序章 『あの日君と見た夕焼けを僕は今も忘れない』~第一章 街へ : Prologue Go to the city
♡初めて記します。彼方小国と申します。こちらの物語は〈 虚構・現実・妄想・夢・願望・絶望など様々な感情 〉が入り混じるある種の"ラブコメ"短編集(フィクション作品)です。それぞれの章については書けるところまで書いていくつもりです。駄文ですが、今後ともなにとぞお付き合いのほうよろしくおねがいいたします♡
+×+× ・ +×+× はじめに +×+× ・ +×+×
諸君らには先んじて話しておかなければならないことがある。(決して上から目線などではない。)不必要な誤解や勘違いを、そう。出来るだけ避けたかったからだ。それはこの"物語のはじまり"について。
この物語はいわゆる『なろう系』を代表とする『異世界ファンタジー』や『いちゃラブコメディ』と言った私が心から愛してやまない素晴らしい文学や、キラキラした作品などではまず、ない。私が作る作品はそれらに到底及びもしないだろう。これからもずっとそれは変わらない。
(小説家になろうで大尊敬している先生方やそれを好きな読者の方々には失礼のないように振る舞いたい。そして最大限の敬意を払いたい。)
話しがそれたが、まず断言しとく。
この物語は、現実を元に脚色された所謂フィクションだ。読んでも何のためにもならないし、むしろ怒りを通り越して不快な気持ちにさせるかも知れない。(それは貴公次第だが。)メリットなんてものはない。
この物語は引きこもりニートで虫ケラ同然のヘタレ主人公・金田シンゴ(カネダシンゴ)を中心に、話しは良くも悪くも展開していく。時系列もメチャクチャだ。現在進行形かと思えば突然過去に行ったりもするし未来の話だったりもする。(出来る限り時間軸はまとめよう。)
そして彼自身(主人公・金田シンゴ)や
彼を取り巻く日常はある日を境に変化し始める。
奇跡のような女子との恋愛関係。
いつだって妄想を拗らせて自分の世界に閉じこもって
キモくて情けなくて。でもリアルで。
複雑で変わり者の登場人物たち。
そして、ある日。まるで導かれるかのように通い始めた
『街のスタジオ』
そこで出会うことになる人々や
聴いたこともなかった音楽・見たこともないアート作品
それらに感化されますます変化していく一人の少年、主人公・金田シンゴの陳腐で怠惰な日常を綴ったちょっとした物語なのである。
読者の諸君はこの物語を読んでつまらなかったら読むのをすぐに止めてくれ。なぜなら時間は有限だからだ。だが、いつか私がこの陳腐な物語を完結させた時には伝えたい。彼女に。あなたに。君に。お前に。
「人生は時々、映画になる。
そしてこれが
ラストシーンじゃないんだぜ」
と。
長くなってしまったがもう一度言う。
この物語は"クソ"だ。
作者・彼方小国
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序章「あの日、君と見た夕焼けを僕は今も忘れない」
⓪.1 勘違い野郎
中学を卒業した。
もう二度とあんな場所には戻りたくない。
そして、親に頼んで通った学習塾のおかげで何とかギリギリ入学出来た高校は、
狂っていた。
入学式から数日経ち、まわりを見渡せば様々な人間模様が見える。元気そうな三人組の女子グループ。ちょっとやんちゃで悪ぶってる男子グループ。サブカル好きそうなオタクっぽいグループ。みんなグループを作りたがるもんなんだ。
『だけど俺は、そんな低俗なやつらとはちがう。』
色んな香水の臭いが混ざったこの世の終わりみたいな異様な臭気に包まれ俺は、高校デビューを果たさんとかたく心に誓い、となりの席のやたら化粧の濃い女子に気軽に話しかけてみた。
「ねえ、どこ中だったの?」
と。
当然
「は?何。てかあんただれ。」
とその女子から言われ会話は即終了。
ゲームセット!(会話のキャッチボールとは?)
