とある少女の復活逆転劇:もう1度、あの空へ:目指せ!憧れの魔法使い
私は、魔法学校に、通っています。
憧れていた「おばあちゃん」のような、魔法使いに、なる為です。
しかし、私は、必修課題の「空を飛ぶ」事が超苦手。
毎回、落下して、しまいます。
他の魔法を、覚えるには、この課題の習得が、必須とされてます。
当然、この課題を、クリアしないと、卒業など出来ないのです。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
そんな私の相棒は、ボロボロの、古い魔法のほうき。
子供の頃「おばあちゃん」に、もらった、大事なほうきです。
「おばあちゃん」は、私にとって「憧れ」です。
でも、その「おばあちゃん」は、もう、いません。
古いほうきで飛ぶのは、とてもムズカシイらしいです。
だけど、私は、このほうき以外を、使う気になれませんでした。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
落下する度に、周囲から、笑われ続けました。
でも、私は毎日、ほうきに、お礼を言っていました。
「ありがとう、今日も頑張ってくれて」
「おばあちゃん」は、言ってました。
「ほうきは、『言葉』は話せないけど、『意思』を持ってるんだよ」
だから、話しかければ「気持ち」は、ほうきにも、伝わると思ってました。
そうして、いつも、ほうきに、話かけるのです。
ですが、周囲は、それを見て、嘲笑います。
ほうきに「意思」など、あるハズがないと……。
それでも、私は、ほうきが、かすかに反応してくれてる事を知っていました。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
ある冒険実習の日、私と、仲間が、危険な谷へ落ちました。
とても、危険な魔物が跋扈している……
……深い、深い、谷でした。
この時、仲間のほうきが、全部、折れてしまい、飛べなくなりました。
そして、魔物たちが、私たちの方に、迫ってきていました。
その時、このほうきが、奇跡を起こしました。
ほうきは、誰も乗せずに、ひとり飛んで見せると、私を跨らせました。
そして、フワリと、飛んでみせたのです。
それどころか、仲間も一緒に跨らせ、仲間と一緒に、空高く運んでくれたのです。
とても、速い速度で、飛行したので、魔物たちも追いつけませんでした。
こうして、危険な谷から脱出出来ました。
「ありがとう、助けてくれて」
私は、ほうきにお礼を言いました。
だけど……。
本来、ほうきは、ひとり乗りです。
なのに、数人乗せて、飛んだのは、無茶だったのでしょう。
安全なところまで、戻った矢先、ほうきは、ポッキリ折れてしまった。
私は、いつものように、ほうきに、話しかけます。
「ごめんね、無茶させて……」
けれど、ほうきは、何も反応して、くれませんでした。
私は、仲間たちに、お礼を言われました。
谷の上で、待っていた、皆からも、賞賛されました。
皆は、私が飛べた事にも、心から、よろこんでくれた。
今まで、飛べずに、苦労してた事を、見て来たから……
他の魔法を、覚える許可も、おりました。
けれども、私は、よろこべません。
たぶん、とても、うかない顔を、していたと思う。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
私は、ほうきを、治そうとしました。
しかし、この世界では、ほうきは、消耗品という扱いです。
修理に応じてくれる先が、見つかりません。
何件もの、ほうき工房に、お願いしましたが、断られます。
周りの皆も、新しいのを、買った方がいいと、言われます。
友人から、見た目ソックリの、ほうきを、プレゼントしてもらいました。
ですが、どうしても、使う気になれません。
人づてに、辺境のお店で、修理しているところがあると聞きました。
8日かけて、その店に、行ってみました。
そこでは、当面の予定が、埋まっていました。
修理出来るのは、早くても、半年先になるみたいです。
それよりも、価格表に驚きました。
修理代は、とても高かったのです。
とりあえず、仮の予約を入れますが、とにかくお金が足りません。
お金を、ためる為、魔法学校を休学し、多くのバイトを掛け持ちました。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
お金が、たまったので、もう1度、そこを訪れたのですが……。
店主から、治せないと言われました。
「魂が抜けちまってるよ」…と、言われました。
せめても……という事で、
ほうきのかけらを、アクセサリにしてくれました。
私は、お店の方に、何度も、お礼を言いました。
「ありがとうございます。ありがとうございます」
それを身に着け、別な道で頑張ろうと思いました。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
私は、空を飛ぶ事をあきらめ、魔法学校を中退しました。
校長からは、気が変わったら、復帰出来るように……
籍は残しとくと言われました。
でも、私は、戻るつもりは、ありません。
もう「あのコ」はいないのだから……
「あのコ」の代わりなど、考えられなかったから……。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
喫茶店での、バイトを、続ける事にしました。
修理代を稼ぐ時から、通っているバイト先です。
そこには、寄り添うようにしてくれる、新しいほうきがいました。
「励ましてくれてるの? ありがとう」
寄り添ってくれるたびに、そうお礼を言った。
ある日、魔法学園で、事故が起こりました。
魔導ビジョンで、その様子が報じられていました。
昔馴染みの友が、危険な状況に陥っている様子が、映ってたのです。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
かなうなら、助けに行きたい。
だけど、私には、もう「あのコ」はいない。
そんな時も、新しいほうきは、私に寄り添ってくれた。
「励ましてくれてるの? ありがとう」
いつものように、そう言った……
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
その時、ほうきは、突然、私を跨がせると、空をとんでみせた。
そして、私は、気づいた。
この飛び方は……!?
この独特なクセは……!?
紛れもない「あのコ」だ!
そのほうきが「あのコ」の生まれ変わりだった事に、気づいたのです。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
私は、もう1度、空を目指す。
私の瞳は、強い意志で溢れていた。
そして、私の心は「ありがとう」の気持ちで溢れていた。
ありがとう、生まれ変わってくれて……。
ありがとう、側にいてくれて……。
ありがとう、励ましてくれて……。
ありがとう、もう1度、飛ぶ事を思い出させてくれて……。
ありがとう、あなたの事が大好きよ……。
ありがとう、もう、負けない!!
あなたが、いてくれるなら、もう、負けない!!
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
私は、このほうきに乗って、友の元へと向かいます。
もちろん、友が乗る為の、もう1本のほうきも持って……




