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8「未来を繋ぐ高速鉄道。静岡(カワウソ)と山梨(ツバメ)の選択」

自然と便利さ、どちらを大切にするのか——そんな思いが交差する、静岡と山梨。未来を結ぶ高速鉄道を巡り、それぞれが抱える問題と向き合いながら、答えを探していきます。地域の特色や暮らしの中に潜む課題を、ほっこりとしたやり取りと共にお届けします。

豊かな川沿い、静岡(カワウソ)が川に身を滑り込ませて魚を追いかけていると、上空から山梨(ツバメ)がひらひらと降りてきた。


山梨(ツバメ): 「おーい、カワウソ君!相変わらず忙しそうやねぇ。」

静岡(カワウソ): 「おいおい、何しに来たんだよ?また僕の魚を狙いに来たとかじゃないよな?」

山梨(ツバメ): 「そんなわけないやん。ところで最近、高速鉄道の話題で静岡は大変みたいやね?」


カワウソは一瞬、魚を追うのを止め、川のせせらぎを見つめる。


静岡(カワウソ): 「その話か…。水がなくなるかもしれんって話で、農家も僕もみんな困るだよ。この川が干上がったら、魚もいなくなるし、お茶も作れなくなるら。」

山梨(ツバメ): 「でもさ、新しい道ができれば、もっとたくさんの人が来るやん?未来のためやと思うけどなぁ。」


そこへ、東京(ハヤブサ)が颯爽と現れる。


東京(ハヤブサ): 「お、なんだなんだ?静岡(カワウソ)山梨(ツバメ)が揃って何の話だ?また富士山のどっちのものか論争でもしてるのか?」

静岡(カワウソ): 「おい、東京(ハヤブサ)。そんなことより、この川がなくなるかもしれないんだ!水が減ったら大変なことになるら。」

山梨(ツバメ): 「でも、それで未来の便利さが手に入るなら、進むべきやと思うけど?」


ハヤブサは空から一瞬川を見渡し、地面に降り立つと、大げさに翼を広げながら言った。


東京(ハヤブサ): 「まぁまぁ、そんなに熱くなるなよ。自然か便利さか、結論を急ぐ前に、まずは現場を見に行ってみたらどうだい?」



静岡(カワウソ)が前を歩き、山梨(ツバメ)が川の上を飛び、東京(ハヤブサ)が後ろからついてくる形で、高速鉄道の建設現場へ向かっていた。


山梨(ツバメ): 「ところで、静岡(カワウソ)君。静岡って蛇口をひねるとお茶が出るんやろ?」

静岡(カワウソ): 「それ、またか。都市伝説だら!そんなわけないに。給食に緑茶が出るのは本当だけどさ。」

東京(ハヤブサ): 「それ聞いたことあるぞ。給食に緑茶って、本当に静岡だけなのか?」

静岡(カワウソ): 「普通に牛乳も出るだよ。けど、お茶があると牛乳と交互に飲めて最高なんだら。」

山梨(ツバメ): 「それはなんか…贅沢な気がするなぁ。」


途中、小さな直売所に立ち寄ると、山梨の特産品が並んでいる。ツバメが嬉しそうに看板を指さす。


山梨(ツバメ): 「見て!これが山梨自慢の桃や。」

静岡(カワウソ): 「美味しそう!でもまだ硬いね!」

東京(ハヤブサ): 「そうだね!まだ熟れてないんじゃないのか?」

山梨(ツバメ): 「あかんあかん!硬いうちにかじるのが一番うまいんや!」


東京(ハヤブサ)静岡(カワウソ)が微妙な顔で見つめ合う。その視線を知ってか知らずか山梨(ツバメ)は桃をくちばしでつつきながら満足そうだ。



建設現場に到着すると、川沿いでは農家の人たちが水を汲み上げている姿が見えた。


農家代表: 「この水がなくなったら、お茶も作物もみんな終わりです。この川の水は私たちの命そのものなんです。」

静岡(カワウソ): 「そうだら!水がなくなったら、この土地は終わりだ!」


一方で、少し離れた建設現場では、重機が動き、トンネルから出た水を川に戻す仕組みが作られていた。


山梨(ツバメ): 「でも見てよ。ちゃんと対策はしてるやん。これならなんとかなるかもしれん。」

東京(ハヤブサ): 「それでも、完全に元通りになるかはわからない。自然は一度壊れると、復活するまでに時間がかかるんだよ。」


カワウソは現場をじっと見つめながら、ため息をついた。


静岡(カワウソ): 「便利になるのはいいけど、この川が死ぬかもしれないと思うと…素直には喜べんだ。」



議論を続けながら川沿いを歩いていると、空から大きな影がふわりと舞い降りた。そこに現れたのは、日本各地を旅してきたツルだった。


ツル: 「おやおや、随分と真剣な顔をしてるじゃないか。何の話をしてるんだい?」


