表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
沈むものたち  作者: 螽斯
賞金首狩り
2/15

日常

 都市ダイバースの裏路地、ゴミが散らばる物陰のひとつにゲントは居た。じっと動かず、標的を待つ。今回狙うのはザインと言う名の元冒険者だ。「レベル」で上がった力を利用して窃盗や性犯罪、殺しを繰り返しているという。こういった力に酔ったならず者は、この都市では掃いて捨てるほどいる。


 「レベル持ち」を相手取るときは、正面から相対してはいけない。彼らは尋常でない身のこなしと、人間とは思えない膂力を持つ。そうではないゲントは為す術なくやられる。

 だから不意を突く。


 打合せ通りに、一人の娼婦がザインの手を引き裏路地に入り込んでくる。二人はしばらく進むと、手ごろな場所でもつれ合い始めた。

 ゲントは物陰からゆっくりと歩き出す。動作は緩慢だ。酒に酔い、女に夢中のこの標的も、殺気を感じれば瞬時に牙を向けるかもしれない。だから焦らず、俯瞰の視点を保って近づく。そうしてザインの真後に立つ。一向に気付く素振りはなかった。杞憂だったようだ。ゲントは静かにザインの首にナイフを置いた。



 ザインの遺体を漁る。衣服を剥がし、金品と粗製の剣を手にする。遺体を物陰に押し込め、立ち去ろうとすると横から声を掛けられる。さっきの娼婦が報酬をもっとよこせと喚いていた。彼女には標的をおびき寄せるまでに前金を、暗殺が済んだ後に残りを渡している。どうやらザインの金品を見て、もう少したかれると考えたらしい。殺してしまおうかと、一瞬考える。だが顔立ちがいいので今後も使えるかもしれないし、何より耳障りな金切り声が嫌だったので素直に渡した。女はそれをふんだくると表通りに消えていった。

 

 殺しの達成を伝えにギルドへ向かわねばならない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