻めるよりも守るほうが好きなので、これに関しては、いつも俺をいじめてくる糞野郎たちに感謝しよう。


魔法も以前より上達したのではないだろうか。

中級クラスの魔法も少しは扱えるようになったし、魔力量も増加したはずだ。

過信はしないようにしているが、あの検証結果は俺の中では公式化した。

その点から見て、一番苦手な火系統の初級魔法も、今では10発撃っても少し余裕をもてるくらいになった。


んで、今使える魔法はこんな感じだ。

攻撃魔法では

・火系統初級  「火球ファイヤーボール

・水系統初級  「水弾ウォーターボール

・水系統中級  「水壁ウォーターウォール

・氷系統初級  「氷槍アイシクルランス

・土系統初級  「地突アースジャベリン

回復魔法では  「治癒ヒーリング


…もう一個あるのだが、これは意味がわからん。


以前、書庫で探し物をしていたときに部屋の隅でほこりをかぶっていた本に書いてあったのだけれど、覚えんのは非常に簡単だった。

魔法の名前は「覆面トリックハット」とかいうやつ。

初級魔法。人の顔に上から魔法でお面をかぶせたようにして人の顔を偽造するのだそうだ。


そもそも、人の顔を偽造するってどんなときにつかうんだ?

やはりファンタジー、常人にはわからないことがたくさんある。



この世界のことについてもなんとなくわかってきた。

どうやらこの国は、アルナール大陸というところ、しかもそのほぼ中央に位置している。

国土面積は、他国と比べると幾分小さいようだ。これといった産業や特産物もない。

かろうじて交通の要所にあるということで、商業がいくらか発展しているようだが。


それぐらいだろう。

この国はどうやら弱国らしいな。



他に、アルナール大陸以外にもいくつか別の大陸があるようだ。

この大陸では、主に人間の国が多い。

エルフや獣人の国もあるようだが、何分規模が小さい。どちらかというと、集落といったほうがよさそうだ。


でもまあ、しかしエルフや獣人には会ってみたい気もする。

エルフは魔術に長けた種族、獣人はその獣の身体能力と人間の知能を活かした近接戦が得意、らしい。


エルフは美人が多いのだが、やはり獣人の猫耳なんかも捨てがたい。

ここはなんとしても彼らに会わねば。





この国の歴史を調べていたところ、近々大きな祭りがあるらしい。

建国記念日には、国をあげての祭りをするのがこの国の慣わしだそうだ。


個人的に祭りは嫌いではないのだが、俺はこの城の人たちに嫌われているため一緒に祭りに行く人がいるわけがない。


一人で祭りを楽しむ、なんていう上級者プレイは俺にはまだ早すぎる。




そもそも、俺が嫌われている理由がわからない。

人と接するときは、控え目に、礼儀と節度をもって接している。


美辞麗句だって忘れてはいない。

「お綺麗ですね」とか「今日も大変美しゅうございます」とか、必要最低限の言葉はしっかり言っているつもりだ。というより、この城の貴族や召使たちは揃いも揃って美男美女ばっかりだ。お世辞というより、厭味ったらしくいった本音というほうがいいだろう。


剣術や魔法の訓練でも、わざと出来ないフリをしている。いや、必要最低限のことしかできないフリをしているといったほうが正しい。

そっちのほうが、やっかみやらなにやらが少ないと思ったからだ。


結果、罵声や嫌味は飛んでこなくなったなったが、人々の視線はいずれも厳しいものだった。

たいていの人は俺のことを馬鹿にするような、呆れてものも言えないという感じの目でみてくるわけだが。

少人数の人だけ、俺のことを気味悪がるような目で見てくるのだ。


どっちかというと、後者の視線のほうが俺は嫌いだ。

俺と話すときは、薄気味悪い何かと会話をしているといった感じで俺のことを見ようともしない。

俺のことを見ようともしてくれないというのは、人としての存在を否定されているような感じがして気分が悪くなる。


それが嫌だったのだが、そこは我慢。いつかはちゃんと心を開いてくれると信じて懇切丁寧に接してきた。

それでも嫌われるのだから、このことは俺の手には負えない。


仕方ない。祭りのことは諦めよう。







夜の帳がおち、いよいよ建国記念祭がはじまった。

城から城下町を見れば、あちこちに篝火が灯され昼のように明るい。

中央広場にはいろいろな出店が立ち並び、人々はわれを忘れて楽しんでいるようだ。

流石に交通の要所、出店には各国の特産品が所狭しとならべられているとのこと。この出店の商品を買うためだけに来る人も少なくないらしい。

商人は、我先にと出店を開く場所を確保しにくるし、準備段階でもかなり盛り上がっていたのを覚えている。


一人寂しく窓から町の様子を見ているという事実さえなければ、俺も楽しめたのに…。



訓練も終わり、やることもないので城の中をブラブラしていたときだった。


「これはこれはユーキ殿、お久しぶりでございます。

この度のユーキ殿のご健勝にあらせられましては、こちらとしても喜ばし い限りです。あれから大事ないですか?」

「これはヴァルゴ様。ええ、私のような者にもそのような慈悲の言葉を掛けて頂き、恐悦至極に存じます。おかげさまで大事無く、恙無く暮らすことが出来ておりますのは、偏に皆様方のご厚意があればこそ…」


