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落ちている。
寝ている時、体が落ちているような感覚に陥ったことがないだろうか?
あの感覚が永遠に続いている。そんな感じだ。
闇の中。
何も見えない。
ただ意識だけがある。
落ちているという実感が。
落ちる。魂が。
まるで椿のようにざっくりと。
魂とはとどのつまり記憶の集合体。
中でも強い思い出が、人格を形作る。
だとしたら、“彼女”の強い思い出は死だ。
死。
鷹。
大きい。灰色。
爪。傷。
父の死。
肉の桃。
神経の青。
脂肪の黄色。
骨の白。
血。
赤。
赤、紅、赫。
私。
赤。
空が燃える。
夕焼け。
太陽の赤。
父が落ちている。
太陽を背に。
まるで黒点のように。
光を蝕む染みのように。
父はいつも彼女に語りかける。
オマエニナニガデキル?
その言葉は今も――
彼女の魂を蝕んでいる。
当作品はタチバナナツメさん主催の
多人数参加型西洋ファンタジー世界創作企画の作品になります。
登場するキャラクター及び一部脚本の著作権は
企画参加者の方々のものです。
『ティル・ナ・ノーグの唄』
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※企画は現在終了しています。
当作品はファンアートのようなものとなりますのでご了承ください。