クラスの半数以上が女子で男子は十数人。
学年を総体的に見て、完全に女子どもにパワーバランスが傾いていた。教室に野放しにされた数名の男たちに自らの意思を発言する権利なんてものは、鼻からなかった。
担任の顔のデカいホクロ。それは小惑星の激突により月面に新たに刻まれた小規模なクレーターみたいだった。
作業中の工事現場かと思うほどの騒音と女子トークが響き渡る混沌とした地獄みたいな教室で俺は、静かに息をひそめながら己に唯一与えられた木の椅子に座り、ただひたすらパーソナルスペースを必死に守っていた。
「できるだけ早く帰りたい。」
そう思いながら放課後が来るのををずっとずっと待った。
午後最後の授業が終わった。
よし帰ろう!と思ったら廊下で知らない二人組の女子に呼び止められ、突然目の前に立ちはだかった問題に俺は淡い期待と、早く帰りたいと言う相反する気持ちがせめぎ合いキモ過ぎる反応でもそもそと対応した。
するとハイテンションプリティガールズ(HPG)の一人がプリクラとメアドが書いてあるメモを渡して俺に言い放った。
「ぜったいメールしてね。」
俺にだけ聞こえるようなそんな小さな声で。
HPGな彼女らの圧に俺はビビってろくな会話も出来ず、愛車のママチャリに乗って独り帰路に着いた。
⓪.2 諸刃の剣
高校一年の春。
今日も空が青い。
魔女達の圧や瘴気にも徐々に慣れ始め、やたら眠くなる退屈な授業も終わって。休み時間に俺は、入学してからずっと気になっていた同クラの女子の席の前へと行き、彼女の前におもむろに立ちはだかり、そして勇気を振り絞って声を掛けた。(彼女とは当然目も合わせられず俯いたままだったが。)
「今日………帰り……………一緒に帰れる?………。」
(絶対無理無理無理無理ムリだろぉが!!!!!!!!!
バカなのか?いやバカか俺は。うわー最悪だ…まじでだせぇ。キモ過ぎだろ。こんなんでいいよなんてなるはずな………)
「いいよ。一緒にかえろ?」
(………え?死んだ。爆死した。跡形もなく。心臓?どこにあったけ?右?左だっけ?ずっとドッキドッキしてる。それがずっと止まらんしむしろちょっと痛い。てかめっちゃかわいいなあぁぁおい。OK?いいってこと?………マジか。これ、一緒に帰っていいやつか?)
完全に想定外で俺のピュアなハートをハッパ(ダイナマイト)でダイナミックに吹っ飛ばした破壊力MAXの彼女の言葉に、そんな心の声は一切表情には出さずクールなイケメンを装い彼女を見下ろしながら言った。
「………ふーん。わかったわ。したらまたあとで。」
キーンコーンカーンコーン キーンコーンカーンコーン
放課後。
俺は"彼女と一緒に"
"彼女と一緒に"(大切なとこだから二回言う。)
帰った。
まだ空の色は青くて、彼女の家は高校から結構離れていて徒歩で30分は掛かった。一緒に帰ってる途中話した内容は全て消え去って。俺はずっとバレないように彼女の姿をチラチラ見ていた。
帰り道の途中で公園に立ち寄り、二人でブランコに腰を下ろした。話題もなくなって俺は足を意味もなくブラブラさせたり、ブランコをいかに美しくこげるかみたいなことをしていた。そして、とうとういても立ってもいられなくなって(下ネタじゃないですよ?)ブランコからバッ!!!っと急に飛び降り彼女に振り返って言った。
今度はちゃんと顔を上げて。
彼女の目を見て。
真正面からちゃんと。
「付き合って欲しいんだけど。いい?」
(バカ野郎が。何で上から目線になんだよいつも。おめえわよおおぉぉぉ。もうまじで死ねよおぉお俺は。てか急過ぎんだろ。まず落ち着けよ。彼女がそんなんでいいよなんて言うわけな)
「いいよ。シンゴ君、面白いから。」
(だめだ、ごめん読者の諸君。俺これ以上は書けないわ。まじで。死ぬやつだわまじでこれ。もうホントにマジで。)はい。
そんなこんなで彼女からOKをもらい正式に彼女と付き合うことになった。そう。"彼氏と彼女"ということになった。"彼氏と彼女"つまりいわば恋人ともいうべきか。うんうん。それともカップルか。(そのうち誰かに背後から刺されるんじゃないっスかね?)おっと忘れるとこだった。
彼女の名前。
彼女は自分のことを『リア』って呼んでた。
メアドと携帯番号を交換した後、二人で手を繋いで帰った。
⓪.3 Jewel of Midnight
:夜にかがやく宝石
「もう着くよ」
ある夏の夜。
俺は、彼女の家の近くの公園に来ていた。ひんやり冷たい木のベンチに座り彼女からのそんな飾りっ気のないメールの文面をじっと眺めているとしばらくして彼女が歩いて来た。
一緒に付いて来たらしい彼女の女友達(同クラで俺も割と仲良かった数少ない女子友達)がニヤニヤしながらこう言った。
「え?これからチューとかする感じ?エロ〜やめてね。」
からかわれていることに気付きふと彼女の方を見ると、普通にめちゃくちゃ照れてた。暗くて良く見えないけどたぶん頬は赤かっただろう。あーかわいい。
そんな彼女の反応を見てこっちまでなんか照れ臭くなって
「そんなんしないから!!いいから帰れって!」
と俺はそいつに(共通の女友達)言ってやった。
(ずっとニヤニヤしやがって。お前の彼氏とのイチャイチャ話なんて聞きたかねえし興味ねえんだよ!俺はリアと今すぐに二人っきりになりてーんだ。察しろ!!!)
