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4「四国(イヌワシ・リスザル・カジキ・クジャク)の橋を架ける旅」

四国を舞台に、個性豊かな動物たちが登場します。讃岐の空を舞うイヌワシ、柑橘を愛するリスザル、力強いカジキ、華やかなクジャク。それぞれが自分の文化や特産品に誇りを持ちながらも、旅の中で思わぬ出会いや出来事に直面します。


四国八十八ヶ所巡りを巡るこの物語。彼らのやり取りや冒険が、あなたの心にどんな景色を見せてくれるのでしょうか――それは物語の中で。四国の魅力を少しずつ感じながら、一緒に旅してみませんか?

シーン1:文化を巡る激しい対立


四国の動物たちが集まる広場。隣県同士の動物たちは、それぞれの文化や特産品を誇りに思うあまり、互いに張り合い始める。

香川イヌワシ:「讃岐うどんがなかったら、四国はただの島やないか。讃岐うどんこそ四国を代表する文化や!」

(大きな翼を広げながら、自信満々に語る。)

愛媛リスザル:「でもね、柑橘がなければ四国のご飯は味気なくなるわよ。健康にもいいし、柑橘がなかったら困るのはあなただって一緒よ!」

(柑橘の実を手に取り、くるくる回しながら主張。)

高知カジキ:「へっ、そんな細々したもんじゃ、四国の力強さは示されへん。鰹のたたきのスモークの香りを一度でも嗅いだら、他の文化なんて霞むで!」

(尾びれを振り上げ、豪快に笑う。)

徳島クジャク:「何を言ってるの?四国の観光客を本当に引きつけるのは、この華やかな阿波踊りよ!美しさがなければ、人は見向きもしないわ!」

(羽を広げ、優雅に踊り始める。)


動物たちの議論はどんどん白熱し、次第に険悪な雰囲気に。

香川イヌワシ:「ふん、そんな踊りなんかより、うどんの方がずっと役に立つ。」

徳島クジャク:「踊りを知らずに四国の魅力を語るなんて、何様のつもり?」

愛媛リスザル:「みんな、一回落ち着きましょうよ。でもやっぱり柑橘がないと……。」

高知カジキ:「おい、俺のたたきを食べたこともない奴が何言ってんねん!」


四県それぞれの主張がぶつかり合い、広場には不穏な空気が漂い始める。互いに自分たちの文化が四国で最も重要だと思い込み、歩み寄る気配はまったくない。


そんな中、大阪から旅の途中で立ち寄ったタコが、のんびりした様子で広場に現れる。

大阪タコ:「何や、何や?そんな喧嘩腰で話してたら、四国のええとこも台無しになるで。」

香川イヌワシ:「あんた、関係ないやろ!」

大阪タコ:「まあまあ、そんなイライラしてる暇があるんやったら、一緒に巡る旅でもどうや?」

(タコが取り出したのは、お遍路の地図だった。)



