第二十八話:学校なんて・・・
第二十八話
健介side
普段通りに学校へと歩く。いつもと違うのは栄介と空がいないことだけ。
「おっはよ〜!双子弟!」
「・・・その名称で呼ぶな。」
現れたのは水口。とっても変わっているやつ。
「双子兄とあいつはどうしたんだ?一緒に登校しないのか?」
「なあ一つお願いがあるんだが。」
一回とめてからもう一度言う。
「双子何とかって止めろ。二人で一つに見られるのは好きじゃない。それと、空と栄介なら休みだが?」
「へ〜あの馬鹿が休みね〜。珍しいこともあったもんだ。で、なんで休み?」
「精神的不調。それ以外に言うことはない。」
核心に踏み込むな。うざいだけだ。お前にあいつの聖域に入る権利はないんだよ。・・・今は、誰も入れないんだから。
「な、なんで市ヶ谷君が休みなんですかぁ〜?」
「え〜と川島さん?で、あってるよね?」
「忘れるなんてひどいです!なんで市ヶ谷君が休みなの?」
こっちを見上げてくる目。つくづく平和しか知らない目だと思う。思い込みでは判断できないけどな。
「あいつは精神的不調で休みだって。・・・なんだそれ?」
言うわけないだろ・・・。あんな状態の空なんか、誰にも言えない。
「まぁ、訳ありってことで納得してくれればいいよ?」
「本当か?」
水口が、こちらを鋭い目で見やる。なんでだ?
「なぜそう思う?」
「・・・進藤にしてはしゃべりすぎ。なにかおかしいと考えるほうが自然だろ?」
まぁ・・・、その通りだな。よく俺の事を見ている事に驚いた。そこまで気付いているやつは、滅多にいないってのに。
「あんた・・・、いや、あんた達か・・・。あんた達は自分達以外に線を引いてる。市ヶ谷とアンタたち兄弟で。悪かったわ。後でちょっと話させてくれない?」
俺の表情がきつくなったのだろう。空気の読み方が上手いな。俺は素直に感心した。
授業が始まる。あいつと昨日関わったやつを調べていく。やはりと言うべきか、霧月さつきがうかんできた。
適当に授業を受け流し終了の鐘が鳴る。三年の教室に行こうとしたとき、あいつに呼び出しを食らった。・・・覚えてやがったか。
「ちょっと来なさい!」
「・・・分かった。」
階段の踊り場。そこであいつは立ち止まった。水口がこっちを振り向いてしゃべり始める。今回ばかりは聞いてやるか。
「あんた達、昔なにかあった?」
「・・・別に、何でもいいだろ。話はそれだけか?」
はらわたが煮えくり返るような感じ。なんで知りたがる?
「ちょっとあんたの事を知りたかっただけ。それだけよ。もういいわ。」
あっさりしすぎじゃないのか?いったい、あいつは何がしたかったんだろう?
首をひねっている間に、チャイムが鳴ってしまった。急いで教室へと戻った。
退屈な授業ではなく、体育と言う非常にのんびりできる時間を使い休養をとる。こんどこそ、あの三年のところへいく。
俺は歩き始めた。
さつきside
私は一日中上の空だったと思う。
空君の事を考えてばかり。私の中で、彼の存在がいかに大きいかを思い知らされるような感じ。
「はぁ〜。」
「最近ずっとため息ついてるわね。しわ増えるわよ?」
ばっ!顔を覆う。しわが増えたら大変!今日はしっかりお手入れしようっと・・・。
「ええ。その通りね。」
ああ、上の空・・・。
空君は学校に来ていない。なんでだろう?お見舞いに行こうかな・・・?
いろいろ彼の事を考える。絶対重症だ。リョウに今の脳を見られたら、ものすごい事をいわれそうな気がする。
「霧月先輩はいますか?」
とげを持った声。それが私を呼びにきた。
「え〜と・・・、なにか用?」
「ええ。とても大事な用なので、屋上に来てくれませんか?」
なんかすごいとげを持ってる。しかも嫉妬の視線でじーっと見られてるし。顔いいけどそんなに見ることないのに。
「分かったわ。じゃあ行きましょう。」
微妙な腹の探りあい・・・、をしてると思う。
あっちはすごく真剣な表情。私は・・・、どんな表情?
「それで、空になにをしたんだ?」
確信的に問いかけてくる。疑問が頭をもたげる。
「空君になにがあったの?」
「ふざけんなよ。お前あいつに拒絶の言葉言っただろ。」
――――だいっ嫌い!――――
あの言葉を思い出す。心をえぐるような言葉を言ったこと。それは確かに悪いと思う。
「でも、なんでそのことを気にするの?」
「言ったんだな?」
「・・・言ったわよ。」
望んだ答えは返ってこない。かわりに返ってきたのは、痛みと、一つの音。
バチーン!!!
頬がジンジンする。思いっきりはたかれたって気付いたのは、少したってからだった。
「はぁ、はぁ・・・。」
私は呆然としながら、彼を見ている。のどから絞り出したような声で、彼は叫んだ。
「アンタがそんなんだから!ふざけんなよ!!!」
なにが言いたいのか、いつも要領のいい彼らしくない。
「―――っなにすんの!っ・・・」
胸倉をつかまれる。ものすごく手馴れているような感じできた。
「なにすんのじゃないだろ!お前のせいであいつは・・・!」
急に冷めたような顔になる。そして謝ってきた。
「悪かった。いきなり取り乱したりして。」
なんか少し冷静になったよう。でも、なんかおかしい。空君の事で切れるんなら、どうしてもう冷静になったのだろう?
その事を問いかけようとしたときに、彼のほうが、先に口を開いた。
「もう、空に近づくな。」
―――絶望の一言。私に見える景色が暗くなる。
「・・・なんで・・・!!!何でよ!」
それしか、叫ぶ事ができなかった。
嫌だ・・・!そんなの!
「もう、あんたには関係のない事だ。」
「それでも!なにがあったの!?なんかあったら助けたいじゃない!」
これが、私の偽らざる本心だ。向こうは、ため息をついて言った。
「助けたい?人は、人では救えない。せいぜい補助ができるくらいだ。人は自分で立ち直るしかない。」
「そんなことない!」
声が届かない。届いているのに。すると彼は、ケータイを取り出して話し始めた。
「栄介、ちょっと相談。・・・・」
その後はなにを言っているか聞こえない。
嫌だ。その思いが胸を支配する。
ケータイを奪い取って栄介君にも伝えたい・・・!私の想い!
「ほい、ケータイ。ちょっと栄介と相談したから、話してもいいよ。」
「・・・・????」
心を見透かしたようなタイミング。唖然としながらも、彼からの電話を受け取って耳に当てる。彼に聞こえないよう後ろを向く。
「・・・・。」
「・・・・。」
無言が続く。なにから話せばいいのだろう?
分からないけど、私は私の想いを伝える事にした。
「彼に会わせて!空君に会いたい!」
上手く言葉にまとめられない。言いたい事はここにあるのに。なんでまとめられないの?
「丁度良かった。俺もその提案をしようと思ってたんです。健介が言い始めたことだけど。」
後ろをばっ!と振り返る。が、誰もいなかった・・・。行動はやっ!
「じゃあ行くわ。今日これから。」
「これから!?」
返事を返さず電話を切り、走り出した。
学校なんてサボってしまえ!
最近はぐたぐたです。俺はずっと勉強、頭がおかしくなりそう・・・。
更新さらに後れると思うので・・・
すいません