女友達がにやにやしながら帰っていくのを見届けた後、夜の公園でやっと二人きりになった俺と彼女は、お互いずっと黙っていた。
沈黙が続く。
が!!!(気まずい感じではまったくもってないのだ断じて違うのだよ読者諸君。)
先に口を開いたのは彼女の方だった。
「シンゴ君、私のどんなとこが好きだったの?」
(え?なんて?)
(キス?キスなの?)
俺はなんて答えていいか、なにが正解かまったくわからなくて
「ぜんぶ。大好きです…」
って咄嗟に伝えたら
彼女は
「えへへ。めっちゃ嬉しい。」
って言って恥ずかしそうに笑ってくれた。
吐きそうになるくらい切なくなって。それはどうしようもなくて。だけどヘタレな俺には結局なんにも出来ず(笑うな愚民ども)その場でヘラヘラ笑い続けることしか出来なかった。
そして俺は結局最後まで
良い人を演じきれないまま帰った。
⓪.4 ツンデレ
高一の夏。
リアを誘って映画デートなるものに行った。
初デート。
コンクリートで補装されたヒビ割れた路面の暑さと、緊張感で汗がどんどんにじんでくる。高校からもリアの家からもほど近いショッピングセンター内に併設されている小さな映画館。そこで二人でホラー映画を観ることになった。
まずは映画のチケットを買い、ポップコーンと飲み物を買うのに並んで。受付でチケットを見せてゲートを二人で抜けて歩いた。
めっちゃでかいスクリーン(語彙力よ)
館内は静かで、誰かがポップコーンをぽりぽり食う音がやけに響いていた。しだいに照明がゆっくりと落ちていき完全な暗闇になる。映画が始まる前、俺の左手に何かやわらかい感触があった。
となりに並んで座っているリアを見ると正面のスクリーンを真っ直ぐ見ている。
「?」
俺はやわらかくてどこかなつかしいなんとも言えぬ包み込まれる感触をやっと思い出した。
『手だ!!
手を繋いでいるんだ!!!』
そのことで頭がいっぱいになって、映画の内容なんて全然頭に入って来なかった。
俺はホラー映画ならではのあの、何かが起こる瞬間にいきなり鳴る音にビビって、リアと繋いだ左手は手汗でビッシャビシャになっていた。映画を見終わって帰る時、俺はリアに
「手汗ごめん。めっちゃビビった。」
って言ったけど
リアは
「ん?気にしてないよ?」
って言った。
リアはいつもふとした時に
ぼーっとしているように見えた。
今、彼女が何を考えてるのか表情からすぐには読み取れなかった。
リアはその時にだけ、一瞬。
この世界からいなくなっていたんじゃないかって
思って不安になった。
そんなことを考えてると
リアがとつぜん言った
「 シンゴ君って」
「 ツンデレだよね 。」
俺は
「……….はあ〜〜〜?ちげぇし?!」
満更でもない顔をしてリアにそう答えた。
「だって学校だと全然しゃべってくれないんだもん」
「一緒にいる時はほら、でれでれして」
「チューもできない
ヘタレだもんなあ。」
そう後ろ手にその場でくるっと振り返ったリアから可愛く罵倒されて、俺はとても否定する気にはなれず、ただ自分の脇汗がTシャツの中をゆっくりとつたっていくのを感じていた。
えんじ色に染まっていく空の下で
リアがまたこっちに振り返って
べーって舌を出して
挑発的に笑ったら
横を走り抜けるバスとか車まで
まるでその時だけ動きを止めて
みんな、リアだけを見てたんじゃないかって
本気で思った。
⓪.5 祭りの後の静けさと
夏も終わる頃
地元のお祭りに二人で出掛けた。
某有名アニメキャラクターや戦隊モノがプリントされた袋に入った綿アメ。某人気ゲームキャラクターのお面。あんな薄っぺらい網じゃ絶対に救えない金魚すくい。一生完成しない型抜き。やたら美味そうに紅い色に輝くこぶしぐらいあるりんご飴。フランクフルトや焼きそばのにおい。
『知り合いとか同級生には絶対会いたくねえ。』
俺は、最初からそう思っていた。
すれ違う人たちも様々でみんな浴衣や私服だったり。カップルも家族連れも子どももみんなたのしそうな様子で無防備に笑っていた。
リアと一緒だと、こんななんでもない日常も、キラキラ光ってなんか特別に見えた。それは、終わらない花火みたいで綺麗だなって思った。祭りの出店も、屋台もおばけ屋敷も人混みも全部。リアと一緒だと全部が眩しかった。
祭りの後。
リアが初めて俺の家に遊びに来た。
(部屋はリアが来る前にちゃんと片付けたはずだし大丈夫だ。おい待て。ティッシュの破片とか例の本はないよな。勘弁してくれよ。部屋、ってか俺臭くないか?雰囲気はどうだ?明かりは?こんなもんでいいのか??
