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記憶の鎖  作者: 空き缶
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第二十一話:電車での邂逅

第二十一話

電車が揺れる。花梨に借りたMP-3を使い、気を紛らわせながらゆらゆら身体を揺らす。


「けじめ・・・それだけはつけないとな・・・。」


昨日、家についた後見た夢。・・・いや、夢ではなく過去。まだ、心にリミッターがかかっていて、全部を思い出したわけじゃない。まだ思い出したくないし・・・。

昨日はこんなことになってしまった・・・。たまに花梨の脳は正常かどうか疑いたくなる。


---------------------------------------------------------------------------------------

あの過去は、ぼくが封印した過去の一つ。なんだか涙が止まらない。全ての涙を体外に出したと思われたころに、やっと涙が止まった。

そして花梨を問いただす。


「花梨・・・。」

「な〜に、空?」

「なんでここにいるんだ・・・?」


疑問。当然出てくることだ。花梨の家からここまでは、結構な距離がある。どうしてこれたんだ?こんなに都合のいいときに都合のいいように花梨がくるわけがない。そんな偶然なんてない!だから尋ねた。


「なんとなく。」

「・・・・・・・・・・・・嘘だろ。」

「嘘じゃないわよ!暇だからこっちきただけだって!」


じとーっと視線を向けてみる。


「・・・・・・・・・・・・(じーっと視線を固定する)」

「・・・・・・・・・・・・(冷や汗をだらだら流す)」


約一分。この空気に耐えられなくなって、花梨が話し出した。


「栄介君がね、「空の様子がおかしいからみてやってくれ。」って言ったからここに飛んできたのよ。そしたらあんた玄関でうなされてるんだもの。驚いちゃったわよ!?」

「やっぱあいつらなら気づいちゃうのか・・・。」

「ねぇ。なにがあったの?」


別に花梨から見たらたいしたことじゃないけどな・・・。でも俺にとっては辛い。だから隠してきていたのに。


「・・・なんでもないよ。」

「そんなわけないから聞いてるの!」

「じゃあ、言いたくない。」


その言葉を受けて花梨は少し考え直したようだ。そして真剣な表情で俺に問う。


「じゃあ・・・、アンタなんでうなされていたの・・・?」


その言葉で、夢で見ていたものを全て思い出す。頭が痛い・・・。だけど・・・、だいぶましだ。


「空!大丈夫!?ものすごい汗だよ!」

「あはは・・・。平気平気。」


ちょっと間を空けて、俺は夢の内容を告げる。


「ちょっとね・・・。6年前のことを思い出しちゃって。」

「――――――――!」


花梨はなにもいえない顔で固まる。固まる。固まる・・・。

約1分が経過したころ、俺は花梨の頬をつついた。びくっとする。

花梨の起動完了!

じゃなくて。


「あのさ、あ〜ちゃんって覚えてる?明日会いに行きたいんだけど。」

「あ〜ちゃんかぁ。覚えてるけど?でも・・・明日学校でしょ?」


そうだった。今日は日曜。明日は学校だった。


「わ・・・、忘れてた・・・。っていうか花梨はなんで明日学校なのにここにいるんだ?」


花梨はにっこり笑って言う。


「明日開校記念日だから泊まりにきた!明日は父さんも来るって言ってたし。」


おじさん来るのか。なんでだ?あの人も仕事あるだろう?そのことを疑問符にして告げようとする。

口をあけたところで花梨に台詞をとられたが。


「父さんはね、空のスカウトに来るって。何でも今日の試合見たらしいよ?友達のビデオで。」


やっぱり・・・。逃げようか。怖いし。


「明日学校サボるわ。んで、上手く言っといてくれ。それに・・・、明日は引っ越してきた日だし。」


そういってみる。多分・・・だめって言うだろうな。


「いいよ。」

「いいのかよっ!」


予想に反してあっさりと認めてくれた。そしてかばんからあるものを取り出す。


「MP-3?」

「はい!こんなこともあろうかと持ってきていたのですよ。ふふふ・・・。」


こえ〜!アンタ予知能力でも持ってるんですか!?こんなこともあろうかとってどんなこと考えてるんだよ!

天才の考えは、俺にはわからない・・・。



---------------------------------------------------------------------------------------


とまぁ、こんな変なことがあって、俺は電車に乗っている。隣の県へと向かう。家の鍵は持っている。なぜかというと、おじさんがそこの家を譲り受けて仏壇がおいてあるらしい。

三人分・・・。

父さんと母さん、そしてじいちゃん。視線を伏せる。


「それにしても暇だな・・・。」

「あれ?市ヶ谷君?なんでここにいるの?」


視線を上げる。目の前にあったのは少し長い髪。だれ・・・?


「え〜と・・・、確かに俺は市ヶ谷空ですけど・・・。あなたは誰ですか?」

「なんだよ〜。私は誰でしょう?」


この声聞いたことあるな。一回だけ・・・。誰だっけ・・・?思い出せ!過去の記憶を検索する。ヒット件数、10000以上。

・・・・・10000以上?なんでだ?

降参してしっかりと顔を見る。顔を見て思わず「うわっ!」と叫んでしまった。


「わっ!っていい度胸ね・・・!」


青筋出てますけどいいんですか?こめかみぴくぴく動いてるし。ニコニコ笑っていたらごまかせるなんて思わないほうがいいですよ?


「まぁまぁ、そんな怒らないでください。梓先輩。」

「怒るに決まってるでしょうが!」

「ここ電車内ですよ?」

「うっ・・・。」


忘れてたんですか・・・?だめじゃないですか・・・。っと言うより、なんで先輩がここにいる?


「なんでここにいるんですか?今日は学校ですよ?」

「自分のことを棚もあげて・・・。」


といいつつ、俺の隣に座る。


「私はちょっと親に呼ばれたのよ。確か・・・、おばあちゃんの一周忌。」

「そうですか・・・。先輩のおばあさん亡くなったんですね。」


しんみりとした雰囲気が漂う。この雰囲気は嫌いなんだけど・・・。打開できない。所詮他人の俺には。

暗い沈黙が続く。


『次は〜山崎〜山崎〜』


丁度いいタイミングでなってくれた。俺はここで降りる。椅子から立ち上がったところで先輩も立ち上がる。


「「ここで降りる(の)んですか?」」


はもった。さっきまでの気まずい雰囲気は、どっかへ飛んでいってしまった。


改札を通り、そこで別れた。単に俺が場所を忘れていたのもあるけど。


「すいませ〜ん。」

「は〜い」


交番へ入り地図を見せてもらう。見つけてお礼を言う。この住所を聞いても、近所の人以外は・・・恐れない。時の流れは速いもんだ。


「6年か・・・。やっぱり長いな・・・。」


そう、あのころは誰もが俺に軽蔑の視線を向けてきていた。ぼくはそれに耐え切れなくなって・・・逃げたんだ。



ぼくが――――弱かったから。




もうだめだぁ・・・。燃え尽きてます・・・って言うのは嘘ですけど。

でも更新速度は落ちています・・・。とりあえず、一章は次で完結、その後人物紹介をはさんで、

二章に行きます。

更新速度落ちていてすいません!

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