子犬③ ここから、一歩まえに
「お腹が空いた」
口から出た自分の言葉に、思わず笑いがこみあげる
「はははっ」口では笑っているのに
心の底から笑えない。
「可笑しいな? 視界がボヤけて見える」
ツーっと、一雫の水が私の頬を伝い地面に
ポトリ、、
ポトリと、また1つまた1つと一定のリズ厶を刻み落ちていく。
どれぐらい経っただろうか。私の顔は腫れ上がり、目も当てられない状態になっていた。
全てがどうでも良く感じていた。
私はいつもこうだ。
後先なんて考えず行動してしまう。バイトの先輩に振られ、居ずらくなったからと言って辞めてしまった。
「バカじゃないの?家賃は?生活費は?私達上手くいってたと思っていたのに、、、」
彼の事を考えれば考えるほどどこにもぶつけられ無い
そんな感情に押しつぶされそうになっていた。
それからというもの家に引きこもっていた。
だけど、彼との思い出が私の生活の中で垣間見える
そう、いつしか彼が私の中心になっていた。
何日も家にいたから、家の中にあった食料も底をつきついには空腹にも耐えれなくなり、外に出た。
久しぶりの外だった。夕方の薄暗い景色に、安心感をおぼえた。
スウエットの上下でほぼ半月過ごしていたが、店内の光で私のシミだらけのスウエットがいっそう惨めさを醸し出していた。足速に買い物をすませレジ台に乗せると、彼が好きなものばかりだ。豚骨ラーメン、鶏サラダ、バナナ、グレープジュース。無意識下でも、彼を忘れていない。思わず苦笑する。
帰り道、公園通りにさしかかった時に犬の鳴き声が聞こえた。「わん、わん」人の匂いに反応してか、少しずつ激しく大きくなっていく。気にはなったが、早足に通り過ぎる。
関わるのはやめよう。どうせ、今のアパートじゃあ。飼えない・・・どころか、仕事辞めてしまったから、自分の生活でさえ頭が痛い。急に現実世界に思考が戻る。
しかし犬の声は、これが最後のチャンスとばかりに鳴くのを止めない。
突然「キャンキャン」と、おかしな鳴き声に変わる。
その声に反応して、急いで公園の中に入る。その声の方をおいながら、鉄棒のそばに置かれた箱にたどりつく。
そこには子犬が箱からでようとして、前足だけ外に出ていて、後ろ足だけ箱の中に残されて藻掻いている子犬がいた。
「キミ、ずるいなー」苦しんでる姿が、あまりに可愛いい。ひょいと、もちあげて箱に入れなおそうとする。
(えっ、後ろ足が!!)そう。 後ろ足が両方ともに、だらんと力なくぶら下がっていた。
(こ、これはやばい。こんな状態で置いていたらこの子は、間違いなく死ぬ。でも…。でも )ええーい、頭の中の葛藤を押さえつけて、携帯で近くの動物病院を探していた。