まあ、待て焦るな。俺は今日、男になるんだ。)
そう俺は一人で勝手に意気込んでいた。
リアはまた、何を考えてるのかわかんない表情をした。
お互いに無言で
時間だけがあっという間に過ぎて行った。
ーPM 9時ー
「しっ、そしっ、したらもう遅いし送っていくわー」
俺がそう言うとリアは黙っていた。
心臓がまた爆発しそうになるのを抑えながら俺はおそるおそる彼女の正面に座った。正座で。
(今にも逃げたい。なんなのこれ。どうしよう。)
おろおろしていた俺を見かねてかリアが言った。
「シンゴ君。」
「はい。」
(はい、なんでございましょう。なにかわたくしめが粗相をいたしましたでございましょうか。)
「なにも出来ないヘタレなの?」
(え?なにもとは??Hなこと???う、うるせえ。俺だってチュー?そんぐらいかんたんに出来るしなんならもっとすごいことだっていっつも四六時中考えてるし余裕でそんなの出来るんだ………ってあれ?いつもならこの辺で………え…?)
(今か?)
リアが顔を真っ赤にして言った
「かっこいいね」
俺は
「なに?」
って聞き返した。
「後ろすがた」
「あ?………あー…さっきな。自転車乗ってた時か。」
「シンゴ君、いっつもふざけてるけど。
かっこよかったよ。」
生まれて初めて人を抱きしめた。
大好きな人を。
心から好きになった人を。
切なさの正体は知っていた。
前からずっと。
それが、いつか来る終わりなんだってことも。
それからなぜか泣きたくなった。
ただ無性に泣きたくなった。
⓪.6 片道切符
ふわふわした気持ちで。
俺は教室から見える景色がいつもと違うことに気付いた。空は相変わらずバカみたいにいつも青くて。
ただ、リアがだんだん遠くにいるようなそんな変な感じがしたんだ。
俺は最近ギターで弾き語りをすることにハマって、ついリアの前で歌を歌ったことがあった。
夜に。
クソ寒いなか
外で。
その時にリアが見せた表情はとてもうれしいとか楽しいとかの表情とはかけ離れたなにかに怒ってるような顔で、ただ気持ち良く歌を歌う俺の前でじっと立って聞いていた。
あ?
(これか?これが原因だったのか?いや、間違いなくそうだ………)
その日から少しずつメールで連絡をする回数も減っていった。リアからのメッセージも文面からも以前感じていたようなやさしい印象から徐々に淡々とした事務的なものになっていった。
何かが変わってしまった。
俺とリアの間の何かが。
その何かがすこしだけずれただけなんだきっと。
そう思い込んで、俺はそれを簡単に考えていた。
俺はリアに前から借りててずっと聴いてなかったバンドのCDを思い出し、愛用のウォークマンに入れ再生ボタンを押した。
そのバンドが歌う曲は
だれかの悲痛な叫び声みたいで。
悲しくてやり切れなくって。
もう世界とかどうとかなんてどうでもよくなって。
俺は何回くり返して聴いてみても
このバンドが好きにはなれなかった。
:・:
:+:
:・:
:+:
:・:
:+:
『このバンド、最近好きなんだあ。』
『だから、シンゴ君にかしてあげるね。』
・-:-・・-:-・・-:-・・-:-・・-:-・・-:-・・-:-・・-:-・
その日にリアからメールが来た
「もう、別れよう。」
って
情けなく理由を聞いたら
もう好きじゃないとか
そんな簡単な理由なんかじゃなくて。
俺は、俺のことがすごく憎くて。
やっと理解した
俺は自分のことが
大嫌いだった。
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第一章 プロローグ
街へ
: Prologue
Go to the city
❶「言葉にならない事は、音で」
ー「ピイィーーーーーーーーーーーーーーーーーーィッ」
透き通る青い空にそんな甲高い鳴き声が響き渡って、名前も知らない鳥が地平線の彼方へ真っ直ぐ飛んで行った。ー
17歳。
高二の夏。
最近ずっとじめじめしてるし、それに暑いし何もやりたくない。やる気もゼロ。皆無。生きる希望も目的も失いただ無気力にケータイをいじって居間に寝っころがってる。
そんな何でもない日に突然、別の高校に通う友達で幼馴染のトーマからメールが来て
そこにはこんなことが書いてあった。
「スタジオ作ってるんだけどシンゴ来れない?」
後日、例のスタジオの話を詳しくトーマに聞くと、なにやらバンドをやってる先輩が街に自分たちだけのスタジオを作っていて、大変みたいだから手伝いに来て欲しいって事だった。先輩ったって面識もないし、LIVEも友達がやってるバンドを地元のクラブにたまに見に行く程度で、俺はそこまで興味がなかった。(人見知り全開で)彼女にもフラれたし全てにおいて無気力だった。
