神絵師、大いに狼狽え、そして……
「えっ……えっ……嘘……えっ……」
目の前で起きていることで、私はパニックになっていた。
まさか、会えなかったことで、こんなに号泣しちゃうなんて、思ってなくって。
ええええ、ちょ……羅那くん、何かあった?
あ、いや、私に会えなかったから?
え、そんなに期待してたの?
嘘……えっ……私、彼を傷つけてしまったの?
「うわああああああんんん、だってだってさ、本業で……本業でも、失敗したみたいだしさ……それに……それに、俺、神絵師様にも……嫌われちゃったみたいだし……うわああああああんんん……」
えっ、今、本業でも失敗したって……えっ……だって、完璧な王子様……いやいや、待って!!
でも、羅那くん……陰ながら頑張ってたっけ。
前、雑誌の特集であった、インタビュー記事。
『これでも、最初は大根芝居だったんですよ。だから、子役の頃から、一生懸命に練習重ねたり、研究したりしてきました。お陰でたくさんの皆さんから応援してもらえるようになれて、本当に嬉しいんです』
もしかして、物凄い努力した結果……今があるってこと?
私、彼の輝くところしか見てなくて……影の所なんて見てなくて……。
私、彼のどこを見てきたんだろう。
私、彼に本当にいけないことしてしまった。
なら……私は、私がやるべきことは……。
急いでパソコンに向かい、急いでメールを送った。
読んでくれるか分からない。
でも、もし、彼が見てくれたら……そのときは、きっと。
私はなるべく綺麗な格好をして、そして、夜中だというのに、外に出た。
「ひっく、ひっく……」
ようやく、落ち着いてきた。そろそろ、止めないと本当に放送事故になる。
「ごめん、皆……今日はちょっと無理だから……えっ……ちょ、待って……」
僕はようやく、それに気づいた。
メールが来ている。
「えっ……嘘……さあや先生から……メール来てて……!!! ご、ごめん。後でまた報告するから、今日はこの辺で、ごめんっ!!」
僕は震える手でライブ配信を止めた。
そして、もう一度、改めてメールを見た。
『もし、今からでも会えるなら……どうしても、会いたいです。
都橋3丁目の駅直ぐにあるファミレスで待ってます。
24時間やってる店です。
一番奥の席で、お待ちしています。 未来さあや』
「さ、さあや……先生……いや、これは……」
もし、あの子達の話が、正しいのなら……きっとこのファミレスで待っているのは……。
僕は例のヲタクファッションに身を包み、急いで駆け出した。
彼女の待つ、そのファミレスへと向かって。




