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私の彼氏は人気俳優でVチューバーです?  作者: 秋原かざや
本編

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6/12

こんな日が来るとは思ってもみなかった

「……え、今、なんていった?」

 思わず、僕は確かめてしまった。

 気のせいではないよな、聞き間違いではないよな?


「だから、羅那。お前に特撮ヒーローものの依頼が来ている。ほら、台本だ。そこにあるエリート捜査官。そいつがお前の役だ。しかも変身して味方と一緒に戦ったり、裏切ったりするらしいが……」

 プロデューサーの父さんが台本を投げてきた。

 ちゃんとキャッチして、台本を大事に表に向ける。

 おいおい、そういうのは大事にするんじゃな……!!!!!!!!!


「これ、新作じゃん!!!」

「んん? お前、知ってるのか?」

「知ってるも何も……ええええ、こんな時期にもう準備するの? マジで……宇宙刑事ブレイバー2じゃんっ!!! ええ、ちょ……うわ、マジで……えっ……もしかして、このエリート役のイツキが俺の役……ヤバ。すっげえ、楽しそうじゃん……1話だけですっげえ楽しそうなんだけどっ!!」

「で、どうなんだ?」

「……無理」

「ああ、わかった、じゃあ断って……」

「ちがーーーうっ!!!」

 電話をかけようとするのを、必死に俺は止めた。がちゃんとすっげえ音させちゃったけど。

「その無理は、こんな尊すぎて素晴らしい神番組に俺が出るなんて、死にそうなほど光栄で堪らなくて無理なんですけど、全力でやらせてもらいますの、意っ!!!」

「……そうか。ならそう言え。誤解するところだったぞ」

 ちょっと父さんが生暖かい目で俺を見ている気がするけど……気にしない!!

 これはきっと、俺のキャラを見て書いた当て役な気がする。となると、これはやらなきゃ。

 しかも、イツキ、変身しちゃうの、やっばーーーーポーズってこうかな? それともこう……うわ、しまった、また見られた!!

「まあ、真剣にやってるってのは分かった。やりますって伝えておくぞ」

「あ、待って……俺から言わせて!! 父さんに言わせたら、変なこと言いそうだから!!!」


 こうして、僕は新しい特撮ヒーロー番組に出演することになった。

 ヤバい……いつか出れたらいいなって思ってたら……夢がかなうなんて……!!

 しかもアクションあるし!! これは絶対やりたい、ぜったいにやるっ!!!



「でさ、本業もすっげえ、順風満帆なことになってさーほんと嬉しくて嬉しくて……」

 で、今はプラモを作ってる。手元だけ映して、素組。

 素組っていうのは、何も塗装とかしないで、組み立てだけするってやつ。

 本当なら、ゲート削ったり、塗装したり、完璧に仕上げたいところなんだが……まあ、プラモ回第一回で、そんなモリモリにしたら、見れないだろうし、第一、何回撮るんだってことになって、普通のプラモを組み立てて……せめて墨入れくらいはしたいところだ。

「お、後は出来たパーツを胴体に付けて行って……よし、出来た!!! いやあ、この造形堪らないよなーそう思わないか?」

 そう俺が言うと、コメント欄で肯定のコメントが飛び交っているようだ。

 うんうん、このプラモ、マジで造形いいもんなー。もっと難易度高いやつも撮りたいな。

「じゃあ、このまま墨入れを……」

 と、墨入れ用の塗料を手にした時だった。


『おーい、シド。お前のママもとい、未来さあや先生、次のコミケに受かったぞ』


「!!!!!!!!!」

 手が止まった。

「今、何ていった? えっ……次のコミケに、神絵師様もとい、さあや神様、降臨なさるのか!?」


『お、またシド暴走するか?』

『ドキドキ!!』

『待ってました!!』

 というコメントが流れてきた。


「ぜってーーー行くに決まってるだろ、ソレーーーーー!!!!」

 思わず、でっかい声で叫んじゃった。ごめんごめん。驚かして済まない。

「いろいろな縁を結んでくれたんだ。それにこのブラッシュアップ版の俺、すっげえ格好いいだろ? イラストで来た時に愛を込めたファンレターを送ったけど、それだけじゃ足りない。絶対……この溢れる愛を!! 感謝を述べたい!!」


『おおお、いいねー』

『シド氏、参戦か?』


「サークル参加はしないけど、さあや神様に直に会いに行きたい! いや、行く!! そして……感謝の言葉を直に告げて……新刊を手にする!!」


『ああ、それも目的でしたか』

『がんばれー!!』

 いろいろなコメントがあふれて来る。


「サンキュー。じゃあ、その日の為に、俺はしっかり体調整えて準備しておくぜ!! 全てはさあや神様に捧げるために……!!!」

 そう力説して、俺は決意した。

 今度のコミケの日は、絶対確実に……オフにすることを!!!!


 けれど、そのとき、俺は気づかなかった。

『えー、来なくていいよ』

 そんな捨てアカのような名前の人から、そんなコメントを貰っていたことに。



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