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沈むものたち  作者: 螽斯
賞金首狩り
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旅立ち


 ゲント・ランパードは地方の有力諸侯とその侍女との間に生まれた。本来あってはならない彼の誕生を、祝福するものは居なかった。

侍女の妊娠を知った本妻は怒り狂い、侍女もろとも赤子を殺そうとした。止めたのは侍女と交わった諸侯だった。本妻は子をもうけにくい身体で跡取りとなる男児が一人しかいなかった。ゲントは「保険」として、生き延びることが許された。


 数年後、ゲントの父は己の君主への反乱を企てた。武勇と兵力で成り上がった彼は、不相応な野心をその身に宿していた。

民に対する王の暴政をでっちあげると、義憤を掲げて王国に攻め入った。


 結果として、戦は王国側の圧勝で終わった。王が用意していた「魔法」という未知の脅威が、一介の軍団を容易く焼き払った。


 王国が残党の処理を進める中で、いないものとされていたゲントの存在が浮かび上がった。当時ゲントは屋敷の使用人として息を殺し過ごしていた。

実の父と腹互いの兄弟が戦で死んだことは知っていたが、悲しみは感じなかった。あったのは自身に避けられぬ死を残していったことへの恨みだった。

しかし、意外にも王は彼を殺そうとしなかった。

 極刑の代わりに、彼に科せられたのはある都市への追放だった。ダイバースと呼ばれるその都市は「ダンジョン」と呼ばれる奇妙な迷宮が群生し、数多くの人間が「冒険者」として、日夜その迷宮の攻略に励んでいるという。

突然伝えられた都市の情報にも、そこへ追放するという王の意図にもまるで理解が追い付かなかったが、ゲントはただ、王の言葉に肯いた。


 目的地までの移動には男が一人同伴することになった。御目付け役としてゲントが逃げ出さぬよう見張るらしい。

 出発の日、ゲントは名前も分からない御目付け役と共に、屋敷を発った。日も明けぬ早朝だったせいか、見送る者は誰もいなかった。

 

 それから10年。ゲントは賞金首を殺して生計を立てている。

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