第八話:街中にてのデート
第八話
俺は起きあがった。また汗をかいている。
最近、悪夢を見る確率が高くなってきた。なぜだろう?
いつも通りに栄介と健介との三人で登校する。
こいつら朝練ないのか?ふと思い立ち問いかける。
「今日は4月30日。今はテスト2週間前だぞ・・・。部活は休止中!」
「へぇ〜。」
知らなかった。っていうか、そろそろテスト勉強始めないとまずいってことですよね・・・。
4限目終了後・・・。
学校にて、テストの範囲が発表された。まだ範囲は広くない。
それを見て安心し、屋上へ向かう。言うまでもなく昼ご飯を食べるためだ。
屋上へぼろい鍵をはずして、でる。陽は温かく、風はほとんど吹いていない。
そこで先輩を見つけた。
「何やってるんですか?」
「あ、空君?どうしたの?」
「いやどうしたもなにも・・・、昼ご飯食べに来ただけですけど?」
一応告げて、「いただきます」という。そして弁当箱を開けて食べようとする。
「うわぁ〜〜〜!すごい!」
なんか、いつの間にか先輩が俺の隣に来ていた。当然驚き、少し引く。そして少し離れてから食べ始める。
また先輩がよってきたが気にしない。
「おいしそうね〜その弁当。ちょっともらうわよ!」
「えっ!?ちょ・・ちょっと!」
必死の抵抗も空しく、唐揚げをとられてしまった。でも、おいしそうに食べているのを見て、まぁいいかと思ってしまう・・・。
ぶつぶつつぶやいていたら、先輩が声をかけてきた。
「来週の日曜私と出かけない?」
しばらく意味を考える。意味を理解したところで納得し、うなずいた。
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14:00
時計はその時刻を示していた。
テスト勉強もある程度終わった俺は、町で待ち合わせをしていた。ってギャグじゃないぞ。
一応これはデート扱いなんだろうか?とりあえずそんなことを考えながら先輩を駅の前で待つ。
「ねぇねぇちょっと、お姉さんと遊ばない?」
でた!ナンパイベント!正直どうでもいい。ちらと見て、先輩ではないことを確認し、またのんびりと待つことにした。
「ちょっとちょっと〜、しかとはないんじゃないの〜?」
訂正。待つだけではなくて、追い払わなくてはいけないみたいだ。ため息をつく。正直言って面倒だ。
そしてその誰だかわからない人物へ向かって、言葉を発する。
「すみませんが、俺に何か用事があるのでしょうか?それとも、俗に言うお誘いというやつですか?」
「そんなのどうだっていいじゃ〜ん。料金はこっち持ちだし〜。」
そんな風に話す誰かさんを見て、またため息をつく。見事に会話がかみ合ってない。だめだなこりゃ・・・。
「ナンパとかお誘いなら遠慮しますけど。それ以外に用事はあるんですか?」
「そんなのどうだっていいじゃ〜ん。」
だめだこの人・・・。
「ナンパですね・・・。最終警告です。離れてください。人と待ち合わせをしているので。」
「それって女の子〜?そんなのよりあたしと一緒に居ようよ〜。」
最終警告を俺は発したはずだ。だからまず殺気を放った。それだけでここの周囲にいる人たちが消えた。
というより俺を中心として避け始めた。
「な・・・、なによ・・・。」
さすがに異質な雰囲気を感じ取ったのか、完全に引いた。そして俺は殺気を鎮める。
「ごめん空君!遅れちゃった!」
そこに先輩がやってきた。会釈をする。ただ先輩も、周りの人からでている俺に対する異質の雰囲気を感じ取ったのか、不安みたいだ。
「何なの?これ・・・?さっさと行きましょう!」
そういい先輩と俺は歩き始めた。そしていきなり聞かれた。
「空君・・・、あの感じはいったい何だったの?」
「あ〜・・・あれですか?ナンパされたので軽く怒ってやっただけですよ?」
「本当にそれだけ?ほかにもなんかあったんじゃないの?」
「まぁ・・・ありましたけど「言いなさい!」
急に会話をうち切られた。だけどまだ言えない。その旨を先輩に伝えると「そう・・・」といい、納得てはいないだろうが追求はやめた。
そして別の話題に切り替わる。
「先輩?これからどこへ行くんですか?」
「そんなの決まってるじゃない!」
決まっているのか。先輩って計画的だな。そんなことを思った俺をあざ笑うかのように、先輩は次の一手を打ち込んできた。
「これから喫茶店行って、そこで空君に決めてもらう!」
浅はかだった・・・・。
喫茶店・・・というより、ケーキ屋の方が正しいと思われる場所に無理矢理つれてこられ、飲み物を飲むだけですませた。
この手のケーキは絶対甘いのだ。俺は甘いもの嫌いだしな!
