11more.タ・ケノコ・ス(サマーブリージア王女視点)
ロゼット王子は何やらごそごそとし始めた。
「...?」
私は望遠鏡を取り出し、彼の手元を覗く。
すると、見えた。
彼は大きな鞄から、何かを取り出しているようだ。
そして取り出したものを...着た。
これは...
これは...!?
「えっ...!?」
そこにいたのは、タ・ケノコの化身"タ・ケノコ・ス"だった。
タ・ケノコ・スは腕で三角形を作った。
そしてしゃがみ、上に伸びた。
「...!?」
そしてまたしゃがみ、上に伸びた!
「......っ!?!?」
それは豊穣の舞...タ・ケノコ・ス・ダンスだった。
「わ、私...」
望遠鏡が手からこぼれ落ちる。
「こんなことされたの......初めて...」
どくどくと心臓の鼓動が早くなる。
顔が熱くなって...つい頬を両手で抑えた。
今までこんなふうになったことなんてなかったのに...
恥ずかしくなって、私は急いでカーテンを閉めた。
そして便箋を1枚取り出して「ありがとう」とだけ書いた。
それで紙飛行機を折ると、カーテンを開けて、便箋を飛ばした。
彼が便箋をキャッチしてこっちを見た瞬間、私はカーテンを閉めた。
「......あ!」
カーテンだけ閉めて窓は開けっぱなしなことに気がついた。
慌ててまたカーテンを開けて、急いで窓を閉めて、また素早くカーテンを閉めた。
すぐにベッドに飛び込み、毛布にくるまった。
「...っ〜!!」
野草と魔法以外に...ううん、それ以上に私をドキドキさせる存在がいたなんて...
思い出すと顔が赤くなってくる。
堪えきれずに、私はベッドの上でゴロゴロと転がった。