そうして平凡で退屈な夏休みも終わり始業のチャイムが鳴ったら、また退屈な授業が始まって俺は先生の話もろくに聞かず教室の窓、見慣れた青い空をぼんやりとずっと眺めていた。
真っ白い天井。
見慣れない窓からの景色。
消毒したあとみたいなあの独特なにおい。
かたくて寝心地の悪いベッドの上で俺は夢から浮上した。
俺は、時々痛み出す右足の血管腫が原因で病院に2週間ほど入院していた。
当たり前だが見舞いには誰も来ない。(くぅ〜)だから一人で夜な夜な車イスに乗っては病院内を自由に動きまわって探検していた。
ある日、他校に通う小学からの友達・フジコ(野郎)が一人だけ心配してお見舞いに来てくれた。何気ない優しさがありがたい。
お見舞いに来てくれたそいつとは暇過ぎて某人気カードゲームをわざわざ画用紙で自作し「バカだよなぁ俺ら」って笑いながら対戦したり、アイスを食ったりして遊んだ。
手術は大したことはなかったんだけど、その後は松葉杖で歩くことになった。
だけど俺にはやることがあるんだ。
じゃーな病院。じゃあな綺麗な看護師のお姉さんたち。退院してから俺はなぜかたまらなくバンドがやりたくなって街のスタジオに電話をかけることにした。
スタジオをレンタルするにはまず電話をしなきゃならない。
いたってシンプル。
少し緊張しながら入りたい時間を伝えスタジオの予約を入れる。
それから予め予約した時間にスタジオに行き店主に声をかけなければいけなかった。
これが簡単なようで高校生の俺には結構難しかった。
街のスタジオは二階建てで、予約当日には街のスタジオの上階へ続く階段の下で大きな声で店主を呼ぶ。
そしたら店主が気付いて下りて来てスタジオの簡単なセッティングをやってくれた。
これが有って無いような決まりだった。
店主は俺よりもだいぶ年上で見た目は真っ黒い縁メガネに背中まである長髪を後ろで束ね古着っぽいリーバイスのパンツにレッドウィングのブーツを履いていた。
俺は完全にビビっていた。見た目が怖過ぎる。
だけど、店主は見た目とは裏腹にめちゃくちゃに優しかった。
スタジオに何回も通っている内に、店主と少しだけ打ち解けて俺からも話せるようになり、店主はパンクロックのCDやレコード、バンドTシャツのおさがりなんかを俺にくれた。
「俺もこれよく聴いてたわー。これ(このバンド)も知ってる?」
なんつって。
建物の中は広くて入り口から入ってすぐ正面奥に横長の小窓が付いた白い壁があった。
タイルが剥がれかけた床の上に銀紙に包まれたお香が入った段ボールが壁際に何個も重ねて置かれていた。(入り口に足を踏み入れればアロマオイルみたいなお香のすごく良い香りがした)
同じフロアーを見渡せばレコードやCDが収納された棚や、ボロボロになったスケボーのデッキが無造作に何枚も積まれていた。
店主に聞いた話では大昔、この建物はお茶屋さんだったらしく奥にでっかいお茶の倉庫が有って、そこをみんなで改造して自分たちだけのスタジオを作ったらしい。
俺は、重たい銀色のドアノブを回して分厚い防音扉を開け以前倉庫だったというAst(Aスタジオ)に入った。
夏だと言うのにひんやりとした冷たいコンクリートの床。取り付けたばかりの真新しい壁。奥の方にコンパネが敷いてあってその一段高くなったところにドラムが置いてある。ギターやベースアンプは床に直置きになっていてやたら高い天井には一つだけ裸電球がぶら下がっている。
俺は妹から勝手に借りて来た新品のストラトキャスターを持ちアンプにシールドを差してスイッチを入れた。
「ブツ、ジーィ…」
電気の通る音が小さなノイズになって聞こえる。
アンプのボリュームを少しずつ上げながらギターをジャーンと弾くと、弾いた弦の音色がフロアー全体まで広がって心地良く反響し合う。
嬉しくて一人ニヤケてしまう。
今日は友達とスタジオで遊ぶ。
俺は壁に適当に松葉杖を置いて、ただギターを弾くことに夢中になっていた。
しばらくして他校の友達が集まって来た。
みんな元は同じ小学で仲が良かったやつらだった。
そしてドラムとベースが入れば
そこはもう俺たちだけの
楽園のようだった。
スタジオ代を払ったあと友達はみんな帰った。
俺は特に予定もなくてしばらく街のスタジオの店主と話をした。高校生の俺の身の上話とか
とりとめもない話を。
俺がなんとなく