シーン2:タコの提案で旅が始まる


大阪のタコが広場に出してきたお遍路の地図を見て、四国の動物たちは一瞬戸惑う。

大阪タコ:「八十八ヶ所を回るんや。これが四国の本当の姿を知る一番の方法やで!」

徳島クジャク:「何よそれ?そんな旅をしても阿波踊りの美しさが証明されるだけじゃない。」

高知カジキ:「いやいや、鰹のたたきが四国の力そのものってわかるはずや!」

香川イヌワシ:「うどんの重要性を学ばせるにはちょうどええ機会やな。」

愛媛リスザル:「柑橘の素晴らしさを思い知らせてあげるわ。」


動物たちは、タコの提案を各自のプライドを守るためのチャンスだと考え、競うようにお遍路の旅に参加することを決める。


お遍路の旅がスタート


動物たちはそれぞれ、隣県の文化に触れるための準備を整えるが、最初の道中から早くも衝突が起こる。


1.険しい山道の試練

愛媛リスザルは身軽に岩場を飛び越え、余裕たっぷりの表情。

愛媛リスザル:「ほら、やっぱり身体が小さい方が有利よね。」

一方、高知カジキは「山道は無理や!」と、汗をかきながら大声で不満を言う。

高知カジキ:「この道は魚には厳しすぎるわ!」


2. 食の好みの違い

香川イヌワシが用意した讃岐うどんの弁当を全員に配るが、リスザルは柑橘の皮をうどんに絞り始める。

香川イヌワシ:「何してるんや!そんなことしたらうどんの繊細な味が台無しや!」

愛媛リスザル:「これでさらに美味しくなるのよ。やってみればわかるわ。」

口論の末、うどんを一口も食べずに険悪なムードになる。


徳島クジャクが踊りの練習を始めるが、カジキが冷たい目で一言。

高知カジキ:「踊りなんかしてる暇があったら、漁の手伝いでもせぇや。」

徳島クジャク:「何ですって?この踊りは文化の誇りよ!」

クジャクの羽が誇り高く広がり、高知のカジキとにらみ合いに。



険悪な空気に耐えかねたタコが口を挟む。

大阪タコ:「ちょっと待ちなはれ!お遍路の旅ちゅうのは、競争やないで。巡ることで見えてくるもんがあるんや。」

動物たちは不満を抱えたまま、しぶしぶ歩みを進めるが、各々の頭の中にはまだ「自分たちの文化が一番だ」という思いが残っていた。



シーン3:衝突の頂点と気づきの始まり


険しい山道を進むお遍路の旅も中盤。四国の動物たちはそれぞれのプライドを手放せず、口論ばかりで進行が遅れていた。旅の目的である「四国全体の良さを知る」という意義を見失い、緊張がピークに達していた。


