第5話 二つ目の選択肢
「二つ目の選択肢、それは、これまで通り……とはさすがにいきませんが、とりあえず学校に通いながら治るのを待つことです」
ふむ、パッと聞いた限りではデメリットが思い浮かばない。将来的にニートにはなりたくないからな。
「えーと、それだと悪い点が思いつかないのですが……」
「いえいえ、なかなか厄介ですよ?その女性の体で通わなければならないし、一年ほど経って治ったときに誤魔化さなければならないし」
そういうこともあるのか。確かに今の学校に友達と呼べるものがいない俺にとって、学校に通うってのは相当にハードルが高いか。
「それに、そんな美少女の姿になってしまって、男性に襲われたらどうするんですか!抵抗もできずにされるがままですよ!」
なんか、さっき俺が思ってたようなこと言ってるな。
「だ〜か〜ら〜、大人しく研究に協力して欲しいな?」
急に甘えたような上目遣いで行ってくる来栖さんが可愛くて、直視できずに目を逸らしてしまう。いやほんと可愛いな、俺みたいな陰キャにとっては完全に目の毒だ。もしかして研究に協力するのをおすすめしない理由ってもしや……。
「それでもできれば学校には通いたいです。それが無理ならせめて、高校卒業の資格は欲しいです」
「高校卒業の資格は一年遅れてもなんとかなりますよ?」
それでも俺にはどうしても引き下がれない理由があった。それは俺が親のもとを離れ一人暮らしをしていることに関わっている。
「それはダメなんですっ」
先ほどより語気が強くなってしまってか、来栖さんが少し驚いている。
「どうしても、ですか?」
俺は言葉で返す代わりに目で訴えかける。するとそれが伝わったのか、来栖さんがやれやれとでもいうかのようにため息を吐いた。
「そうですか。そこまで言うなら仕方ありませんが協力しましょう。」
「本当ですか!?」
「はい」
「ありがとうございます!」
よかった。意外とあっさり折れてくれて本当に助かった。ここで食い下がられたら俺は口論では絶対勝てない自信があった。
「ですが、協力すると言ってもどうやって?」
「ご安心ください。そのための私ですから」
そのため?言い方に引っかかるな。もともとこの手段を取る予定だったのか?
「具体的にはどういうことですか?」
「学校に通うためにはまず、有栖川さんの現状について情報を共有できる、信頼のある協力者が必要です。それも男子と女子の両方が」
「先ほども言いましたが、俺には友達と呼べるような人は男子にも女子にもいないですよ」
自分で言っててかなり悲しくなるから、もう忘れないで来栖さん(泣)
「他の学校にもですか?」
「それなら一人だけいます。俺にとって唯一親友と呼べるやつが。そいつは隣町の高峰高校に通っています」
「ふむふむ。では転校しましょうか!」
はあぁぁ?いやいやいきなり転校とかそれはさすがに無理だろう。
「ふふっ。ご安心ください。私の上に話を通せば転校の手続きなんて朝飯前ですから」
そういえばさっきまで忘れてたけど、来栖さんって国の機関の一員だったわ。
「でも女子の協力者はどうするんですか?」
おっと、来栖さんが今日一番の満面の笑みを向けてくる。俺はもう理解したんだ。この人がめちゃくちゃ嬉しそうにしてる時、ろくなこと考えてないと……。
「言ったでしょう?そのための私だって」
俺は一瞬、来栖さんが何を言っているのかわからなかった。いや別に直接的なことは言われていないのだが、話の流れからして大体のやつは気づくだろう。いやでもまさかね?そんなわけないよね?
「え、えーと、来栖さん」
「はい?」
首を傾げる来栖さん、かわいいな……、じゃなくてっ、
「まさか来栖さんが女子の協力者になるとか言わない、ですよね?」
わぁ、来栖さんの今日イチの笑顔更新だー(考えることを放棄した)
「ふふふー♪そのまさかです!」
「HAHAHA、デスヨネ」
「続きが気になる!」
「主人公が譲れないワケとは?」
「え、ちょ、来栖さん??」
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