「いやーあんまり言葉にするのって苦手なんスよね。」
って言ったら店主は
「言葉にならないことは、音で。」
「うん。」
って言った。
俺は、その言葉を聞いて
『これだ!』
と思ってその日から
アコースティックギターの練習を
毎日欠かさずするようになった。
❷レーメーヤクトー
高校三年になった俺はやっと念願だったバンドを組んだ。
メンバーは三人とも同級生でバンド名もふざけた名前だった。みんな特にこだわりもなくバンド名は俺が授業中にただ何となく書いた落書き。
『 HEEL LIFT GIRL 』
:ヒールリフトガール
それにしようってなった。
メンバーの一人である吉村ヤスアキ(以下、吉村)は高一で同じクラスになり初対面でやけにフランクに話しかけて来てそこからよく遊ぶようになった。
お互いバイトが入っていない時はお互いの家で泊まったりして。
吉村と共通して好きだったのは映画と海外のバンドだった。B級映画に戦争映画。
俺が知らない物をあいつはたくさん知っていた。
常に暇な俺はそうして映画やバンドの魅力にどっぷり浸かっていった。
ある日、街のスタジオで練習終わりに突然
「LIVE出ない?」
と店主から誘われこうして俺たちのバンド
HEEL LIFT GIRL
の初LIVEが決まった。
この頃は街のスタジオか少し遠いスタジオのどちらかでバンド練習をした。自転車でスタジオに向かっている吉村と喧嘩してそのまま帰るなんてこともあった。
「だりーなー。やめっかなー今日」
って冗談まじりに俺が言ったら
「っざけんなよ。死ね!!!」
って吉村は言った
(だから、冗談だっつーのによ。)
だけど俺たちは意外と仲は良かった。
放課後によく二人でカラオケに行ったり
テスト期間中にもかかわらずスーパー銭湯の露天風呂で意味もなく叫んだり
お互い全裸で秘密の恋バナを
打ち明けたりしていた。
LIVEの当日。
吉村のお母さんが車で街のスタジオまで乗せて行ってくれた。吉村の優しいお母さんは言った。
「シンゴちゃん、ヤスアキどう?
また、家あそびに来てね。」
俺にとって、高校の授業なんかよりもこの時間が何より特別で大切だった。
会場では誰かが笑いながら缶ビールをくれて俺はそれを飲んでLIVEをした。
LIVE終わり店主に
「良かったよ。」
と言われ
俺は、バンドをやってたらこれから何かおもしろい景色が見られるんじゃないかと思った。
…
❸.1 ダメ!ゼッタイ
(地元LIVE〜札幌遠征編)
古くてカビくさい体育館で。
俺を含め全クラス(同じ学年)の生徒は体育館の床に直で座っていた。ケツが冷たい。
今日は警察関係者の注意喚起みたいな集会があって
俺たちはここにひとまとめにされていた。
ダメ!ゼッタイ
というよく聞く標語と
しょうもない映像を永遠と見せられ続け
俺は死ぬほど退屈で早く家に帰りたかった。
バンドを組んだのはよかったが
地元でのLIVEは俺にとって結構ハードルが高かった。
まずノルマ制。(友達100人できるかな?)
ある種の隠キャみたいな存在だった俺にはどうすることもできない大きな問題だった。
あと、知らない先輩(めちゃくちゃ年上)と一緒に
会場作りからやること。これが一番キツかった。
だって人見知りなんだもん。俺。
(会場になる場所は本来はDJとかラッパーがメインでやってるようなクラブで、バンドがLIVEをする時はそうやってみんなで協力してまずは会場設営からしなきゃならなかった。)
知らない人たちとの初めての共同作業。
俺は、コンクリートのブロックを数個ずつ
ちまちま運び続けることぐらいしか役目はなかった。
そしてステージやスピーカーの配置を決める。
苦行のような設営もやっと終わり、あったまった体でそのままリハ(リハーサル)が始まった。
リハは、この日の出順的に年上の人たちのバンドからだった。俺は暇でバンドの様子を見つつ、イスに座ってぱちぱち爪を切っていた。そしたら吉村に
「終わったら爪切りかして。」
と言われて仕方なく
爪切りを貸してやった。
自分らのリハーサルも終わり、ずっとイスに座ってたらさっきの年上の人たちのバンド『Rising god bracelet』の背の高いメンバーの一人が優しく話しかけてくれた。
「おお、今日はよろしくね。」なんて
いざ会場がオープンすると周りは出演するバンドマンばっかりで。聴いたこともないバンドの曲が爆音でかかった。
次は俺たちの番だ。
なんかわかんないけど今になってめちゃくちゃ緊張して来た。ビ、ビビ、ビビってはいない。