香川イヌワシが茹でた讃岐うどんを全員に振る舞うが、愛媛リスザルがまた柑橘を絞り始める。

香川イヌワシ:「だから言ったやろ!うどんはそのままが一番や!余計なことせんといて!」

愛媛リスザル:「柑橘が香りを引き立てるのよ。試してみたらわかるわ!」

他の動物たちは匂いを嗅ぎながら「意外と悪くない」と思うが、どちらにも賛同できずに黙り込む。



休憩中、徳島クジャクが気分転換に阿波踊りを披露するが、リズムに合わせて跳ねた羽が高知カジキの荷物を飛ばしてしまう。

高知カジキ:「おい!何やってんねん!鰹のスモークが全部落ちたやないか!」

徳島クジャク:「心を癒す踊りがどうしていけないの?むしろ旅が楽しくなるでしょ!」

カジキが尾を振り上げて怒るが、クジャクも羽を広げて負けじと睨み返す。



険悪な雰囲気に耐えかねた大阪タコが、のんびりとした口調で口を挟む。

大阪タコ:「ほんま、四国ってバラバラやな。こんなんで『四国は一つ』なんて言えるんか?」

動物たちはその一言に一瞬沈黙するが、すぐに反発が飛び交う。

香川イヌワシ:「バラバラなんかちゃう!うどんがあれば四国はまとまるんや!」

愛媛リスザル:「それじゃ健康はどうするのよ?柑橘があるからみんな元気で旅ができるの!」

高知カジキ:「いやいや、鰹こそ四国の力の象徴や!」

徳島クジャク:「美しさを無視しないで!観光の華は阿波踊りよ!」


タコは首を振りながら、地図を広げる。

大阪タコ:「ほら見てみぃ。このお遍路のルート。どれか一つでも欠けたら、八十八ヶ所は完成せぇへんやろ?」

動物たちは言い返すことができず、静かに地図を見つめる。



その夜、山中の庵に宿泊することになり、動物たちは空腹を感じていた。タコがまた提案する。

大阪タコ:「ほな、みんなの特産品を混ぜて、一品作ってみたらどうや?」

動物たちは最初は反発するが、「お腹が空いてるし仕方ない」としぶしぶ準備を始める。


香川イヌワシ: うどんを茹でる役割を担う。

愛媛リスザル: 柑橘の皮を剥き、香りを加える。

高知カジキ: 鰹のたたきを豪快に切り分ける。

徳島クジャク: 舞い踊りながら場を和ませ、作業を盛り上げる。


動物たちは次第に役割分担を楽しむようになり、それぞれの個性を活かして料理を完成させる。



完成した料理を食べながら、動物たちはそれぞれの文化が組み合わさった魅力に驚く。

香川イヌワシ:「うどんに柑橘を合わせるなんて思わんかったけど、これはこれでいけるやん。」

愛媛リスザル:「鰹のたたき、力強い味ね。これなら健康にも良さそう。」

高知カジキ:「踊りがあると、食べるのも楽しくなるな。」

徳島クジャク:「みんなが揃うと、こんなに素敵になるのね。」



シーン4:クライマックス


四国の動物たちは、それぞれの文化を持ち寄り完成した料理を囲みながら、初めて互いの特産品や文化が補い合うことの価値を感じ始めていた。険しい山道での衝突や言い争いを思い返しながら、それぞれが口を開く。



香川イヌワシ:「うどんに柑橘の香りが加わると、こんなにも爽やかになるんやな。リスザル、お前の言う通りやった。」

愛媛リスザル:「ありがとう、イヌワシ。私も、うどんがこんなに色んな味に合うなんて知らなかったわ。」

高知カジキ:「鰹のたたきも、踊りのリズムと合わせるといつもより美味く感じるもんやな。」

徳島クジャク:「踊りが単なる見せ物じゃなくて、心を和ませるものだって、あなたが教えてくれたのよ。」


初めての心からの感謝に、場の雰囲気が温かくなる。



静かに食事をしながら、愛媛リスザルがふと呟く。

愛媛リスザル:「ねぇ、もしどれか一つでも欠けてたら、この料理は完成しなかったわよね。」

香川イヌワシ:「確かにな。うどんだけでも足りんし、鰹だけでも味が単調や。」

徳島クジャク:「そして、踊りがなければ、この場の雰囲気も盛り上がらなかった。」

高知カジキ:「つまり、全部揃って初めて四国なんやな。」



食事の終わりに、タコが静かに地図を指差しながら語りかける。

大阪タコ:「ほら、このお遍路の道、全部を巡らなあかんのと一緒や。四国もな、全部揃って完成するんや。けど、それで終わりちゃうで。」

動物たちは首をかしげる。

徳島クジャク:「どういう意味?」

大阪タコ:「四国が一つになるのも大事やけど、その先は何をするかや。四国のええとこ、他の場所にも伝えてみたらどうや?」


タコの言葉に、動物たちはハッとする。これまで自分たちの文化が四国の中だけで完結していると思っていたが、それを広げることで新たな価値が生まれると気づき始める。



翌朝、動物たちは再び旅路に戻る。険しい山道を進みながらも、前日までとは違い、互いに言葉を交わしながら歩く姿が見られる。

香川イヌワシ:「次は、他の場所でもうどんの新しい食べ方を試してみるか。」

愛媛リスザル:「そうね、柑橘ももっとみんなに知ってほしいわ。」

高知カジキ:「鰹のたたきも負けへんで!」

徳島クジャク:「踊りで、他の動物たちの心も癒してみせるわ。」


動物たちは、四国を越えた繋がりと発展を目指して、一歩ずつ進んでいく。



動物たちが山の向こうに消えた後、タコがのんびりと独り言を呟く。

大阪タコ:「ほんま、おもろい連中やな。四国だけやなくて、次は日本全体を繋ぐ橋でも架けるつもりかいな?」

その言葉が風に流され、遠く、遠くの空へと消えていくのだった。


第4話完



あとがき


最後まで読んでいただき、ありがとうございました。この物語では、四国を舞台に、それぞれが違う特性や誇りを持つ動物たちが織りなす旅を描きました。ただぶつかり合うだけではなく、互いを少しずつ理解し、知らなかった可能性を発見していく姿――それが今回のテーマです。


この物語を通じて感じてほしかったのは、「違うからこそ、広がる世界がある」ということ。それぞれの個性がただ並んでいるのではなく、組み合わさることで生まれる新しい価値や面白さが、四国という舞台で少しでも伝わっていれば嬉しいです。


動物たちの旅はまだ続きます。次はどんな風景が見えてくるのか、どんな冒険が待っているのか――彼らの物語はこれからも成長していくでしょう。それでは、また次のページでお会いしましょう。ありがとうございました!

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