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第十五話『二人目』

 真っ暗な世界で身体を揺れている。

 自分が寝ていることを思い出し、誰かが起こしてくれているのが分かった。

 よほどの事がなければ自分の部屋に母は入って来ない。なら誰が起こしてるのだろう?真っ暗な世界に光を入れていく。


「起きるのだ、りょうか」


 目を開くと、そこには金髪の天使のような少女が居た。


「ヘあ……」


 そういえば、アリアと一緒に寝ていたのを忘れていた。

 学習机の上で目覚まし時計のアラームが煩く鳴っている。


「あ……アリアちゃん、おはよう」

「おはようなのだ、りょうか。目覚ましがなっているのに全然起きないから死んでるのかと思ったのだ」

「うるせー!!」


 寝癖のついたエンジュが怒りながら目覚まし時計のストップボタンを押す。

 目覚まし時計はエンジュのベッドの真横にあったので、最悪の目覚めだったに違いない。


「さっさと止めろよ!朝からうるせーな!」

「ごめん」

「なにを謝ってるのだ?目覚まし時計が勝手に止まったけど良いのか?」

「う、うん。大丈夫だよ。一緒に顔洗ってご飯食べよっか」


 アリアと朝食を済ませて学校の支度をする。


「なあ、りょうか……今日は何時に帰ってくるのだ?」


 アリアが淋しそうに聞いてくる。


「今日は5限だけだから4時には帰ってくるよ」

「わかったのだ……気をつけて行ってくるのだ」

「行ってきます。アリアちゃんも布団買いに行くの気をつけてね」


 夫婦のような会話をして、玄関へと向かう。


「なんださっきの夫婦みたいな会話。ダメだぞ、未成年に手を出すのは」

「僕もちょっと思ったけど、出さないよ」


 靴を履き替えていると、母が慌ててリビングから出てくる。


「彾嘉、気をつけてね」

「うん、お母さんもアリアちゃんのベッド買いに行くんでしょ?気をつけてね。行ってきます」

「そうだ!()()くんには会えた?」

「いや……全校集会で見たくらいかな」

「そうなの。話すことがあれば、よろしく言っておいてね」


 母に適当に返事をして玄関を出る。

 自宅から徒歩圏内にある学校へと向かう道中、面倒臭さでため息が出る。


「何をため息なんて吐いてんだよ。今日は記念すべき最初の欠片を回収できるかもしれない日だってのに」

「そういえば昨日聞きそびれましたけど、欠片を持った残り二人の女の子について教えて下さいよ」


 周りに人が居ない事を確認して、エンジュに話す。


「う~ん、寝る前に考えたんだが、見せるのは一人にしておく」

「どうしてですか?」

「一気に見せても混乱するだけだろ。ほれ、欠片の女の情報だ」


 エンジュは彾嘉にA4サイズの紙を手渡す。

 彾嘉は受け取ると、見覚えのある人物の顔写真が貼られている事に気が付く。


「あれ?この人って僕の席の横の人ですよ」

「なに?!それホントか?!」

「はい、めちゃくちゃ目立つので覚えてます」


 あのお姫様のような女生徒のには見覚えがあった。

 顔写真の横には事細かに彼女の情報が書かれていた。


「えーっと、天導美羽(てんどうみう)16歳、誕生日が3月3日、身長161センチ、体重51キロ、スリーサイズが93の……ってどこまで書いてあるんですか!?」

「だいぶ読んでから言うなよ、すけべめ。もう少し下を読め」

「下ですか?欠片の侵食レベル2『身体に異変あり』……ってどう言う意味ですか?」


 エンジュは彾嘉の前に飛んで来ると、指を三本立てる。

 歩く速度と並行して後ろを向いて飛行しているので、器用だなっと彾嘉は関心する。


「女神の欠片が入ると、身体が欠片に侵食される。まずレベル1で心に変化が起きる、これは今まで抱えていた不安な感情や悲しい感情が増幅したりする。そんでレベル2が身体に変化が起きる。すげぇ力持ちになったり、この女みたいに考えていることが分かるようになったりな」

「考えていたことが分かるんですか?」


 エンジュが下を見ろとジェスチャーするので、下へと読み進めていく。

『身体に異変あり』の横に『人の考えていることが見える』と書かれていた。


「本当ですか、これ?」

「ああ。女神が確認したから間違いねえ」

「え……ってことはですよ。僕の心も見られるってことですか?」


 つまり昨日、『胸が大きい』だとか『絵本のお姫様みたい』と美羽に考えていたことが見られていた事になる。


「それなら心配すんな」

「え?!大丈夫なんですか?!」

「女神の力は天使には効かない。つまり契約してるお前にも効かないってわけだ」


 契約したのは美羽に会った後なので、やはり考えていたことは見られているようだ。

 今日会うのが恥ずかしくなってきた。


「それじゃあレベル3になったら?」

「昨日話したように、世界を改変する。そうならないように、欠片を早いとこ回収しないとな」

「あっ」


 もう一度読もうとしたが、紙をエンジュが取り上げられた。


「どうした?まだ見たかったか?ちなみに3サイズは上から93、59、89だ」

「言わなくていいですよ!」


 そういえば、天導という苗字は聞き覚えがある。天乃使高校の校長もそんな苗字だった気がするが、たまたまだろう。

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