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記憶の鎖  作者: 空き缶
15/31

第十五話:露見

ここまで読んでくださりありがとう。

とりあえずここは私の要求を言わせてもらおう。

空の家へ移住したい!

by市ヶ谷 雅弘


却下します。

by作者

第十五話


今日は休日。一日バイトに明け暮れる。最近は、叔父さんの家が生活費まで送ってくれようとした。

というより、叔父さん本人だけが送ろうとしたみたいだ。そのお金は送り返したが。


「ほいっ!空これ運べ!」

「ハイ!」


急いで荷物を荷台へ積む。物事をいろいろ確認しながら積み込む。天地無用もOKのはず。

そう確認していると、松山さんが来た。


「今日は久しぶりに、一緒に配達行くかぁ?」

「そうさせてもらいます!」


そうして歩き始めた。今回は近くの家10軒ほどを回るらしい。だからトラックに乗り込む。

シートベルトをつけ、松山さんの顔を見る。

かっこいいとまではいかないが、男らしいというかごつい感じの顔。目が細く、筋肉がとてもある。

そういう俺も、この仕事を始めてから筋肉がたくさんついた。下半身もしっかりしてきたと思う。


「なんだ?空。ついに俺に惚れたか?あいにくだが、俺には妻子がいるんだ。」

「残念ながら惚れてませんよ。僕にはそっち系の趣味はないんです。」

「何回も言ってるだろう?敬語は使うなって。俺は知ってるやつの一人なんだからな。」


そうはいっても年上に対しての敬語を使い慣れてしまっているのだから仕方がないと思う。

努力しようとは思うのだが。


「善処してみます。」

「仕方ねぇ、諦めるか。」


そのセリフを何度聞いただろうか?諦めても次の日にはまた復活する。


「それと暑いんで、窓あけていいですか?」

「そりゃもちろん大丈夫だが?」


そんなことより暑い。窓を開けた。

しばらく無言で松山さんが運転する。周りの景色がどんどん入れ替わる。

それを俺は見つめていた。




「ついたぞ。荷物出せ。」

「はい。」


荷物を台車に積み、運ぶ。その間に松山さんはチャイムを鳴らす。

荷物を届ける。確認をして礼を言い、去る。

その繰り返しを10回ほどやった。そして、最後の一件に向かっている。


「今日はこれで終わりですね〜。」

「おう!今月の給料上げといてやるよ。」

「本当ですか!?ありがとうございます。」


ラッキー!もっと今月はまじめに働かないと。

報酬に見合うだけの働きをしないと、給料が下げられちゃう。


「じゃあ冷房つけるか。」

「かんけーないじゃん!」


思わずつっこむ。つっこんでからふと思う。

ここの景色、なんか見覚えないか?


