第六話 サブヒロインはメイドちゃん⁈
好み全開で行きます。ぐへへへh
「と、とりあえず。どけてくれないか?」
そう気まずそうに言う俺に対し夏帆はまだまだ追撃をしてくるようで甘い? 声で囁いてくる。
「兄さんまさか照れてるんですか? 可愛い♡」
ん? なんか語尾にハートついてないか? こいついつまで続けるんだよ。
こうなったら最終兵器だ。
机から自分のスマホを取りロックを解除し録音機能を開きすぐさま録音を開始しそれを夏帆に突きつける。
「なんですか? これ」
そう聞かれると俺はにっと笑う。
「録音アプリだ! 今までの会話すべて録音してたからな」
そう自慢げに言う俺をよそにじっと画面を見ていた夏帆は顔をみるみる赤く染めていき
「消してくださいっっっ」
と今まで聞いた事のない大声で叫んだ。
「はぁ、疲れた」
ベットに入りため息をつきながらそういうと一つ上の段から少し怒った声で夏帆が喋る。
「兄さんが悪いんですからね」
「でも、俺を押し倒した夏帆が元々悪い印じゃないのか?」
俺たちは高校生にもなって二段ベットで寝ている。別におかしくはないのだろうが兄妹がこの年になって同じ部屋というのはさすがに少しおかしい。
「それを言えば、もともとからかううような真似をしてきたのは兄さんじゃないですか」
「っう」
ど正論だ。
「も、もう寝るぞ。遅いし」
これ以上言い合いをしていても言い負かされる未来しか見えないので寝ることにした。
夏帆もそれを察したのか、静かに寝たようだ。
翌朝、いつもどうり七時に起きた俺は顔を洗いご飯を食べ、歯を磨いて支度を終わらせ夏帆と家を出る。
「うわぁ......」
家を出た瞬間目にした光景を見て思わず声を出してしまう。
そこに広がっていたのは昨日の夏帆の親衛隊を名乗っていた三人と大勢の人が家の前で「おはようございます」と書かれた旗を掲げながら立っていた。
これには夏帆も少し引いていた。
「とと、とりあえず行こうか......」
親衛隊の人たちを無視するような形で夏帆と歩き始める。
途中で「夏帆様に兄がいたのは本当なんだー」や「なんかさえないやつだな」「あいつが兄とかありえねだろ」など俺に関することが聞こえてくる。
っう、いてぇいてぇよやめてくれ、さえないとか陰キャってことは自分で一番理解してんだよ
心にクリーンヒットを受けながらもいつものように学校までついた。
だが、今日は何か違うようで校門の前に人だかりができていてやけに騒がしい
人だかりの前までつくと人だかりの中心に居るらしき人物が集まっている群衆に向かって
「どいてください」
と聞いたことのある声で言う。
すぐに道が開け群衆の真ん中にいた人物と目が合った瞬間。
「おはようございます。ご主人様」
とメイド服を着たかわいらしい少女に挨拶をされる。