俺は一人、ステージ裏の薄暗い便所で心の準備をしていた。アフロのカツラを被って。ピッタピタのスキニーに長袖のチェックシャツをインして眼鏡をかけた。
吉村がドラムのやつを連れて来て、やけに落ち着いた声で言った。
「したらいきますかー…」
ドラムがスティックで
4つ数えたら
いきなり背中にドロップキック喰らったみたいな
衝動を感じて
俺はキモオタみたいな出立ちで
一心不乱にベースを弾いた
うん。
緊張はしてる。
汗もガンガン出る。
俺たち3人は
日頃の漠然とした不安や
退屈な毎日を楽器でぶっ壊す
バッチバチの演奏
照明は赤、青、緑、ピンクに瞬時に切り替わっていく
そして、気付いたら出番は終わってて
俺は死闘の末、LIVE中取れたアフロの代わりに誰かが途中でかぶせてくれメッシュキャップを深く被って
ボロボロの格好で気配を完全に消して
味のないジュースを飲んだ。
まだ、ドキドキする。
傷だらけの手の痛みも感じない。
ああ、でも
死ぬほど
楽しかったなぁ。
❸.2 夢の先端へ
昼にバス停で待ち合わせして、それぞれの楽器を抱え俺は他の同級生メンバー二人とともに札幌へ向かった。
HEEL LIFT GIRL
札幌遠征編
初めて乗った長距離バス。
札幌まではあと6時間(クソ長ぇ)
んまー快適なこと。
エアコン・水洗トイレ(揺れるからあぶない)付き
少しせまい席はリクライニング出来る。
高校生の自分にしたらすごい贅沢で快適な旅だった。
俺たちが目指すのは札幌中心部からはだいぶ離れた、いわば玄関口みたいな場所にあるライヴハウス。
緊張どころかワクワクそわそわしながらずっと
早く着かないかなーと思ってた。
ライヴハウスに無事に到着した。
入り口を見てイメージしてた通りだった。
玄関口から中に足を踏み入れれば
パンクでロックな雰囲気。
ワクワクがどんどん加速していった。
そして、そのライヴハウスの店の名前は
『 豚小屋 』
だった。(最高じゃないっすか?)
ちなみにここは、むかし古い映画館だったらしくそこを改装して出来たらしい。
受付を済ませ重たいドアーを開いて階段を下りれば
真っ赤な壁に色々なチラシがところ狭しと貼ってあった。
『これがライヴハウスなんだ…』
と思っていると
今回、イベントの主催である2つ年上の先輩が出迎えてくれた。
「おお〜!!はじめましてえ〜!!!今日はよろしくねっ♪」
そのハイテンションな先輩に初対面で肩をポンとかるくたたかれ人見知り全開の俺は聞こえたか分からないぐらい小さい声で先輩に挨拶を返した。
「HEEL LIFT GIRLのベースです。
よろしくおねがいします………」
ギターの吉村は流暢に慣れた様子で先輩と話し込んでいた。
いざ、改めて中を見渡すと階段下はだいぶ狭かった。人が二人、横にならんだら通れないぐらい。
楽器をスタジオに置いて、俺たちはそれぞれ時間をつぶしていた。
俺は近くにみたことないラインナップの自販機を見つけてそこで、医者がふざけてテキトーに調合した科学薬品を炭酸で割ったみたいな缶ジュースを買って
一気に飲み込んだ。
LIVE
本番。
ステージはフロア。
だから必然と目線の高さが客と同じになる。
暗めの照明でバンドがいる場所だけスポット的に明るくなってて
緊張したけどそんなに気にならなかった。
いつも通り
練習して来た曲を全力で弾くだけだ
ドラムの4カウントで
俺は肩からぶら下がってる自分のベースを
親の仇のごとくボコボコにした。
曲間でベースを見たら血が付いてて
自分の右上の皮が剥けて血が出ていた。
不思議と痛くもかゆくもない
また次の曲が始まれば
ドラムは変拍子で
吉村はギターでよく分かんないリフやフレーズ
を使ってガンガン攻めてる
俺は一番下手だからただ
気持ちを込めてベースをずっと
本気でぶん殴った。
自分らの出番が終わってスタジオに戻り
楽器を片付けてる時、右腕が痛み出して来た。
これは、『いいLIVEが出来た証拠だ』と
俺は自分に言い聞かせた。
そしたらさっきの先輩が来て
興奮したような声で言った。
「マジでカッケー!⭐︎最高だったよ!!」
俺は人見知りだから
「ありがとうございます。………」
って返事したけど
先輩はその後すぐにどっかに
消えて行ってしまった。
他にLIVEしてたバンドも地元ではぜったい見られない感じでしかもたくさん出てて全部カッコよかった。
バンドマンの見た目は普通なのに曲がヘンってかとがってて個性的で
特にパフォーマンスがとにかく激しかった。
これがパンクロックなのか