「じゃあ窓閉めろよ〜。」


じゃあって・・・、こんな時って何言っても無駄かな・・・。



最後の配達する家に着く。見覚えがあったのは間違いではなかった。


「ほい!空!ラスト一件!」

「了解しました!って、ぇ・・・」


目の前にあった家は霧月先輩の家だった。

もしかして今日の配達はここなのか?ちょっと見られたくないんだけど・・・。

俺の希望は打ち砕かれなかった。松山さんは、反対側の家へ行っていた。俺はほっとし、荷物を台車で運ぶ。


「松山運送です!」

「はぁ〜い。」


そんな風に話しているのが聞こえる。


「お〜い、空!荷物もってこい!」

「はい!今行きます。」


そういい、荷物を持っていく。

俺たちは荷物を渡し、車に乗り込む。

先ほど閉めた窓を開き、外をぼーっと眺める。

俺はその瞬間息をのんだ。

霧月先輩が向こうから走ってきた。こっちを見ている。思いっきり気づかれたかも・・・。

ま、いっか。ばれてない、たぶんばれてない。

そう思ったけど、俺は帽子を深くかぶった。

松山さんがこっちへ来る。乗り込んで来た。そしてエンジンをかける。


「じゃあ行くぞ。帰ったらアイスおごってやるからな。」

「は、はぁ・・・。」


トラックがようやく発進した。その瞬間気づかれた。間違いない。こちらを凝視している。

すれ違い、ようやく一息つく。途中でスーパーによって、某アイスを買った。



会社へ戻る。今日の仕事は終わりを告げた。だから買ったアイスを食べ始める。

ふつうのバニラ味だがおいしい。ゆっくりと味わいながら食べて、ぼーっとする。

声がかかり現実へと戻された。


「空〜!お客だぞ〜!」

「は〜い!今いきま〜す!」


この働いている場所を知っているのは誰だろう?いやな予感は当たるものだ。だからささやかな抵抗として、階段をゆっくりと下りた。

いやな予感はうれしくないことに見事的中してしまった。ほんとがっくりくるよ・・・。


「先輩、こんなところでなにしてるんですか?」


俺は少し言葉に刺を持たせた。見つかりたくはなかったのに・・・。

だから気を利かせてもらえるところで働いていたのに・・・。せっかくの努力が無意味になってしまうじゃないか!

そして先輩は俺の不機嫌な状態を察したのか、ちょっと驚いていた。


「もう一度聞きます。なにをしているんですか?」

「ちょっと空!そんな言い方はないだろ!?ちゃんと話せ!」

「黙ってください!こっちとしては大問題なんです!」


俺は怒った。本当にいい加減にしてほしい。

すると松山さんがものすごいにらみを送ってきた。


「いいから、ちゃんと話せ。これは、社長としての命令だ。」


ものすごいすごみだ。俺が怒ったときなんかの100倍は怖い。


「わかりました・・・。先輩、ちょっと来てください。」

「・・・・・。」


先輩は黙ったまんまだ。そして動く気配がなかった。どうしたんだろう?

やっぱり俺の態度のせいかな・・・?それだと少し悲しくなってくる。



-------------------アンタナンカ-----------------------


何かいやな音が頭の中で響く。気のせいだと思いたかった。

先輩はまだ動かない。そして僕の視界がぐらつき始めた。それに耐えて、先輩に声をかける。


「先輩?行きましょうか?」


動かない・・・。本当にショックを受けたんだろう。

僕もちょっときつい。とりあえず立ち直らないと。

そして今度は強制的に腕をつかんで、二階へと引っ張っていった。

途中で我に返ったのか、あわてて俺から離れたけど。



「・・・・・・・。」

「・・・・・・・。」


二階で座る。沈黙が続く。その沈黙を破ったのは俺からだった。


「で、聞きたいことはなんですか?」


問いかけてみる。俺はこの重い沈黙に耐えられない。


「全部。」

「却下します。」

「けち〜〜〜。」


なんか先輩、性格変わってない?


「じゃあなんでバイトしているの?」


先輩は俺のことについて核心に迫れると思っているのか、問いつめてきた。

答えるべきなんだろう。言いたくないことを省いていき、内容を決めた。

隠せないこともあるんだよなぁ・・・。そう心を慰めながら、俺は語り始めた。


「俺の家ものすごく静かだと思いませんでした?」


まず外堀から埋めていく。先輩は首をひねっている。

そのときのことを思い出しているのかなぁ?そのまま俺は続ける。


「今、俺は一人暮らしなんです。今俺が言えるのはそれだけです。」


端的な事実のみを告げる。驚いたのかな?

確かにそれしか言えない。だからこそ先輩は怒らないだろうか?


「そうだったの・・・。大変なのね・・・。」

「あ〜・・・。別に大変じゃないですよ?楽しいこともいっぱいありますし。」


この言葉が本心かどうかは、言葉にだした俺にもわからない。

だけどその言葉が本当になればいいなぁ・・・、って思う。本心から。

だから・・・。


先輩を家まで送っていった。いろいろ話した。

そして家へ帰りぐっすりと眠った。

先輩は俺のことを同情するのかな?俺はそんなことはされたくない。

絶対に・・・。

とりあえずちょっとずつはがしていき始めます。

うまくいくかはわかりませんが・・・。

とりあえずこれからもよろしくお願いします。

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