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3章 終戦へ。 その3 乙ひらく 乙なつみ『マギマギミリミリ』(上)

『バルザイ戦争』が激化し始めた元化14年の夏。香川県高松市で双子の魔法少女が誕生した。


 それが『マギマギミリミリ』である。


 小学4年生だった2人はすぐ『魔法庁』に所属し『子姉神社前』での短い修行を経て、四国地方で実戦に参加する。そして最終決戦となった『スルー ザ ゲート オブ ザ シルバーキー作戦』の主力部隊の一員に抜擢された。


『バルザイ戦争』に主力として参加した魔法少女の中で、もっとも遅くに覚醒したのがこの双子である。


『マギマギミリミリ』は少し変わった魔法少女である。


 異世界のモノを攻撃可能な軍事兵器を生み出す具現化魔法を使うのだ。


 彼女達が好んで生み出すのは60年前にヨーロッパ全域を巻き込んだ通常戦争『EW』時代のドイツ戦車である。実在の戦車で、化物に勝利するのは困難だ。しかし彼女達が生み出した戦車は一撃で化物を破壊する能力を持っていた。


 現在2人は中学3年生。インタビューは高松市内の喫茶店で行なわれた。


――お父さんは軍事評論家だそうですね。


ひらく そうなんですよ~。


なつみ 私らが変な魔法少女になっちゃったのって100%父の悪影響だもん。これは間違いないと思う(笑)。


ひらく ね~。しかも私らが生み出した戦車のディテールに文句つけたりしてさ~。


なつみ あれ地味に困るもん。履帯の幅が広すぎるとかすぐに言うからさ……。


ひらく ね~。機関銃の位置が右過ぎるとかさ~(笑)。


なつみ 具現化魔法は思い込みが強ければ強いほど威力が増すのに、邪魔ばっかりするんだもん。


ひらく ね~。本当に困っちゃうよ~。


――ミリタリーが好きなんですか?


なつみ 好きといえば好きなんだけど、超濃い人がお父さんなので、好きのハードルが上がっちゃってるというか……。


ひらく 簡単に好きとか言えない雰囲気あるよね~。自称軍事好きの人が平気で間違ったこと言ってるのを見たりすると~……。


なつみ 聞いてるこっちの方が恥ずかしくなっちゃうもん。それと同じことをしてるんじゃないかって考えたらもうそれだけで赤面してしまう(笑)。恐い、恐い。

 だから、とても自分から軍事好きなんて言えない。そういうことを言うのは恐ろしい(笑)。


ひらく あの戦争はこうすれば勝てたんじゃないですか? みたいなこと言っているのを聞くと、恐怖で震えるよね。お父さんが言った相手を言葉で虐殺していく幻聴と幻覚に襲われてしまいそうで(笑)。なんで、あの人はあんなに他人に厳しいんだろう?


なつみ まぁ、自分にも厳しいけどね、あの人は。


――魔法少女として目覚めたきっかけは?


なつみ 私らには伝道師カテキスタはいなくて……。


ひらく あえて言うなら、お父さんがそうだよね~(笑)。


なつみ 私らがタイガー戦車を好きなの知ってるのに、ソ連のT-32戦車の方がずっと優れてるって言い張るから、絶対にタイガーだもん! って2人で言ってたら……。


ひらく ね~。なんだか体に変な電流みたいのが走って、気づいたら部屋の壁をバリバリと壊してタイガー戦車を具現化させちゃってたんだよね~。


なつみ 保険がきいて新しい家を建てれたからよかった(笑)。


ひらく ね~。でもお父さんったら、まじまじとタイガー戦車を見て、全高が低すぎるんじゃないか、って言ったよね~(笑)。娘が魔法少女になったのに、そっちの方が大切なのかって(笑)。


なつみ そんなディティールにこだわる前に、目の前の現実をちゃんと見ようよ(笑)。あの人は変わり者すぎだよ。


――『スルー ザ ゲート オブ ザ シルバーキー作戦』の主力に選ばれた時はどう思いましたか?


