表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
フラストノワール、花の国の王子は突如消滅した故郷を歩く。—ロマンチックな王国滅亡によって自動的に発生するオートマチック婚約破棄—  作者: 紅茶ごくごく星人
中編 滅亡中

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

23/48

20.森の鬼火と新人類?②

あれから何日、何週間...何ヶ月経っただろうか?


髪もかなり伸びた。


流石に1年は経っていない...と思う。


僕はついに、コンパスが示す"真っ黒な場所"にたどり着いた。


「なんだこれ...」


そこは本当に真っ黒な空間だった。

森が突然、クレヨンで線を引かれたように"真っ黒"になっていた。


光が突然闇に。その境界線は完全に二分されていて、グラデーションはなかった。


空の彼方までも突然真っ黒になっていた。

ここに来るまでは空はずっと普通に見えていて、気がつかなかった。


僕は唾をごくりと飲む。

そして慎重に、まず枝を空間に差し入れてみた。


「............」


何も起こらなかった。


そして僕は慎重に、ゆっくりとその枝を引き抜いてみる。

すると枝は...


「............」


前と変化はなかった。


僕は意を決して足を踏み入れてみる。

地面の感触は、それまでの森の土と変わらないように感じる。


そのままもう一歩足を踏み入れ、僕は完全に真っ黒な空間に入った。


そのまま歩いていく。

本当に何も見えない。


両手を前に突き出しながら一歩一歩慎重に歩いていくと、固い何かにぶつかった。

動物の鳴き声などは聞こえていなかったので、僕はそれを触って確かめた。


間違いなくそれは"樹皮"だった。


(ここも森ってことか?)


僕はそのまま後退りして、真っ黒な空間から出た。


僕はしゃがんで、手だけを空間に差し入れた。

そして土を掘って、こちら側に引きずり出した。


すると、そこには土があった。

無彩色の土が。


やっぱり真っ黒な空間の中も森ってことか。


僕は枝に、ヘビガエルの油に漬けた布をぐるぐる巻きにして、火をつけた。

そして真っ黒な空間へと足を踏み入れた。


ずんずんと歩いていく。


本当に真っ黒だったが、炎の揺らぎが及ぶわずかな範囲は明るくなった。

わずかな範囲だったが、それでも僕の心を大陸まるまる1個分くらい大いに勇気付けた。


だが...突如その炎は何者かに握り潰されるように消された。

「!?」


メラメラパチパチと鳴っていた炎の行進曲が、シューッと煙が立つ音に変わった。

恐怖。不安。


僕はそれに負けずに状況を把握しようとする。

まだ慣れない目を閉じて、耳を澄ますことに集中する。


わずかに足音のようなものが聴こえるが、それもかなり遠く。

今起きている状況とは別件だろう。


僕は後退し、光へと戻ろうと一歩踏み出した。

その時僕の体は何かに掴まれ拐われた。


何か、巨大な手のようなモノに。


咄嗟に剣を抜こうとするが、何かがおかしい。


「...!」


水の中にいるように、動きが鈍くなっている。


なんだこれ...!?


だけど僕は必死に手を推進させて、剣を取り、抜いた。


そして、その"何か"を斜めに切り裂く。

その時一瞬、光が...花が開花するようなビジョンが見えた。


それとともに、遅くなっていた周りの時間は再加速する。

"何か"の手中から切り抜けたのだ。


僕はその勢いのまま、地面をぐるぐる滑り転んだ。

しかしすぐに立ち上がり、逃げる。


走る。走る。走る。走る。走る.........


しかしずっと真っ黒な空間のまま。

道を間違えたか...?


僕が方向転換しようとすると、また剣から花のビジョンが見えた。


気配を感じて周りを見回すと、うっすらと何かの輪郭が見えた。

巨大な何かは複数体いて、僕の周りを取り囲んでいた。


どうする...!?


僕は首から下げたコンパスを開いた。

宝石はわずかに赤く光っていたけど、流石に暗すぎて詳しく見ることはできなかった


別の足音もこちらに近づいてきている。

これも"何か"の仲間なのか?


「...」


開きっぱなしのコンパスから手を離し、思案に暮れた。


そして思いついた策は一つだけだった。


無理矢理剣で突破口を開き、走るしかない!


どっちから来たかわからない。

だから間違えたら、いくら走っても抜け出せない。それより先に息が切れて終わりだ!


だけど...やるしかない!


僕は覚悟を決めて、剣先を向ける方向を定めた。

そして自身が剣と一体化したように鋭く直進する。


"何か"のうちの一体にトンネルを開けた。


通り抜けて、走る。


走り抜ける。

あとは運次第だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