これがライヴハウスなんだな
『札幌はすげえ…』
俺は、人見知りを終始発揮してイベント最中は誰とも話すことなく翌朝に挨拶だけ済ませてバスで地元に帰った。
❹jeunesse
:ジュネス
つまらない日常に戻っても俺はいつものように現実逃避をして過ごし相変わらず怠惰な学校生活を送っていた。
授業中はいつもクラスメイトに借りた漫画を読み耽り教科書には落書きをして退屈をしのぎ、休み時間は誰とも話さず愛用のCDウォークマンをして爆音で音楽を聞いて過ごした。
高校は俺にとって弁当を食って帰るただそれだけの場所でしかなかった。
学校が終われば(バイトが休みの時は)近かった吉村の家にそのまま行って、俺は一緒に色んな知らないバンドのレコードを聴いたり
バイト前のルーティンはいつも決まっててCDショップでバンドの音源を漁ったり漫画を読んでからクソだるいバイトに行った。
そんな毎日を消化して気付けば時間はあっという間に過ぎていき
季節は秋ごろ。
高校生活最後の学校祭の準備期間に入っていた。ー
ー「シンゴ君ちゃんと準備やってよ!!」
と、クラスメイトの女子からまともなお叱りを受けてしぶしぶ学校祭の準備を手伝ったが自分は役立たずで無能だと思い知らせれた。そのまま、結局なにをしていいのか分からず無力感に押しつぶされそうになってすがるように某人気インディーズバンドのCDを聴いては机に突っ伏してサボっていた。(生まれて来てごめんなさい。)
そして、学校祭当日。
髪を盛大に盛って顔にデコレーションを施した女子。
「今日はモテるんじゃね?」的な男子。
華々しくも禍々しい最後の学校祭が始まった。
普段はもの静かな俺(同級生には全員にヘンなやつだと思われてたに違いない)は最後ぐらい有終の美を飾るべくして即席でバンドを結成した。
全員同級生で。
いざ体育館のステージ上に登ると前列しか見えなくて、俺はろくに弾けないベースを持って曲を弾き始めた。
ずっとすがるように聴いていた某人気インディーズバンドのコピバン。
俺はバンドスコアを見て練習したけど本番も全然うまく弾けなくて笑った。意味ない。
俺たちのクソみたいな演奏を聞いて前列でLIVEを観てる同級生たちがはしゃいでる。俺はどうでもよかった。
一番前で楽しそうにしていたEX-彼女の嬉しそうに笑った顔を俺は初めて見た。あんな風に笑えたんだな。演奏を終え最後に吉村がギターをロンドンコーリングして
俺たちの即席バンドは散会した。
学校祭の帰り、よく遊ぶ友達 (野郎ども)数人と公園でうじうじ花火をしてたら、クラスのイケてるグループが来て合流するかしないかみたいになって俺は帰った。
そしてまた時間だけは経ち、卒業式を迎える。
俺はせいせいした気分だった。
ふと浮かんだのは、学校祭でバンドを一緒にやった友達と禁断のアダルトショップに不法侵入したことだったり(H過ぎてすぐ帰った)そこら辺の道に落ちてる石を拾って食ったバカな友達のことだったり。俺がぼっちで不機嫌そうに昼飯を食ってる時も気使ってなんも言わないで一緒に飯を食ってくれたクラスで唯一の友達のことだったり。リアの新しい彼氏のことだったり。
クラスメイトはめいめい式が終わったあとも部活の仲間やグループで話したりしていた。
俺は友達に寄せ書きを書いてもらうわけでもなく、友達に感謝を伝えるでもなくただ颯爽と帰宅した。
すごく冷めたやつだった。
(仲良くしてくれた数人の友よ。本当にありがとう。
そして今までごめんなさい。)
このようにして
俺のなんでもない高校生活は終わった。
ー
時々、不思議な体験をする。
本能的に、この光景はいつか見た覚えがあるな。
と思う。
難しいことは分からないけど
遺伝子に刻み込まれた『大古の記憶』
とでも呼ぶことにした。
部屋の窓からは凄まじいほどの夕陽が差し込んでいる。
ベランダに出ると遠くに小さく街が見える。
高校の時に組んだバンド
HEEL LIFT GIRLは自然消滅した。
吉村が家族みんなで札幌に引越す事が決まったからだ。(吉村のお母さんからは俺はいつも「シンゴちゃん」って呼ばれてた)もう一人のドラムのやつは音信不通だった。
そう、また退屈な毎日が戻って来たわけだ。物思いにふけってる風に一人カッコつけて俺はため息を吐く。
だが落ち込んでいるわけではない。新たなはじまりを予感しベランダから部屋に戻る。
逢魔が時に
空一面に広がっていたのは
いつか見たことがあるような
"金色の夕焼け"だった。
「あの日、君と見た夕焼けを僕は
今も忘れない。」