なんかすごいの来ました。ええ、マジで?
今日もまた、深夜に楽しく、美咲ちゃんと原稿書いています。
まあ、自宅でチャット繋げて、話しながら原稿を書いてるって感じなんですけど。
「で、美咲ちゃん。ラフが出来たよ。こんなんでい……」
「ひゃううう!!! さいっこう!! サナ、大好き!! うおおお、キタキタキタ!!」
あ、美咲ちゃん、ターボ入った。
「喜んでくれてよかったよ。じゃあ、このままペン入れしちゃうね」
と、美咲ちゃんの小説の挿絵のペン入れをしていくと。
――ぴこーん。
あ、依頼のメール来た。
「あれ、サナ。急に静かになったよ? どうかしたの?」
「…………どうしよう」
「ん? なんかあった?」
「美咲ちゃん……ヤバい相手から……依頼、来た……」
「ヤバい依頼? もしかして、ヤクザとか? そういうのなら、即却下だよ。無視しなよ」
「それならいいよ……どうしよう……えっ……」
もう一度、依頼内容を確認する。
『突然すみません。あなたに、Vチューバーのイラストをご依頼させていただきたいのです。
あなたのイラストは、僕の心を打ち貫きました。
今なら、あなたの耳元で囁いてもいい。……あ、すみません、興奮しすぎて……いえ、そうではなくて。
とにかく、あなたのイラストは僕の好みで、神なんです。
あなたに、以下の内容で、Vチューバーのイラストをお願いしたいのです。
まずは前金で……』
「え、10万円……いや、入れすぎ」
「はあああっ!? それ、凄く実入り良いじゃない!! で、内容は?」
「Vチューバーの外見イラスト……」
「サナ、受けなよ。前に言ってたじゃん。Vのガワ作ってみたいって、夢かなったじゃん!! ヤクザでないなら、やりなよ!! 私なら迷わずやるっ!!」
美咲ちゃんの言葉に私は言葉を詰まらせる。
わかる、分かるよ……私だって、普通の依頼なら……受けてた。
けど、このメール文章……っていうか、誰かコレ、チェックしてないでしょ!!
絶対…………羅那くんの暴走だって、分かるよ、コレ!!!!
彼好みの、魔剣士さんだなんて……もう、秒で書けるよ、くっそーーーー!!!
いいよ、やってやんよ。
私だって、同人漫画家の端くれ。やらせてもらうよ、こんちくしょーーー!!!
でもこれ、絶対に私だって気づいていない内容だよね。
「美咲ちゃん……受けるわ」
「え?」
「ついでにいうと……もうラフ出来たから、ちょっと聞いてみる」
「そうそう、さっさと引き受けて……って、もうラフが出来たって、えええええ!?」
そうこうしてると、またぴこんと、メールが届いた。
『ありがとうございます、ありがとうございます!!
えええええ、なんで、こんなにイメージ通り、いえ、それ以上にもうピッタリすぎる!!
ああああ、凄いです、凄いです!! 残りの10万いえ、20万出させてください!!』
それは入りませんと即座に返事を送った。
つーか、10万だけでもお釣り来るし。あ、ラフで使わないでください。ちゃんと清書します。
……これって、早く送らないと、絶対、ラフで使う気だろ、コレ。それだけはやめてーーー!!!
「ねえ、サナ。今、必死に塗ってる?」
「塗ってる……だって、アイツ……ラフで使うって馬鹿なことを言ってきたから」
「……はぁ……!?」
「絶対に使うなよ……使わないでよ。今、仕上げてるからっ!!!!! よし、ギリギリできたっ!!!!」
ばしゅっと出来上がったばかりの完成品を送っておいた。
ああ、でも、急いで仕上げたから、マジで満足してない。
なんなの、なんなの!? 暴走しまくりじゃない? ……後でもっと完成品を送ろう。そうしよう。なんかもう疲れた。
「えっと、サナ……お疲れ」
「うん、お疲れ。ごめん、今日はもう寝るわ……無理。疲れた」
「おつーー!!!」
そして、そのまま布団の中に入って……翌日。
もう彼がVチューバーになってて、びっくり仰天するんだけど……。
そんなこと知らずにまた、凄い告白される羅那くんの夢を見て、幸せなひと時をすごしていたのだった。