それに・・・居心地が悪い・・・。
周りにカップルが何組かいたけど、みんないちゃいちゃとスプーンで「あ〜ん」とかやっているよ・・・。
俺はまだそこまで変じゃない。目の前の誰かさんはそこの段階まで墜ちているけど・・・。そしてやってほしそうに見ているけれど・・・。
「じゃあ、どこ行きますか?」
ある程度先輩が食べ終わってから俺は切り出す。先輩の返事はひどく適当だった。
「空君に任せるわ〜。」
「じゃあスポーツ用品店に行って、その後文房具屋行って、本屋行って・・・でその後どうしますか?」
そういった瞬間先輩の表情が固まった。どうかしたのだろうか?
手を目の前で振ってみる。反応しない。
「先輩?」
呼びかける。反応しない。
「・・かく・・・と・・に・・・。」
なんかつぶやいている。聞き取れなかったけどいいとしておこう。そしてもう一度聞いてみる。
「ほかにどこか行きますか?」
返事はない。仕方なく立ち上がり「行きましょ〜。」と声をかけた。
今度は反応してくれたが、俺が支払うことに・・・。痛い出費、心が泣いた。
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文房具屋でシャー芯とシャーペンを買い、本屋へ行き、本を何冊か買った。
締めて2220円。これ以上使うとちょっとまずいことになる。
そしてスポーツ用品店へ行った。まだ先輩は不機嫌だ・・・。
俺、なんかしたかな?
「せんぱ〜い。ここ入るんですけどいいですか?」
返事はなかったけど入っていったからいいのかな?
そう思い俺も入る。先輩は速攻でどっかいなくなっていた。
速い・・・。
俺は先輩を捜すことにした。めぼしいところは一カ所だった。
「せんぱ〜い。」
一瞬で見つかった。サッカー系統の売り場のところにいた。じーっと見ていたので声をかけてからあがる。
「野球のところいますので!」
野球のグローブ売り場に行った。自分に合う新しいグローブを探す。
探し終えて何回かはめてみて選び終えた。青色の少し大きめのグラブだ。
「6800円です!」
高かったが・・・。
先輩を探しに行く。まだ同じ場所で、いろいろなものを目を輝かしながら見ていた。
「先輩?帰りましょ〜。」
「わかった・・・。じゃあ帰りましょうか!」
機嫌が元に戻ったみたい。よかった〜。
そんなことを考えていると聞かれた。
「空君なに買ったの?」
俺の持っている袋を見ている。でも俺は答えるつもりはない。
「秘密です!」
「空君、秘密おおすぎよ〜。なんか教えてくれたっていいじゃない。」
そんなこと言われても・・・。結構困る。
「しかたな「仕方なくないわよ!恋人なんだから!」
「からかうのがおもしろいですけど・・・、野球のグローブです。」
「からかってたの!?ひどい!」
でも笑いながら言っているから、大して怒っていないのだろう。
くだらない話をしながら家へ帰っていった。
さつきside
空君は野球をやっている。一回見てみたいかも。
そう考えた私はリョウに電話した。
「リョウ?」
「あ、さつき?どうしたの?」
「空君のこと何かわかった?」
「うん・・・、わかったわ二つだけね。」
二つわかっているようだ。微妙に言いたくなさそうなのはなんでだろう?
「じゃあ教えて!」
「一つだけよ。もう一つはまだ噂の段階なんだから。」
というわけで一つだけ教えてくれるらしい。
「元々いっちーは勉強より運動が出来る子で、シニアに入っていたらしいのよ。それでそこのレギュラーだったらしい。」
運動が出来るねぇ・・・。そうは見えなかったけどそうなのだろう。ちゃんと確証をつかんだリョウの情報は、はずれたことがない。
「そこのシニアは名門でね、一回全国ベストエイト行ったときがあって、その原動力がセカンドの進藤栄介、ショートの進藤健介、ピッチャーの立松閃、キャッチャーの大門和樹、
そしてセンターの市ヶ谷空だったらしい。」
その情報に、絶句した。そんなすごい選手だったなんて・・・。
「そしてその五人で『鉄壁のセンターライン』って言う異名をもらっていたらしい。」
「それってものすごいことじゃないの?」
「確かに。その準決勝も、この五人以外のところへたくさん打たれて負けたって話だから、能力的には結構高いんじゃないの?今度野球見せてもらえば?」
そういわれて私は言葉に詰まる。
「空君ね、秘密が多くて・・・。どこから手をつければいいかわかんないのよ・・・。」
「そうなん?じゃあ出来る限り調べてみるけどあんま期待しないでね〜。」
すみません・・・。
長くなりました。
テストあけ・・・。