なつみ なんで私らが? って。


ひらく ね~。『バルザイ戦争』の時ってやっぱり関東と関西の被害が大きくて、こっち(四国)は少ないから、実戦経験が他の魔法少女に比べてたりてないっていうのがあったから……。


なつみ 私らが選ばれるわけない、って思ってた。そういうのはバリバリ魔法少女をやっている人がビシビシやるんもんだ~、って感じだもん。


ひらく ね~。私らなんかお父さんと作戦考えて、兵器を具現化させてたから、凄くローカル。

 なんていうかな~。家内制手工業戦争?(笑)。


なつみ あの頃、お父さんがはりきっちゃって凄かった。四国の地図と毎日にらめっこして、仏生山公園に地雷原作れないかな? とか言ってたもん。


ひらく 仏生山公園に誘き出して一網打尽にする、とか言い出してさ。フィットネス広場にクレーターを作るくらいの火薬を埋めろ、とかさ(笑)。そんなことしたら関係ない人まで怪我しちゃうってば。できるわけないよね(笑)。


――『魔法庁』からの協力は少なかったんですか?


なつみ 四国は歴史的に『さわやか魔法少女事務局』の方が信用されてるというか……。


ひらく ね~。学校の郷土の時間で『光ロックウェル事件』とかやるからね。国はこっちを必ずだますから、みたいなことよく言われたよね。


なつみ ちょっと過剰な不信感だよね。


「『光ロックウェル事件』とは、光文50年に、お遍路さんで四国を巡りながら、治癒魔法でお年寄りなどを治療していた『光ロックウェル』を名乗るイギリス人の魔法少女が、医師法に反するとして逮捕された事件」


「この逮捕に地元の人々は大きく反発し、後の魔法少女擁護の市民運動のさきがけとなる。この事件の影響で四国は、国が魔法少女を管理することに抵抗を感じる人が多いといわれる」


なつみ 『魔法庁』に入ってはいるんだけど、よっぽどの化物が現れない限り、好きにやっていいよ、という自由な雰囲気だったですね。


ひらく ね~。向こうも四国には協力しづらいな、という雰囲気は感じてたんじゃないかな~。困った時は協力するからみたいな。向こうは、受け身、受け身の姿勢だったよね。やや不安ではあったけど、楽ではあったよね。

 だって、二宮さんみたいなタイプとは、私らはうまくやってけそうもないし(笑)。


なつみ 互いにストレスが底なしにたまるもん。まー、こっちの方にはあんまり強い化物は出てこなかったしね。


ひらく ね~。


――話を戻します。『スルー ザ ゲート オブ ザ シルバーキー作戦』に参加が決まった時の感想は?


なつみ 驚いちゃった(笑)。だってメンバー表の名前がもう凄くて。


ひらく ね~。ザ有名人ズだからね~。『瑠璃色スピードスター』に『マジックプリンセス』『サンシャイン・レッド』『パリット』の川原敏江さん。衝撃的だよね。


なつみ それに『龍華の爪』に『スケルツォピエロ』だもん。凄い人ばっかりでさー。テレビで見たことあるぞって。いったい私らは何をすればいいのか~って思ったもん。


ひらく ね~。いじめられたりするんじゃないかってビクビクしてたよね~(笑)。怒られたら逆切れしようよ、とか相談したよね~。怒られたら積極的に怒鳴り返していこう、って(笑)。


なつみ 香川をなめんなって(笑)。

どんだけうどんを愛してると思ってるんだって(笑)。こっちは香川出身だから、3食うどんじゃないと生活できないんです、って泣きながら言えば家に帰してくれるんじゃないかって本気で話し合ったもん(笑)。


ひらく ね~。そのくらいの香川ファンタジーはあるんじゃないかって思ってた。食べなきゃ死ぬくらいの(笑)。食べさせないと自殺しちゃう的な(笑)。


なつみ そこまではうどん好きじゃないよね(笑)。


ひらく ね~(笑)。

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― 新着の感想 ―
[良い点] うどん県の双子のはなし。独特のトーンが好きなんですよね。瑠璃色スピードスターの無自覚な危うさからは遠い感じで。 単刀直入に、この章から行くことにします。気になる質問もあるので。 [気にな…
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