39.星なる復活と滅亡⓪(前編)
僕たちはまた、大陸のへそにやってきた。
未だに、人ががやがやと集まっていた。
だが様子が違っていた。
「私、フラストノワールに友達がいたのに...
なんで忘れてたんだろう...」
「くそっ、どうなってるんだよ!」
「1000年平和が続いたと思ってたのに、実は魔法の災害が起こっていたなんて...
これはそのうちに、愚かな人間への神の裁きが下るに違いない!」
「おぎゃあああああ!!おぎゃあああああ!!」
民衆たちは口々に言っていた。
そして中央の舞台には、ぐったりと気を失ったウィンディライン王が磔にされていた。そしてコズミキ=コニスは言った。
「皆様、お聞きください。
なんとウィンディライン王は催眠され、ロゼット=フラストノワール王子に危害を加えていたようなのです。」
「ひどい!」
「かわいそう!」
「王のくせに催眠にかかるなんて、王族としての責任感はないのか!」
「そうだそうだ!」
「催眠......王族としての責任感......ですか。」
野次を飛ばす民衆を眺めて、コズミキ=コニスはうつろな感じで呟いた。
僕とサマーは空を飛び中央の舞台へと降り立った。
「みんなやめてくれ!そんなことをする必要はないんだ!」
僕は言った。
すると民衆は静まり返った。
こちらへ驚いた顔を見せた後、コズミキ=コニスはなるべく冷静を装って言った。
「彼はあなたにひどいことをしたのですよ。それは私も同じです。だから彼の後に私は...」
コズミキ=コニスは、自身にも手錠をかけ、足を鉄球に繋がれたままで、演説していたようだ。
「コズミキ=コニス、やめなさい。」
そう言ったのは、シエルだった。
「シエル!」
「シエル!無事でよかった」
僕とサマーは言った。
シエルは続けた。
「ウィンディライン王は、あなたよりも先にフラストノワールのことを思い出し、彼らと話しました。だからもう済んだことなのです。
早く王をあそこから下ろしてください。
あなたが何をして、何の罪を償いたいのかは後でじっくり話せばいい。
だから今は、この悪趣味なセレモニーをやめなさい。」
「...わかりました。
彼は解放します。しかしセレモニーは続けなければなりません。
私は贖罪を果たさねばならないのです。」
「もういい、本当にそんな必要はないんです!」
僕は言った。
「本当に、とは.?
何か、あったのですか?」
コズミキ=コニスは聞いてきた。
「兄に、ヴァント=フラストノワール第一王子に訊いた。
...動くな!!」
白い法衣の側近たちが舞台からはけていこうとしていたので、強く止めた。
「フラストノワールを消させた黒幕、それは…そこにいる大男、お前だ!」
会場はどよめいた。
「そんなっ!?それは流石に...本当なのですか?」
コズミキ=コニスは言った。
「法衣を脱いで、早く正体を見せろ!」
大男は微動だにせず、沈黙を続けていた。
「何を黙っている!?自分じゃないというのなら、そう言えばいいじゃないか!なんとか言え!
.........あと10秒続けば、こちらからお前に近づき、無理矢理その服を剥がせてもらうぞ!」
「嘘、ですよね...?お願いです、なんとか言ってください!」
コズミキ=コニスはそう言いながら、大男に向かって歩き出した。
「みんなに正体をあかして、潔白を証明するのです!
自分で出来ないというのなら、私があなたの正体を見せます!」
汗をだらだらと垂らし、縋るような表情。
彼女は一歩進むごとに、どんどんと早口へと加速していく。
「そんなに近づいちゃ危なッ---!」
そしてコズミキ=コニスは大男の体に触れ、法衣をばっと脱がせ...
その勢いで、法衣ごと肉を切り裂いた。血が吹き出し、断面が丸見えになる。
悲鳴。
民衆は逃げ離れていく。
「うん、やっぱり。皆さん!
これで彼の身の潔白は証明できましたよね!?......ねっ?」
「あんた、何やって...」
「何やってって、どうかされたんですか?
それになんだかー、うーん、煩くないですか?
ふふっ...ふふふ...huはhahahahahahaha!!!!!!!!!!!!」
彼女は不気味な笑い声を上げた。
つい、絶句し、唖然とした。
「何笑ってんだ!!てめえだったのか、黒幕は!!」
逃げる民衆を逆行し、舞台に上がってきたトキロウが言った。
「だって、面白すぎるじゃないですか。
"王のくせに催眠にかかるなんて!責任感はないのか!"...だなんて。
普通の人はね、みんな催眠にかかるんですよ。ほらっ!」
コズミキ=コニスは指を慣らした。
すると逃げ惑う民衆は、突如静止した。
さっきまで聞こえていた悲鳴が突如止まり、異様な空気に包まれる。
そして、民衆たちは踊り出した。
奇妙で。
ありえなくはないはずなのに、なぜかありえないように見えてしまう動きで。
まるでこの世のものではないような、そんなおぞましい踊りを。




