神絵師大慌ての巻
どどどど、どうしよう、どうしよう!!!
楽しみにしてたけど、羅那くんが……いや、シドくんが……コミケ会場に来ちゃう!!!
え、会えばいいじゃんって? 無理無理無理っ!!!
雲の上のような理想を現実にした人を前にしたら、絶対に私、正気を保てないと思うの!!
それにそれに、きっと、私……。
「羅那くんに捕獲されるのが目に見えてるっ!!!」
ぽわぽわぽわーーん。
以下、サナの妄想です。
壁サークルスペースにて。
「なっ……そんな、君だったのか、サナ。君が僕のガワを作ってくれた絵師だっていうのか?」
「え、えっと……黙っていてごめんなさい。でも……」
「いや、許さないよ。だから……これからは僕の側にいて欲しい。僕は君のことが……」
「だ、だめえええええ!!!! 心臓が耐えられない!! うううん、推しは遠くから見るのが鉄則!!! 無理無理無理無理!!!」
思わず、真っ赤になる顔を抑えて、私はその場でしゃがみ込む。
よかった、今、家でよかったよ。
いや、深夜の配信だから、家にいるのは当然なんだけど……けどけど、ホント無理っ!!!
こんな状況耐えられない。
と、なると……かくなる上は……!!
『あーサナ姉、珍しいね。なんかあった?』
「ごめんね、星流、側に美風もいるんでしょ? なら、一緒に聞いてくれる? 二人が欲しいって言ってたゲームソフトを一つずつ買ってあげるので、また、売り子を頼みたいんだよ。いいかな? その、コミケの日に……仕事が入っちゃって」
『りょー。ラッキー。丁度、欲しいのあったんだよね』
『でも、珍しいね。直に手売りするのが趣味なサナ姉が、サークル参加休むなんて』
「まあ……仕事だし……ね」
言えるわけない。ヤバい客が来るから逃げてるなんて、流石に双子の妹達には言えない。
ついでにいうと、妹達には既に、売り子のノウハウを叩きこんでおり、どこに出しても問題ないくらいです。はい。
『で、新刊はどのくらい?』
「今回は1冊だけだよ。それにノベルティをひとつつける感じだね。1セット1000円の予定」
『りょ、美風もオッケーって言ってる』
「じゃあ、後で欲しいソフト、教えて。それじゃーね」
ぷつんと、電話を切って、ほーっと息を吐く。
「これで当日は……どうにか避けれるかな……」
今はまだ……会えない。
しかも、あんな格好よすぎる推しにあったら、きっと……。
今までの関係とか全部……吹っ飛んじゃうと思うから。
そして、私はせめてと存分に力を込めた新刊を完成させるのであった。
また羅那くんに似てる彼を出しちゃったけど、それは見逃して欲しい。うん。