ヴァルゴが俺に声を掛けてきた。

ヴァルゴはこの城で唯一俺とまともに話してくれる人物だ。俺の中で彼への印象はなかなか高い。


「何をおっしゃいます。貴方様はわれらが希望…。健やかでいてもらわねばならぬのに、どうして雑な待遇で迎えられましょう」


あれ?こいつは何も知らないのだろうか。

ならもうちょっと、俺に対しての待遇をなんとかしてくれよ。

百歩も譲って、この城の人間の、俺への対応はどうでもいい。正直もう諦めている。


だがしかし、毎日の3食がパンと水だけってのはなんとかならないもんか。


「そうそう、王様より伝言を預かっております。

ユーキ殿、貴方様の外出許可がおりました。祭りを楽しんできてくださいとのことです」


本当か?!暇つぶしには丁度いい。これは願ってもないことだ。

けど、やっぱり一人で行くのはなんかちょっと…。


「本当ですか?

ご厚意、感謝いたします。早速行ってみたいところなのですが、何分地理に疎いものでして…。

誰か案内を頼ませていただいてもよいでしょうか?」


ここはヴァルゴの顔を立てたほうがよいだろう。

この際、誰と行くことになっても仕方がない。我慢しよう。

一人で行くのはちょっと悲しすぎる。


「左様ですか。では、私と行くというのはどうでしょう?

じつは私、この祭りの露店に出される隣国でとれる鉱石を用いたアーティファクトがほしかったところなのです。一人で行くのはちょっと華がないと思っていたところでして…」

「本当ですか!?

迷惑とは思いますが、是非ご一緒させていただきたいのですが」

「もちろんですよ。こちらから誘ったのですし、ユーキ様ともお話をしたかったのですから」


これはラッキーだ。

まさか、一番話しやすい人と行けるなんて。不幸中の幸いというやつだ。


「それでは早速参りましょう」

「はい!よろしくお願いします!」

「いえいえ、こちらこそ」


ヴァルゴは本当に話しやすい。

こちらの世界で出会った人物の中で一番腰が低い。

召使たちもそれはそれで低いのだが、彼らは俺のことを人としてみていないので番外だ。

貴族や、あの馬鹿王たちは話にならない。あいつらマジ、ゲキ怒ぷんぷん丸だし。


それに比べ、ヴァルゴは俺のことをちゃんとみて話してくれるし、こちらの他愛もない話にもしっかりと受け答えしてくれる。

会話ができるのはなんて楽しいことなんだろう。


「ハァーッハッハッハ!

これはこれは!王宮魔術師のヴァルゴ殿ではありませんか!」


ゲッ!

この声は…。


「これはこれは、ナルシェスト卿。お元気そうで何よりです。ですが、このようなところでいったい何を?」


でたぁぁぁ!ナルシェスト卿!

その名のとおり、ナルシストじみた愛すべき馬鹿。剣術訓練の教官の代表で、俺のことをいじめてきた張本人。

俺と話すことの出来る数少ない奴だ。

もっとも、話すことが出来るだけであって、まともにという点では該当しないのだが。


「ヴァルゴ殿もご健勝のようで何より。

いやなに、庶民の祭りとやらを見に行ってやろうというのだが会議が長引いてしまってだなアッハッハッハ!

…おや?そこにいるのは、駄目勇者のユーキ殿ではないか!

いやあスマンスマン。あまりにみすぼらしくて気づかなかった!」


残念な奴だ。

名家の出で近衛兵団の筆頭。身長も高いしルックスもいい。

それなのに、この口と性格のせいで周りの評価は著しく低い。


「これはナルシェスト卿。卿下の、いつもの見事な立ち居振る舞いには嘆息さえもれだしてしまいます。

このような低俗の者が、卿下とともにこの場にいるだけでも身に余る幸福…。にもかかわらず、私めのようなものにお声を掛けていただけるとは、まさに恐悦の至りでございます」


こいつは相手をするだけ無駄。適当にお世辞を並べておけば、勝手にいなくなる。

からかって遊んでもいいのだが、今日のところはお帰りいただこう。


「フハハハハハ!ハァーハッハッハッハ!

そうだろうそうだろう。駄目勇者のわりに、なかなかわかっておるではないか!」


ほらな。後もう少しだ。


「卿のような尊い御方のお暇を、私めのような低俗が取らせる訳にはまいりません。

私はヴァルゴ様とこれからしばし用がございますれば…。

ところで、卿もなにかお急ぎのご様子。私のことはお気になさらず…。卿と言葉を交わすことができたささやかな時間で私は満足でございます」

「ンフハハハハ!!そうかそうか!貴様のようなものにしてはなかなか気のきく言葉よ。

私は今気分がよい。この度の貴様の無礼は許してやろう!私に感謝するがよい!!

それでは駄目勇者、ヴァルゴ殿。今日はこの辺で…。私はこの後庶民の祭りを監視するという義務があるのでな!

フハハハハ、ハァーハッハッハッハッハ!!」


やっといなくなった…。

あいつは少し頭に栄養が足りてないようなので、軽い嫌味ならお世辞の間にサンドイッチで美味しく頂いてくれる。

こちらとしては暇つぶしになるので、あいつと話すことは嫌ではない。



さあ、めんどくさい奴も消えたので、気を取り直して行こう。

このようなお目汚しを読んでいただき、ありがとうございます。

お気に入りにも登録していただいて、涙が出るぐらい感動いたしました。

これからも、精進していきますのでよろしくお願いします。

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