第七話 幼馴染のメイドちゃん
「「「え」」」
俺と夏帆含め周りの人達は一斉に声を上げた。
周りの人は「あの子誰?」「転校生?」「メイド服かっわえ」と疑問を口にしている。一部方向性の違うやつもいるけど。
しかし俺と夏帆は彼女が誰だか知っていた。
彼女の名前は夕暮真衣ゆうぐれまいなかなか珍しい苗字だ。彼女は俺と夏帆の幼馴染なのだが、高校は違うはずで本当ならばここにはいないはず。
「な、なんでここにいるの?」
驚きながらも彼女に質問すると。
「お二人の専属メイドとして働くことになったからです」
「「は?」」
意味が分からないと言うような声を上げる俺と夏帆、確かに彼女がメイドとして働くのはおかしい話ではない。
何故なら彼女は風谷家で働いてる夕暮家の娘だからだ。元々夕暮家一族は代々的に風谷家の使用人だったのだが俺と真衣が生まれた年にこれから生まれてくる子の未来を奪いたくないということで真衣は使用人として働かなくてもいいのだ。
「なんでそうなったわけですか?」
夏帆がそう聞く
「お二人が許婚になったということで私が自分から申し出たんです」
「使用人として働かなくてもいいのにどうしてまたメイドになったんだよ」
「こうすることで高校にいる間も一緒に居られるからです。 それとお二人はまだ許婚なんでしょう? あわよくば颯詩様を寝取ろうかと」
こいつ、ためらいもなく全部正直に言いやがった。
「は? いくら幼馴染で仲のいい真衣でもそう簡単に兄さんは渡しませんよ?」
「どうでしょうかね? だって」
そう続けながら真衣は俺に顔を近づけ耳元で
「颯詩様は夏帆様の事が、いややっぱり何でもないです」
俺だけに聞こえる声でそう言う。
まさか真衣に俺が夏帆の事が嫌いだということがばれたのか? そんでそれを利用して寝取ろうと? 闇が深けぇ。
「だって何よ? 私だけに聞こえない声で兄さんと何か喋るの卑怯だと思います」
何も知らない夏帆は悔しそうにそう言う
俺は真衣の方を見るが真衣はずっと少し微笑んでいて何もかも見透かされたような気分だ。
俺が夏帆の事を嫌いというのはSPさんと俺以外いないと思っていたのだが、情報が漏れた? いやSPさんがそんなことするはずないか。
じゃどうして? 気づかないうちに行動に出ていた? それなら夏帆にも伝わっているはず。
それに行動には気を付けていた。
一体全体なんなんだよ。夏帆には迫られるし、真衣にはばれてるし
「あそういえば、私もお二人と一緒に家で住むことになりました」
「はぁあああああ?」