ツルの優雅な姿に3匹が少し驚きながらも、カワウソが先に答える。


静岡(カワウソ): 「ツルさん、ちょうどいいところに来てくれた!この川が高速鉄道の工事で干上がるかもしれなくてさ。」

山梨(ツバメ): 「でも、新しい道ができたら、僕たちの未来も明るくなるんや。」

東京(ハヤブサ): 「どちらも大事だと思うけど、どうしたらいいか迷ってるんだ。」


ツルは静かに川を見つめながら語り始めた。


ツル: 「日本中を旅してきたけど、便利さを追い求める国もあれば、自然を守ることを優先している国もあるね。でも、本当にうまくいっている場所は、どちらも大切にしているんだよ。」


3匹はツルの言葉に耳を傾ける。


山梨(ツバメ): 「でも、具体的にどうすればいいんやろ?自然を守りながら便利さも手に入れるなんて、難しそうや。」

ツル: 「確かに簡単じゃない。でもね、例えばトンネル掘削で出る水を農業用水に活用するとか、周辺の緑を増やすための植樹を進めるとか、工夫の余地はある。」


カワウソが少し前のめりになって聞き返す。


静岡(カワウソ): 「それでも、完全に元通りにはならないんじゃないのか?」

ツル: 「それはそうだ。でも、大事なのは何もしないまま諦めることじゃなくて、少しずつでも前に進む努力をすることだよ。」


ツルは遠くの山々を指さしながら続ける。


ツル: 「高速鉄道が通ることで便利になる未来と、自然が調和して守られる未来。そのどちらも必要だから、バランスを取る方法を考えるべきだね。」


ツバメがふと空を見上げてつぶやく。


山梨(ツバメ): 「僕たちも、未来の便利さだけを考えてたかもしれん。でも、静岡(カワウソ)君の言うように、この川を守ることも考えなあかんよな。」

東京(ハヤブサ): 「ツルさん、さすがだね。俺たちも学ばなきゃいけないことがまだまだある。」


ツルは静かに微笑みながら翼を広げた。


ツル: 「僕もまた旅に出るよ。次に戻ってくる時には、みんなが見つけた答えを聞かせてくれ。」


川沿いの岩場に腰を下ろし、ツルが再び羽ばたく準備をしている。3匹(静岡(カワウソ)山梨(ツバメ)東京(ハヤブサ))は、それぞれの思いを語り始めた。


静岡(カワウソ): 「未来を考えると、進まなきゃいけないのはわかる。でも、この川が干上がったら、僕たちの生活が壊れてしまう。どうにかして、自然を守りたいんだら。」


山梨(ツバメ): 「僕は、もっと便利な未来を作ることで、多くの人に山梨を知ってもらいたいと思ってた。けど、それだけじゃダメなんやね。」


東京(ハヤブサ): 「俺も、都会は都会で問題が山積みだ。自然が少ない分、便利さを求める声が大きいけど、今回の話を聞いてバランスの大切さを改めて感じたよ。」


ツルが優雅に立ち上がり、静かに語りかける。


ツル: 「それぞれが大切にしたいものを持っているのは素晴らしいことだよ。だからこそ、お互いの知恵を出し合って、より良い未来を作る方法を見つけることが重要なんだ。」



その言葉に3匹が小さく頷く。静岡(カワウソ)が少しずつ口元を緩めて言った。


静岡(カワウソ): 「僕も、未来を諦めるつもりはない。この川を守るためにできることを考えるし、新しい道ができることも前向きに考えたい。」


山梨(ツバメ): 「僕も、静岡の自然をもっと知りたい。そして、お互いに協力して、新しい未来を作っていきたいと思うんや。」


夕日が川面に反射し、金色の光が広がる。ツルが翼を広げ、静かに空に舞い上がる。


ツル: 「道半ば。だが、君たちならきっと良い未来を作れるよ。」


ツルの姿が見えなくなるまで3匹は見送り、その後、顔を見合わせて小さく笑った。


東京(ハヤブサ): 「これからの課題はたくさんある。でも、話し合うことで前に進めることを、今日は学べた気がするよ。」


3匹は川沿いを歩きながら、それぞれの街に戻る準備を始めた。静岡の川は、少しずつ穏やかに流れ続けている。

静岡(カワウソ)山梨(ツバメ)東京(ハヤブサ)、そしてツルが紡いだ物語はいかがでしたか?自然の恵みと便利さの追求、そのどちらも欠かせない未来のために、それぞれが自分の立場を超えて考えを深めました。


この物語が、読者の皆さんにとっても、自分たちの生活や未来を見つめ直すきっかけになれば幸いです。


次回も、日本各地の魅力と課題を織り交ぜながら、心温まるストーリーをお届けします。お楽しみに!

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