そう、僕は過去へと飛んだ。
「そうでしょう。それが結果なのよ」
魔女はつぶやく。
六畳間の部屋のベットの上でぼくは考え、考えぬいた。
「だれもそうなのよ、過去に後悔し、未来を悲観する。ある一部の人はその箱から抜け出すの」
魔女は続けて語る。
「チャンスを上げましょう。あなたが戻りたい過去へ戻してあげましょう。ただし対価として戻した過去の時間分、あなたの寿命をもらうわ」
僕は頭から一つの曇りもなくあるシーンが浮かんだ。
「ありがとう、じゃあね僕はあの日、そう後悔したあの年、青春を夢見ていたあの頃に帰るとするよ」
「わかったわ。あなたの寿命は私にもわからない。もう一度ここに帰ってくるかもしれないし、人生を謳歌する時にパタンと死ぬかもしれない。
セミが孵化して成長し死ぬ期間ぐらい短いのかもしれない。あなたは命をかけて過去に行く勇気はあるかしら」
「するよ。」
「わかったわ。過去に戻るって意外と簡単なの。目をつぶって羊の数を数えてたらもうおしまい。ね、簡単でしょう」
「そうなんだ。で、ついた先の僕はどんな状態なんだい?朝食を食べてる時かい?家でゴロゴロとテレビを見ている時かい?」
「さあ、知らない」
そう、僕は過去へと飛んだ。