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第一話 ここどこ!?稲荷町へようこそ!
そこは、小さな丘をまるまると使った境内に、その頂上が本殿という神社を中心とした町だった。
私営稲荷鉄道・稲荷本殿駅をまっすぐに伸びる大通りから続いている。
地方都市と侮る無かれ。
それなりに発展を遂げている。
さて・・・
この町の最高実力者は、宮司にして本尊・・・
その名は、稲荷小孤。
その日は、彼女の許婚が婿入りする日であった。
稲荷町のメインストリート・稲荷商店街は『婿入り記念セール』で沸いていた。
「な・・・なんだこれは・・・!」
稲荷秋尾は、仰天した。
「婿殿ですね。そこにお車を用意してございます。」
駅を降りたとたん、狐の耳と尻尾を持ったスーツ姿の男女に囲まれたのだ。
「事前にお送りになられた私物は、本殿の母屋に搬入されております。
後は、婚礼の儀を済ませてから、小孤様に詳しくお聞きください。」