表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異端の聖女は復讐を誓う  作者: わしお
第一章 - 異端の聖女

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1/90

プロローグ 祝福なき産声

窓のない小さな地下室に、薄明るい光がひっそりと灯っている。


無機質な石壁に覆われた小部屋の中央には、簡素なベッドが一つ。そこにはお腹の大きな若い女性が仰向けに横たわり、大粒の汗を流し、苦しそうな呻き声を上げていた。


女性の両脇では、清潔な白い服を着た女性が二人、ベッド上の女性に熱心に声をかけている。傍には大量のタオルやお湯が準備され、ベッド上の女性が出産目前であることが見て取れた。


そしてそれを聖職者のような男性が複数人、物々しい様子で取り囲んでいた。


やがて小部屋の中に、元気な二つの産声が響いた。


白服の女性たちは、ベッド上の女性を明るい声で労わった。ベッド上の女性も安心したように息をつく。


しかし聖職者たちの中に、喜びの声を上げる者はいなかった。

聖職者たちはざわめき、新しい命の誕生の場とは思えないような、驚きや困惑の表情を浮かべている。


「両方とも女だと!?」

「神の双子は必ず男女のはずでは」

「女が太陽の力を有しているなどあり得るのか?」

「やはり“月の聖女”ではないと駄目なのか!?」

「実は神の双子ではないという可能性も……」


「落ち着けお前たち!」


パンパンと両手を叩く音に、騒然としていた聖職者たちは静まり返った。

手を叩いたのは、聖職者の中で最も豪奢な服を着た男だった。


「まずは()()が神の子であるか確かめようではないか」


男は余裕そうな笑みでそう言うが、その額には幾粒もの汗が滲んでいた。


男はナイフを手に、生まれたばかりの双子にゆっくりと近づいていく。そして最初に生まれた赤子の腕を乱暴に掴んだ。


白服の女性たちが男を止めようとする。しかし男は構わずナイフを赤子の腕に押し当て、そのまま何の躊躇もなくナイフを引いた。


ナイフの軌道を描くように鮮血が飛び散る。しかしその血を気にするものは、聖職者の中に一人もいない。皆食い入るように、赤子の傷口を見つめていた。


そしてその傷はみるみるうちに細くなり、瞬く間に消え去った。


聖職者たちが再びどよめいた。


「治った……」

「太陽の力に間違いない!」

「まさか本当に女が太陽の力を……!?」


赤子の腕を切った男は、我が目を疑うように何度も瞬きをした。ナイフを持つ手が、恐怖に怯えるようにカタカタと震える。


「異端だ……」


男の手からナイフが滑り落ちる。ナイフは絶望する聖職者たちの心を刺すように、鋭い音を立てて床に突き刺さった。




「異端の聖女の誕生だ……!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